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なろうにおける奴隷物の作品の意味

作者: 烏龍お茶

 なろう作品において異世界での奴隷物の需要が一定数以上あるのは、何故だろうと考えた事があります。


 現実世界において、奴隷を持つのは可能か? 不可能か? と問われれば自分は『可能じゃないかな』と答えるでしょう。


 例えば雇用形態において、疑似的とは言えそういう関係を築けるであろう事は想像するに難しく無いと思いますし、日本の法律やモラルに配慮しないので有れば、もっと直接的に奴隷を得る方法も有ります。


 そのままズバリ途上国に行ってお金で買ってくれば良いのです。


 じゃあ、奴隷物の物語を扱う上で、異世界と言う要素はいらないのか? と問われれば、自分は否だろうと思うのです。


 それはもしかしたら、現代の日本で奴隷を手に入れるって事には、リアリティを感じえないからでしょうか? 若しくは、奴隷を手に入れるという行為に罪悪感を感じてしまうからでしょうか?



 なろう作品に出てくる奴隷の多くは未成年です。この答えとして私はそれが弱者だからと思っていました。


 これは多分、間違いではないと思います。


 ですが、ある方の文書を読んで、違う側面も有るのでは無いかと思ったのです。


 最近、大阪の少女が誘拐された事件がありました。あの犯人の家にはもう一人別の少女がいたと言います。


 何故にあの犯人は日本の少女を誘拐するという大犯罪を犯してしまったのか。


 例えば中国なんかでミャンマーの少女を金銭で買い取っていると言う事実があるのに、なぜに日本人の少女を誘拐するなんて言う危険な真似をしたのか。


 論理の飛躍は承知しています。


 罰せられずに奴隷を手に入れる方法なんて確立する事なんて出来ないでしょう。


 机上の空論です。


 そんな事を考えるより、手っ取り早く少女を騙し攫う方が簡単です。


 でも自分は、あの犯人の戯言の中に真実が含まれているのではないかとも思ったのです。


「家にもう1人女の子がいるから喋り相手になってほしかった」


 なろう作品において奴隷たちは必ずと言って良い程、教育されます。そんな事実とこの犯人の戯言の間には共通の認識があるのではないか、そう思ったのです。


 その方の文章では、失敗に対する『気づき』が無いと、不幸であると書いてました。


 でも私は思うんです。人間は成功体験をこそ糧にして進化して来たんだと。


 成人するまでの子供には、その傾向が顕著に表れているように思います。体力的にも知能的にも成長していくのです。成功体験を踏まえ、さらなる先へと突き進んでいく。


 問題はこの成功体験が、その後の自分にとって必ずしも良い方向にだけ作用しないって所にあります。


 例えば、小学生が出された宿題をやらず遊んでしまう。


 最初は宿題を提出しなかった小学生は、怒られるでしょうが、常習化すれば、呆れられ、その内学校でペナルティーを被ることもなくなるかもしれません。


 さらに、子供の教育にあまり関心を持たない家庭であれば…子供を甘やかす家庭であれば、それでご飯が抜かれるなんてペナルティーを受けないでしょう。


 これって、宿題という頭を使いカロリーを消費するという行為を回避した見事な成功体験になると思うのです。


 しかもこの成功体験は多くの人にとって、その後に不幸を齎す可能性が高いのだけれども、それでも一部の人に取っては、その空いた時間、残されたカロリーを消費して、おのれを高みに上げる要因となる可能性もあるんです。


 つまり、この宿題をしないという成功体験は人類にとっては一概に悪とは断じえない。


 けど、成功しなかった一個人にとってはやっぱり悪。


 そんな事実を成長が止まった時分にようやく『気付く』のですが、それでも『光陰矢の如し学成り難し』なんて言葉、あの頃の自分にいくら言っても理解できないだろうって事も自分自身が歩んできた道だから解るのです。


 そう、当時の自分には『気付けない』って事を…。


 だから自分に甘い私はなぜ、私を厳しく叱り、私をコントロールし、導いてくれる人がいなかったのかと嘆くのです。


 そして、ならば自分が導こうと傲慢に思うのです。


 失敗に『気付き』後悔してる自分こそが、自分の分身たる存在を導いてあげようと…。


 犯罪者にとっての分身は、自分と同じ日本という環境で育ちながらも悪の道に逸れようとしている、そんな存在で無ければならない。


 物語を読む人間にとっての分身は、異世界という場所で新たに迎える自分の仲間であり、愛すべき存在であり、また、幸せを享受しなくてはならない存在であり、己のステータスを投影すべき存在で無ければならない。


 そんな身勝手な甘えが、後悔が、異世界奴隷に求められているのかも知れない。

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