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クソみたいなツイート

作者: 浜能来

 朧月夜、誰もいない公園のベンチで、クソみたいなツイートをした。

 それっぽい正論を載せた、自分を少しでもマシに見せるためのツイート。これ以上クソなツイートは他にないだろう。その匂いを嗅ぎつけてか、僕の周りを羽虫が舞う。


 帰って寝たい気分だったが、腹にずしりと溜まったカレーうどんが僕の腰を重くしている。誘蛾灯に引き寄せられるセミの如くコンビニに吸い寄せられ、最近の数少ない趣味であるコンビニ麺の開拓がてら買ったところまではいい。うっかり、温めお願いしますなんて言ったのが間違いだったのだ。


 スマホにのめり込むように前屈みになっていた体を起こす。公園のベンチは野ざらし相応に汚いから、一瞬、白いワイシャツに包まれた背中を預けるのに躊躇して、やっぱりもたれこんだ。

 くさる。腐り果てていく。

 僕の行動は支離滅裂なのだ。疲れたなら大人しく家に帰って寝ればいい。寝て、健やかに起床して、充実した活力でもってバリバリと仕事に取り組めばいい。そうすれば今日の失敗も取り返せる。


 けれど、僕は帰らない。新しく、コンビニで買った新商品のサイダーを取り出して、ぐびぐびやっている。公園の生垣の外を、奇声をあげて走り去る自転車野郎を見つけて、嬉しくなっていたりする。


 鈴虫の音が耳を揺らしていた。秋の夜の肌寒さに鼻を啜るが、むしろこれはちょうどいいかもしれない。これなら汗もかかないし、つまり、このまま公園で夜を明かして、そして出社したところで、匂いでバレたりしないだろう。

 そんなことを考える僕を、公園全体が地面を揺らして笑った。いや、大型トラックが通り過ぎただけだった。


「……帰るか」


 なんだか、とても馬鹿らしい。

 飲み切ったペットボトルを、数メートル向こうのゴミ箱へ放る。見事な放物線で地面に跳ねた。アレを拾って捨て直すついでに帰るとしよう。

 荷物をまとめ始めて、カレーうどんの弁当ガラすらまとめていないことに気付く。安っぽいカレーの匂いがぷんとした。


 あぁ、そういえば。


 今日のコンビニ麺は、珍しく当たりだった。

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