21.影の動き
「今現在の神典協会は依頼などはなく、姿は見せていないから構成員は全く分からない。だけど一度神典協会の最強部隊が半数人で魔王城の方へと向かっていたっていう話があった」
「魔王城へ?」
「うん、しかもつい最近のこと……」
「……魔王城へ、何しに?」
「分からない。まぁ、普通に考えれば何か目的があった……探索と言ってももう魔族は静かだし、最強部隊を連れて行かなくても冒険者ギルドとかに頼めばいい話ですしね!」
「確かに……そして確かなのは神典協会が私を狙っているということ……その理由は私が魔王の配下だったということを知っている者がいる……」
「師匠のことを知っている……二千年前の人ですか?」
「可能性は高い。そして魔王討伐に大いに関わった神典協会の内部にいるなら刺客を最強部隊に任せることできる……まぁ、神典協会事態が魔王討伐以外は姿も見せない奴等だからな。情報が乏しいのは予想はしていた……だったらあいつを捕えて、情報を吐かせればよかった……」
「最強部隊と接触したの!?」
「あぁ、別に苦戦はなかったが……妙に潔かったな……」
「そうですね。刺客だというのにあっさりでした……」
まぁ、ラミーの情報で全てが明らかになるとは思ってはなかったけど……。
「情報は乏しいが、予想できるのはこれからも刺客に狙われるということだ。はぁ~……ごめんね、リーネ。私の二千年前の因縁からこんなことになって……」
せっかくの弟子。
初めての弟子という存在……改めて思うと子供のような存在になっていた。
リーネの年相応の明るい性格と好奇心……それが何故か勝手に私まで明るくしてくれる存在になっていた。
「そんなこと……ありません!! 私は望んで師匠の弟子になったんです!! だから私は別に……」
「……そうか、大丈夫だ。ただそれが心配だっただけだ……じゃあこれからは油断は禁物だが、私の魔法探知で大抵の刺客は接触する前にわかるだろうし……まあ、びくびくしていてもしょうがないからね!」
「まぁ、刺客に狙われているなら、この国に留まった方がいいと思うけど……」ラミーが提案をしてきた。
それが普通か……。
狙われてるのなら、極力姿を見せず、隠れながら暮らすことが最善の方法だな。
「そうだな。幸いなことにここなら隠れるのに適している。じゃあラミー、ここで暮らすけどいい?」
「え!? べ、別にいいけど……言っとくけど狭いから文句言わないでよね!!」
「わかってるよ。じゃあ借りるね!」
「だけどずっと隠れているつもり? それじゃ生きづらくなると思うけど……」
そんなラミーの質問にミーシャはニヤリと表情を歪ませる。
「私が隠れているだけだと……いいや、先に尻尾を掴んで情報を手に入れる……最強部隊の移動範囲は誰にも制限はされていないだろうからな。数人送り込んでくると思うから……この国なら戦闘を行っても他の国よりかは目を瞑るさ!」
ミーシャはそう言い、二階へ上がっていき、リーネもついていった。
「師匠! どうしてそんなことがわかるのですか?」
「ここは魔法の国……そして私は万能の魔法使い!!」
その言葉でリーネは理解した。
自称かもしれない万能の魔法使いだが、あの戦闘能力は今の世界にはミーシャしかいないだろう。
「師匠はこの国と繋がりが……」
「あぁ、上層部の今の偉大な魔法使い等には顔を売っているからな。まぁ、助けとしてじゃなく……更なる魔法の改革のために! で、何だけど部屋が相部屋なんだけど……」
「え……」
「ん~……流石に嫌だよね!」
年頃か分からないが、子供でも私的なことがあるもんね。
「いいえ! 私は大歓迎です!!」
「……そう、ならよかった」
私が彼女に抱いた感情は嘘ではなかったみらいだ。
好意的な感情だ。
まさか昔の自分と……いや、思い出そうとしても思い出せない。
だけどこれだけはわかる。
今のリーネが抱いている感情は、私が魔王様に抱いた感情は同じであることはわかった。
そして部屋に入り、魔導書から色々取り出す。
ラミーが言った通り、狭くベッドだけの空間だ。
「……一応、あいつと話す必要があるな。リーネ、今から出かけるけど……」
「お供します!!」
「いや……話し合いの時は外で待ってもらうけど……」
「……けど、お供します!!」
「そうか、だがちょっと待って……」ミーシャが魔導書から何かを取り出す。
「対策ですか?」
「うん、効果増加された《存在探知》が発動するようになっている……」
窓際に魔道具を置き、起動させて部屋を出る。
「じゃあラミー、少し上層部と話してくるから!」
「あ、は~い! 気を付けてね!!」
ラミーの武器屋を出て、二人は上層部が住まう魔法国の中心にそびえ立つ城へと向かった。
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