17.VS 蛇神ヴァルテス②
砂の街並みが漆黒へと変化していった。
「防御上位魔法――《世界障壁》……」
「ナンッダト……我ノ攻撃ガ通用シナイ!?」
二人を進むのは半透明な光の障壁。
防御魔法の中でも上位に位置する《世界障壁》は世界の力を借り、自分達を守護する壁を創り出す魔法。
この魔法は神聖効果が高く、今のような呪いに耐性がある。
しかも防御力では現在魔導書に記載されている魔法の中でも最強の防御を誇る。
「初見は気を付ける! これは戦闘では基本だし、一早く察知し、距離を置いたのは万が一この防御魔法が突破されないように威力が低い位置まで下がったということだ!」
「ナルホド、知能ハ高イヨウダ。デハ、確実ニ殲滅シヨウ!!」
「リーネ! 私が奴を抑えるから魔道具を使って!!」リーネに持たせたのは、ギガントキングコボルトの戦利品である魔道具と他二つ。
一つは束縛、もう一つは秘密兵器だ。
「じゃあ行くよ!」ミーシャはリーネに手を伸ばし、触れた瞬間二人の姿が消える。
次に現れた場所は城の上だ。
崩れているが、歩ける程度にはまだ建物は丈夫だ。
「合図を出すから順番通りに大蛇に向けて投げて!」
「はい! 任せてください!」
そして城から降り、大蛇に魔法を放つ。
「ふッ――――」杖を大蛇に向けると詠唱なしで魔法陣が展開し、全属性で象られた槍が大蛇に向けて放たれた。
全属性の槍が大蛇に突き刺さり、地面に倒れる。
「リーネ!!」
「はい!!」合図に反応し、まずはギガントキングコボルトの戦利品である魔道具を起動し、大蛇に投げる。
まだ一度も起動させたことはないが、少し内部を見たミーシャはその魔道具がどのような効果を持つのかを分かってしまうのだ。
だが一度も起動させてないため予想となるが、その答えが合っている確率は高い。
そしてリーネが投げた魔道具が大蛇付近の地面に落ちた瞬間、無毛の地である砂から緑が生え、異常な速さで辺りを植物が生え、大蛇の周りから巨大な樹の根が現れ、大蛇を巻き込む。
「グワァァァァァッ!!」
「ほぉ~、少し予想と違ったけど、リーネ、次!!」
次に投下されたのは束縛の効果を持つ魔道具だ。
樹の根に巻き込まれたが、更に束縛力を上げる。
「グゥゥゥゥゥガァァァァァァァァァァッ――――!!!」圧迫され、苦しみもがいている。
「さて、蛇神は聖なる力が弱点と思われる。なら……《武器召喚――ミアルス》」黄金の魔導書を開き、唱える。
そしてとあるページから現れたのは、細剣。
その剣は、白く染まっていて常時光を帯びている。
「魔法使いは杖しか使用しないという常識を私は持たない――」
そして白杖を地面に突き刺し、細剣の柄を握る。
「――さぁ、私の剣撃を見るがいい!!」細剣を構え、踏み出す。
確実に蛇神ヴァルテスを葬るためには心臓を貫く……だけどそれよりは首を斬った方が手っ取り早いだ。
「行くぞ!!」戦士系の者より素早く移動し、束縛されている蛇神に接近する。
「グゥゥゥゥゥガァァァァァァァァァァァッ――――!!!」ミーシャが迫ると同時に口を大きく開け、再びあの黒い力を束縛する樹の根に向けて放つ。
その樹の根はすぐに黒く染まり、崩壊する。
そして蛇神は起き上がり、ミーシャに襲い掛かる。
「リーネ!!」
その時、合図を出し、リーネは魔道具を投げる。
「――《輝光の矢》ッ!!」落ちる時間まで間に合わないと咄嗟に判断したミーシャは魔道具に向けて魔法を放つ。
そして《輝光の矢》が魔道具を貫き、起動させた。
その瞬間、蛇神を包み込むほどの聖なる力が発動し、その高さは天まで届くほどだ。
「対呪拡張領域魔道具――《天聖領域》……これなら解けるわけない!!」
絶対の自信と共に飛行し、剣を振り上げる。
「グォォォォォォォォォォッ――――!!!」絶叫する蛇神に迫り、細剣に魔力を流す。
「ハァァァァァッ――――!!!」大きく振りかぶったミーシャは思いっきり剣を振った。
ザァンッ!!
刀身の何倍もある太さだが、一振りで切断した。
「ガッ――――」
「ふッ――――」
如何にも堅そうな黄金の鱗すらも砕くほどの剣。
これは世界でたった一つの剣であり、ミーシャが魔王アビルスと造り上げた聖剣でもあり魔剣でもある代物、聖魔剣ミアルスである。
そして可能した大きな理由は――
自称、絶対有利スキル【万能領域】を発動していたからである。
【面白いと思ったら下の星「☆☆☆☆☆」の評価よろしくお願いします。_(._.)_作者のモチベーションに繋がります。】