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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
明かされる真実

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95/246

#95 純粋な思い

 しばらくキュミーの相手をしていると動きを止めてこちらを見据えた。


「おにいちゃんちょっといい?」

「うん?どうしたキュミー」


 手招きされたので膝立ちをして目線を合わせると頬に口づけをされた。


「えへへ、いままでのおれい!」


 ・・・そうかもう少しでこの子とお別れになるのか。ここまでの旅は長いかと思ったが実はひと月も経過していないことに気づいた。それほど濃い時間を過ごしたんだな。自分は一人っ子だったので妹というものを知らなかった。キュミーやネモリアさんとのような同年代の女性ではなく女の子の知り合いは初めてだった。

 最近は遊びと称して手合わせをすることも増えた。度々肝を冷やす精錬された槍で攻撃をしてくるので記憶を失う前から相当使い込んでいたことを感じる。自分がこの子の歳と同じころはまだ父にしごかれていた。ネモリアさんと同じく武器術においては確実に自分よりはとても才能があるのだろう。

 先程すごく美人になると言ったが実際同年代の男の子から見る。一目惚れで初恋のお手本にされる程の超絶美少女に入るだろう。今の突然のキスも少し動揺させられてしまった。自分もお返しにおでこにキスを返したところ背後で何か物音がした。見返すとそこにはウェルンとネモリアさんがおり何故か冷や汗が出始めた。


「ソール?何してるの?」

「違う何かごか、」

「ならどうしてそんなに慌てているんですか?」

「これはさっきの戦いのつか、」

「「問答無用!!」」


 ウェルンが杖を抜いて術弾を形成し始め、ネモリアさんを弓を構え始めたので自分は走り出した。


「あっ逃げた!待ちなさーいソール!」

「ソールさんなんで逃げるんですか!」

「なら2人ともとりあえずその構えてるものはしまってくれぇぇぇ!!」

「なに?おねえちゃんたちとおいかけっこ?わたしもやるー!」

「いいや違うぞ。キュミーあれはなもう少し大人になったら分かることだぞ」

「へーそうなんだ。ねぇねぇ、ほねせんちょうあそんであそんで!」

「あーいいぞ。あとなさっきの行動は好きな人以外にはあまりやらない方がい、」

「えっ?おにいちゃんのことはだいすきだよ?」

「へーどれくらい?」

「おおきくなっておにいちゃんけっこんしてなかったらわたしがする!」

「そうか、やっぱり勇者ってやつはなんでこうも女難の相があるのかねぇ」

「じょなんのそう?」

「あーえーとみんなお兄ちゃんのことが大好きってことだよ」

「そうだよ!おねえちゃんたち、おじちゃん、ほねせんちょう、じょおーさま、みんなおにいちゃんのことだいすきなんだよ!」






「おーい坊ちゃんそろそろ目標地点だぞ横になってないで起きろー」

「・・・はい」


 あのあと2人に散々追いかけ回されたあげくに最後は船員さん達が敵に回り罠にはめられ追い詰められた。大量の聖術と鳥弓術を狭い空間で捌ききり2人に土下座をして何とか事なきを得た。自室に戻るとその前の戦いの疲れもありベットに倒れこんだ。そのまま動けなくなってしまいしばらく時間が経って現在に至る。我ながらよく2人の(流石に手加減しているであろう)攻撃を喰らわずに済んだものだな。

 どうもこの前シーウェーブさんの展開した術壁を吸収した時と骨骸竜(ドラゴンスカル)の核から魔力を吸ってからというもの身体の調子がいい。魔王の娘であるラ・デビア・アンクルから{ギーブ}という魔術で直接力をもらった日の翌日にも同じようなことが起きたな。

 自分の記憶が確かならばあの時『これからあなたにかけられた封印を一段階解くわよ?』と言っていた、おそらく魔の力を自分の物にした際に枷が外れたのだろう。だがこれではっきりとした自分はやはりウェルンと同じヒュード族ではない。ラ・デビア・アンクルと同じくデビア族、つまり自分は魔王と同じ種族の一員ということになる。

 そもそもラ・ザイールはどうして約50年前魔族を束ねて魔王となり世界を征服しようとしたのか。闇が蔓延る暗黒の時代を作り人類の敵となったのだろうか?その理由を知っているのは魔王と直接会ったことがある人物しかいない。

 本人以外で可能性があるならば勇者ゴレリアスか、娘であるアンクルが知っているだろう。もしまたいつか会えたら必ず聞いてみよう。身体を起こし部屋を出て甲板に辿り着くとほとんどの人が辺りを見回して何かを探していた。


「せんちょーう!今のところも北の方に怪しいものは見えませーん!」

「西側もさっぱりですー」

「同じく東にも何も見当たりませーん!」


 突然水面から大量の頭蓋骨が飛び出してきて身構える。すぐさまシーウェーブさんの術ということに気づいた。いやパッと見はどう頑張っても空を飛ぶスケルトン系の魔物にしか見えないのだ。おそらく海の表面ではなく中を探していたのだろう。


「くそっ、どうしてだキュミーから聞いた話をまとめると、おそらくここら辺の海域のどこかにあるはずなんだ。お前らもっと注意深く周りを見ろ。大きなものだけじゃなくて小さな異変がないか探せ!俺もこれからもっと深いところを探す。いいか絶対に諦めるな、キュミーをヒルドリアに送り届けるぞ!」


 シーウェーブさんの掛け声に乗組員が一斉に返事をしまた辺りを見回し始めた。だが気合だけで何とかなるほど甘いものではなかった。その後もあの手この手でヒルドリアに行くための手掛かりを探した。だがそのまま時間だけが過ぎていってしまい、2日分残っていた自分達が持ってきた食糧が遂に底をついてしまうのだった。


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どうもお久しぶりでございます、作者の新村夜遊です

小説には何も関係ない話を少し失礼します

2022/03/25の雑談配信にて発表があったとおりこの度ご縁がありまして

Gaming Team Ark5 ストリーマー部門に所属させていただくことになりました!

前と変わらず今まで通り小説の方を毎週土曜日に投稿し続けていきますので

「トゥルーテークオーバー」をこれからもよろしくお願いします!


2022/03/26(土)

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