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導学能力

 今度は4041回目の世界、レアルが導学能力と言うものを作成した。呪文能力とも、技術能力とも大きく違う性質を持った新しい力について、自慢をしたいのかイニシエンとメビウスを呼び出したのだ。因みに、エンシェントも呼ぼうとしたが、無視されたらしい。


「アタイの創った導学応力はね、今までの力と大きく違う新しい力さ! 単純な呪文とか、戦う事位しか出来ない技術能力とは違うんだよねー」


「ほう? そんなに自信があるんなら説明してみろよ どうせお前の権限が関係しているんだろ?」


「ふっふーん! じゃあ、アンタはアタイの権限がどんなふうに作用してるのか解る?」


「まぁ、あれだ。お前のセリフを奪うのも悪いしな。俺様は聞くのに徹する事にするよ」


 完全に言葉で負けているイニシエンである。レアルの持っている権限は法則を書き換える能力。道を繋ぐ権限が1と2を強引に繋ぐ権限であるならば、この権限は1が2となる式を作成する、又は、既存の式を改変するような力である。


「まだアタイの権限を理解してないの……? アンタの理不尽な権限に比べれば解りやすいと思うんだけど。まーいいや、アタイの法則を書き換える権限で、色んなことが出来るようにする能力って事」


「それが解んねえんだけどな」


「そもそも科学技術ってね、仕組みを作る事から始まるんだよ。その仕組みをアタイは法則にしてる。普通は出来ない事も、それを実現する仕組みを作ってしまえば、既存の法則を凌駕するものになる。ありえない事を上書きしていくのが、アタイの権限の本質って訳」


「解った、解った。能力の説明をしてくれよ」


 本当に分っているのか、レアルは不信に思ったが、これ以上言っても意味は無いと判断する。こんな事で管理者としての役割を果たすことが出来るのかと、疑問に思うのだが、なんだかんだ上手くやっていたりするので、なんとも言えないのである。


「導学能力は、その人だけの法則を適応する力。凄く限定的だけど、使い方次第では、色んなことが出来るはずだよ」


 導学能力はその人が認識した、一点のみに、その人だけの法則を適用する力。温度が高さが硬度になる能力や、距離と貫通力が反比例する能力等、それだけではどういう風に使うのか解りにくいものが多い。


「何となく解った」


「それ、絶対解ってないやつだよね? ところで、一言も発してない人が居るんだけど、怒ってたりする?」


 レアルの言う一言も発していない人、メビウスはようやく反応する。その姿は、普段過ごしているような人の姿ではなく、管理者としての本当の姿とも言える、天使の姿。白い翼を背中から生やし、頭には無限を意味する金の輪、そして、男性とも女性とも言えない神々しい見た目をしていた。


「貴様は、どう思っている?」


 だが、その一見穏やかそうな表情は、怒りによって固まっている。そして、その視線はレアルへと向けられており、怒らせるような何かをした犯人は明白と言えるだろう。


「一応言っとくけど、今回俺は関係ないからな?」


「うわー、関係ないアピールとか、性格わるー」


「私は言った筈だ。姿に関して、余計なことはするなと」


 メビウスは、名前を得る事によって、管理者としての本性以外の姿を手に入れる事が出来る。そして、目立たず行動するために、比較的地味で、近寄りがたい雰囲気を纏った男の姿になることが多い。


「だって、面白そうだったし。何か企んでそうだったからさー」


 しかし、メビウスは好きな姿を手に入れる事が出来るわけではなく、その名前から人々が印象付けた姿になる。その性質を利用して、イニシエンとレアルは、度々面白おかしく印象を誘導し、目立たないと言う目的から逸脱した姿にしてくれるのだった。


「大したことは企んでいない。私は目立つのが好かないだけだ。活動の妨げになる、やめろ」


 しかし、その程度でレアルが反省するわけが無いのも、解りきっているのであった。

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