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14.古代遺跡とスープとパン



「ん~……まぁ、そんな簡単に見つかるとは思わなかったけど……」

「暴風の負担がないけど、この視界で何も見えません!」


 暴風が吹き荒れ、視界は完全に閉ざされてしまった。

 《絶対障壁アブソリュート・ウォール》のおかげで暴風の影響は受けないが、視界も閉ざされればいくら何でも身動きが取れない。


「さて、どうするか……こうなったらダメもとで探索系を――《魔力探知マナ・ディテクション》・《物体探知オブジェクト・ディテクション》……」


 そしてミーシャが探知魔法を発動し、何かを知覚したのと同時にリーネが声を上げる。


「師匠、あれ建物ではないでしょうか?」

「あぁ、こちらでも捉えた。この砂漠の中に建物があれば私達の目的地だ」二人がその方向を進むとその奥にも建物の影が見える。


「ここは古代遺跡……」

「ここにSS級モンスターが……」


「だけど、こんな天候でモンスターも見えないまともに狩れるはずもないね。逆に今は隠れた方がいい!」

「そうですね……」


 この先にもまだまだ続く遺跡だが、進まず隣の建物に入る。

 入って見て、気付くがこの建物は家だった。

 向こうにも続いていたということは城下町のようにこの奥に巨大な建物があるかもしれない。

 長年のせいか、建物の内部は土の家だ。


「さて、ほぼほぼ目的地に着いたけど天候のせいで邪魔されて今日はここに泊まろう!」


 ドサッと魔導書を地面に寝かせ、開く。

 まず中に火属性の魔石が内蔵されていて火を簡単に起こせる魔道具、次に何の変哲もない鍋にその鍋を置く土台、そして食材を並べる。


「さて、作るか!」

「まさかここで師匠の手料理が食べられるなんて! 私もお手伝いします!」


「いいや、一人で平気だ」

「えぇぇ~……」


 普通に断られたリーネは地面に顔を伏せる。

 暴風の中、火の光だけが辺りを明るく照らす。

 水魔法で鍋に水を溜め、沸騰させる。

 そこにスープの素を入れ、森鳥と山菜を細切れにし、いい匂いがしたら出来上がりだ。


「お~、美味しそうです!」

「スープだけじゃないよ~はいこれ!」ページの中から丸いパンを二つ出す。


「パン~!」

「ちょっと待ってね!」ミーシャは二つのパンに炎系下位魔法――《加熱ヒート》を発動させ、パンを焼く。


 少しするとパンの表面に焦げ目がつき、いい匂いもしてきた。

 ミーシャは一つをリーネに渡し、二人は食べる。

 太陽が届かない砂漠は急激に気温が下がることもあり、暖かいものは更に美味しさを感じる。


 だけど耐性魔法で食料が尽きない限り、死ぬことはない。

 

「ん~美味しい~!」

「しかし、狙ったように暴風が吹く……全くついてないね」とミーシャは愚痴をこぼす。


 そしてミーシャは更に魔導書から魔道具を取り出す。

 その道具は丸く、片面に太陽のマークがあり、もう片面に月のマークが刻まれている。

 この魔道具は朝なのか夜なのかすぐにわかる魔道具であり、今現在は月のマークの面が光っている。


「夜か……でも、流石に眠いな」

「師匠、私に任せてください! 私が見張ります!」


「え、まぁそれはありがたいけど……周囲に何かいるかは魔道具で補えるから、リーネも寝ないと戦闘で死ぬ可能性が上がるよ」そう言いながらミーシャは魔導書から新たな魔道具を取り出す。


「師匠は沢山魔道具を持ってるんですね!」

「私を基準にしても魔道具は魔法使いにも他の職の人にも必要だ。この道具は私達の周囲にモンスターが現れれば、音で知らせてくれる! だから少しは安心して寝れる」


「へぇ~、便利ですね! 私のやることがない……」リーネは師匠の役に立ちたいと思っていたらしく残念がる。


「私は万能の魔法使い、大抵のことは一人でこなせるし、今のリーネは私にお世話になることが役目と言っていい!」

「え……」


「私が師匠でリーネが弟子という関係なんだから、私にお世話になるのが当たり前! 私の役に立ちたいならもっと高いレベルまでなったら考えてやってもいいぞ!」

「し、師匠!!」


 万能の魔法使いミーシャは弟子リーネを励ます。


「分かりました。私、もっと師匠にお世話になります!!」

「あぁ、任せろ!」と親指を立てる。


「ふわぁ~……歳のせいか眠気が早いな~」

「……二千歳? 身体はそのままなんじゃ」


「そうなのか……逆に子供だからか!?」

「かも、しれません……」


 そんなたわいない会話をしながら、魔道具を起動させ、魔導書から出した巨大獣の毛皮から作った暖かい布団を二人一緒に掛け、眠りについた。



 

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