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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
明かされる真実

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86/246

#86 迷宮

 扉の向こうに足を踏み入れるとそこは赤黒くて気色悪いところに繋がった。ヌメヌメしている道をキュミーと共に進んでいく、するとまるで牢獄のような作りの場所に辿り着いた。格子の向こうには見覚えのある顔のブレインマザー号の乗組員さん達やベルゴフさんがいた。服を剥かれて裸で磔にされておりぐっすりと幸せそうな顔で眠っていた。


「なるほどこうやって船の人眠らせているのか」

「おねえちゃんたちこっちにいるよ!」

「良かった無事だっ!?」


 自分は反対側の檻に視線を向けるがすぐに見るのをやめた。さっきも言ったがここの人達は服を剝かれている、そう裸、服を着ていないのだ。


「...キュミー、ウェルンとネモは無事そう?」

「うん!ねてるだけーはだかでさむ、」

「さぁ先に行こうか!」


 大丈夫なことも分かったことだし変な物を見ないうちに行こう。いやまぁ正直見てしまったが。先程格子を壊そうとして剣に魔力を込めて斬りつけた。刃が触れると形状が変化して通り抜けてしまった。魔術でも破壊しようと試みるが効果がないように見える。

 どうやらここで救助することは難しいようだ。おそらくこの奥にいるであろう術者を止めない限り、檻の中で拘束されているウェルン達は解放されないのだろう。


「ねーねーおにいちゃんなにかきこえるよー?」

「本当だこの音は、これは金属がぶつかり合う音だな誰かが戦っているのか?」


 牢屋を後にしてキュミーと共に敵を倒しながら前に進む。自分が知らぬ間にこんなにも強くなっていたのか。確かに最初に会った時に比べて少し背が伸びたような気がするな。自分の父親もこういう気持ちだったのだろうか。

 生まれてすぐに母親がなくなりキュミーと同じ歳ぐらいの頃から剣術を学び始めたんだっけか。今さらなのだがキュミーはヒュード族の年齢で言うとまだ10歳行くか行かないかぐらいである。だがフィンシー族で言うと歳は一体いくつなんだ。気になって聞いてみるも首を傾げてしまった。やっぱり歳を気にするのはヒュード族とマイオア族のように短命な人達だけなんだな。

 そんなことを気にしていると音源に段々と近づいてきた。道もだんだんと広がってきて広間へと辿り着くとスケルトン同士が戦っていた。


「ほねさんたちだ!」

「どっちがシーさんの仲間なんだ?」

「あっ兄ちゃん!」「ちょ手伝ってくれよ!こいつら強くてよ」「あっキュミーちゃーん」「バカ!そんな悠長に手を振ってる場合か!」

「あっうん、騒がしくて一瞬で分かったわ今助けるぞー」


 スケルトン達に加勢しに行くとまず見分けがつかないので声を出し続けてもらった。区別をしたら無口な人もいて間違えて攻撃しそうになったり、スケルトン同士の崩れた骨が混ざって見分けがつかなくなったり、それはもう大変だった。

 よくよく見たらシーさんの仲間のスケルトン達には皆どこかしらの部位に大きめな傷がついていた。気づき終わった後にようやく自分も見分けがつくようになった


「やぁ助かったぜ兄ちゃん、俺は副船長のリバーフォールだ覚えてるか?」

「いつも緑のバンダナしていた人で合ってますか?」

「そうそう、頭蓋に稲妻マークの俺がリバーフォールだ!今互いに分かってる情報を交換するか?」


 自分が今まで見てきたものを伝えてリバーさんから新しい情報をもらう。4日前、自分達生きている人達が全員寝静まった頃、黒翼を生やしたフィンシー族に似た魔族であるマーマン達に襲われたらしい。その際に船が丸ごと巨大なクジラのような何かに飲み込まれ、それぞれが散り散りになりなんとか合流したという。


「途中黄色い液体に触れちまったうちらの仲間は完全に溶けちまった。壁に押しつぶされて粉々になって再生しなくなったのが2人で3人死んじまってな。合計5人しか生き残ってなくてよ。そのタイミングであの骨の軍勢に出くわしてもう少しでやられちまう!そんな時に兄ちゃん達が現れたわけよ」

「なるほど、今の状況としてシーウェーブさんは未だにどこにいるか分からないで大丈夫ですか?」

「だな少なくとも俺らが生きてるってことはまだ死んじゃいないだろうが早く見つけないとな」


 自分達2人とリバーさん達5人が加わった即興パーティーでさらに先へと歩みを進めていく。この時点でなんとなく今いる場所の正体に察しがついた。ここは海上を移動しているダンジョンなのだろう。そもそもあれほど大きなクジラは存在しているわけがない。船を丸ごと飲み込むほど巨大なクジラも少し見て見たいけど今その体内にいるかもしれないしな。


「そういや俺らは物とか食わなくても大丈夫だけどよ食料問題いったいどうするんだ?」

「あっ・・・」

「まぁそこらへんに魚がいたりするからそれ食ったら...ん?魚?」


 確かに魚はいるがなんでそこにぴちぴち跳ねた魚が。なんだ背後からものすごい勢いで何かが流れてきているような!?


「全員どこかに掴まれぇぇぇぇぇ」

「無理!」「壁がヌルヌルで掴めん!」「うぎゃあああぁぁぁ!!」

「キュミー!!」

「わぁぁぁぁ」


 自分は剣を突き刺して水流に抗いながらキュミーの手を掴む。反応の遅れた1人が完全に流されてしまった。リバーさんの他に残った人達も脚の骨やら腕の骨が水流で持ってかれてしまい戦力も大幅ダウンした。シーさんの仲間達が全滅してしまう前に早くこのダンジョンを攻略しなければ。

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