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24.偽原魔法



「ふぅ~……」


 無事会議は終わり、ミーシャは別の対談室の椅子に座る。

 対談室の内装は変わりなく、豪華な装飾がされ、ミーシャの向かいにベルゼンダークが座り、ミーシャの横にリーネが立つ。


「へぇ~、君が弟子を取るなんて珍しいこともあるものだな!」

「まぁいいだろ! それで奴はもう大丈夫だ。あれの使い方を削除した……」


「ほう……でもいいのか、情報を聞き出さなくて?」

「あぁ、奴の記憶を除いた。奴の前に黒く塗りつぶされたような……人影が見えた」


「つまり誰かに見せた、と?」

「あぁ、シルエットからして女……記憶を除く中で人が影になることはないんだけど……まさか意図的に自身の存在を隠した?」


「まさか妨害か……それができる存在はかなりの腕……」

「あぁ、幸いにも凄腕で女性っていう情報から心当たりがある……」


 『破滅の魔女』ナイラ・ディルリオン

 管理者しか知らない魔法を知って、何をする気だ。

 

 その前に……まずは身内から――《空間支配スペース・ドミネイション


 これで外部には私達の声は聞こえない。


「あの魔法の数はいくつだ?」

「ん、何でそんなことを……い、五つだ」



 当たりだ。

 もしナイラなら身内にも警戒しなくてはならない。

 二千年前に魔王と渡り合った魔女……種族は不明だが、頭も切れて、非人道的な行為も魔王に負けない。

 第二の魔王とも呼ばれるようになったのは、遅くもない。


 で、管理者だけが知っている魔法は、原初の魔法……ではなく、その原初の魔法に近きものであり、完全な原初の魔法ではない……偽原魔法ぎげんまほう

 開発は初代管理者たちが数少ない原初の魔法だけで五つを開発した。


 一つ目はあらゆる属性を取り込み、強力な攻撃を放つ第一の偽原魔法……二つ目はあらゆる属性を取り込み、強力な防御を展開する第二の偽原魔法……三つ目はあらゆる属性を取り込み、強力な回復を発動する第三の偽原魔法……四つ目はあらゆる属性を取り込み、強力な精神攻撃を放つ第四の偽原魔法……五つ目はあらゆる属性を取り込み、強力な崩壊を展開する第五の偽原魔法。


「だが一つ、妙なのが……それを発動したら第一はここが吹き飛ぶし、他の魔法でも発動は流石に管理者なら知覚できるはずだ」

「しかし私は何も……」


「考えられるのは、何かしらの空間魔法で魔法発生の波動を防いだか……そして五つの中であれは……」

「色は、何だったんだ?」


 偽原魔法は発動の魔法陣の色で五つのどれかがわかる。

 第一は赤、第二は青、第三は緑、第四は紫、第五は灰色……。


「紫……」

「……精神系魔法に属する――《精神掌握マインド・グラスプ》」


「恐らく圧倒的な破壊力や防御力じゃなく、それを教えたということは内面から支配していくつもりか……」


 あの女の正体は間違いなく、ナイラだ。

 目的は支配だろう。

 魔王と争ったのだから、目的は変わらないはず……それに何で私に接触したのか?

 

 偶然なのかと考えたが、奴に関して偶然などあり得るわけがない。


「精神攻撃は対策は様々だが……だが偽原魔法くらいになると上位しか効果を弾くことができない」

「これで偽原魔法の一つが漏洩したか……」


「あぁ、しかも最悪な女に……で、更に悪い情報なんだが……私、何故か神典協会から狙われている……」

「何!? 二千年前のか?」


「恐らく……この時代で私は有名ではないし、二千年前から生きていると知っている存在なんて極わずかだろう。つまり神典協会の上層部に二千年前を知る者がいる……これは確定だろう。後はここ最近で国周辺で何か異変はない?」

「う~ん……いや、だが最近、ザガルファ山脈に潜むドラゴンが活発しているという情報が入ってな。その様子は攻撃的っていう話だ」


「攻撃的……ドラゴンは生物の中で最強に近く知能も高い……なのにそんな理性のないような行動……。まずは神典協会とあいつの件だな。恐らくまた戦いが……」

「二千年前の勇者と魔王と戦いのようなものが……」


 厄介ごとが多発している。

 神典協会からの刺客、破滅の魔女による何かしらの動き……。


 まずは神典協会から片付けたほうがいいな……まぁ、待っていればくるだろう。


「で、私は何日か、ここに潜むことにするから……ベルゼンダーク、君も気を付けてね!」


 まぁ、その時は私のせいかもしれないけど……。

 だけど世界でもトップの魔法使いはそんな簡単にやられるわけもないか……。


「リーネ、行くよ!」

「は、はい!」


 ある程度の情報は手に入れた。

 自分の立場的に長く居座るのは、潜む者として見つかる確率が高い。

 用事が済んだことだし、家に帰ろう。




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