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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
明かされる真実

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#93 墓場の怨竜


「流石におかしいな海竜種の巣にしちゃ静かすぎる」

「そうだなぁ俺もなんも引っかからんからな引っ越しでもしたか?」

「だといいですけどね...」


 と舵を握るシーさん達が話している。事前にみんなには話したが海竜種の弱点、特徴として縄張り意識が強いが特に攻撃的な行動を取らなければ襲ってはこないとは教えた。だが感知に長けたネモリアさんまでもが気配を感じないともなれば何かあったのだろう。


「そろそろ霧が濃くなってきたなここからは任せてくれ」

「助力ながら私に任せてください{ルーム}」


 帆の先端目掛けて矢を放つとそこから風術のウォールが複数枚展開され、船の周りから一定の距離の霧が晴れた。この前まで魔力を込めるのも苦労していたネモリアさん。ようやく慣れてきてスムーズに魔力を込めていた。


「俺も生きてた時なら使えたんだがよすいません姫様」

「いいんですけどその呼び方なんとかなりませんか?」

「喋り方変えるのは勘弁してくれ。俺が今仕えている王族の大事な姫様だからよ、少しは敬意を込めないとな」

「じゃあ俺も王子って呼んでくれるか?」

「ガッハッハ!そりゃねぇだろお前はなんだか俺とおんなじ匂いがするからよ。ベル堅苦しいの苦手だろう?」

「ハッ違いねぇ!」


 今更思ったがこの船に王家に連なる人が2人も乗っているんだな。もしかしたらキュミーも...いやありえないことではない。身元が不明で尚且つ呪いでもかかっているかと思うぐらいに外れないらしい高そうな髪飾りをずっと着けている。その上あれだけ精錬された武器術を使っているのだ。

 本人はまだ父親のことを思い出しただけ、他のことは思い出せていない。この前のこともあるので無理に思い出そうとさせるのもやめた方が良さそうだ。ゆっくりと時間をかけて思い出していけばいいと思う。


「どうしたのおにいちゃん?」

「いやなんでもないよ。最初に会った時に比べてキュミーも成長したなって思って」

「うん、いっしょなのはずっとたのしかったけど。おとうさんのことおかあさんにいわないといけないから」

「そうか偉いなきっと将来は綺麗な人になるんだろうね」

「えへへ、ありがとおにいちゃん」


 頭をなでると顔を隠して照れた様子を見せるキュミーを見て少しは親心が分かったような気がした。ここまでの旅を通して色々と学んで自分自身も成長したとは思っている。キュミーの成長する様をここまでちゃんと見れたのはとても誇らしくも思えた。


「っ!何か来ます!」

「こりゃとんでもなくでかいぞ!全員どこかに掴まれぇぇぇぇ!」


 急に船が持ち上がり宙に身体が投げ出されたので咄嗟にキュミーを抱きかかえて魔の力を開放して滑空をして落下の衝撃を抑える。反応が遅れた人達は海に投げ出されて流されてしまっ...ウェルンも流されたのか!?


「おいなにか浮上してくるぞ!」


 船首の方で1人の船員が叫んだので覗き込むと泡立ちが激しかった。そこまではいい、その範囲が異常なほどでかいのだ。海上から頭蓋骨が一つ二つと段々と増え長い首と頭を12個が現れた。

 翼を持った大量の骨で形成された竜種のなれの果て巨大な骨骸竜(ドラゴンスカル)が出てきた。その身体のあちこちに何かが引っかかっており左翼に気絶したウェルンが引っかかっているのを確認した。


「こいつは世界樹ぐらいのデカさはあるんじゃないか?」

「そうですね、私もこれほどの大きさのものと戦うのは初めてですね」

「師匠が倒した山よりは小さいが比べる対象が違うわな」

「あいつを倒すならまずウェルンを助けないと。聖術で核を貫かないと永遠に再生を繰り返してしまうんです!」

「それは厄介だなぁ...おいマザーの船長!」

「ああ分かってるよ、シーウェーブさん!船乗りの意地で我らが愛しのブレインペアレンツはなんとか維持するから存分に戦ってくれ。」


 いつもの仏頂面が想像できないほどにとてつもない程いかつい顔をしている、ブレインマザー号の元船長を見て少し笑ってしまった。皆が戦闘態勢に入り剣に魔力を込め紫と黒色の綺麗な魔剣へと変化させた。


「坊ちゃんほんとに魔族みたいな見た目になってきてないか?今ここで見てなかったら拳を入れてたぞ?」

「いや勘弁してくださいよ。これはこれで便利なんですよ?空も少し飛べるし魔力の流れが良くて剣術がスムーズに出せるんですよ」

「そうなんですね良かったら今度飛び方を教えましょうか?」

「是非今度じゃなくて今から一緒にウェルンを助けに行きませんか?」

「ふふいいですよ。もう少し優しく教えたかったですけどしょうがないですね!」


 ネモリアさんが勢いよく先に空へと飛んで何かの術を唱える。ドラゴンスカルの辺りの霧が濃く晴れる。自分も飛び上がりネモリアさんの真似をして翼を動かす。宙に浮き続けそのまま追従していく途中骨が大量に飛んでくるが難なく躱していく。


「もう慣れましたね?」

「前から思ってましたけど飛ぶの楽しいですね」

「こんな戦闘中に思うことではないですが、そうですね飛ぶのは楽しいですよ!」


 更に速度を上げて上空へと飛び立ったと思ったら弓を構え急降下した。魔力が相当込められた矢を携えていた。なんでそんなことが分かるって?彼女の背後に既にとても大きく煌びやかな鳥が具現化しているのだ。


「{翔鳥(フライ)}!!」

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