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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
明かされる真実

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82/246

#82 魔に生きる者

 スケルトン達、いや海賊シーウェーブ達は勇者ゴレリアスが魔王を倒したことを知らずに今の今まで戦い続けていたらしい。戦いの中で全員がヒュード族であるが故、歳を取り過ぎたがために船長であるシーウェーブを除く他の船員が皆老衰で亡き者になってしまった。

 そこで当時魔王軍から奪った物品の中で唯一呪われていた術具{死霊の心}を使い、人の姿を捨て転化してネクロパイレーツへと姿を変えて船員たちを皆蘇らせここまで生きてきたという。


「この姿になってから俺達は感情以外何も感じられなくなったし、人前に出れなくなっちまったんだよ」

「そうだったんですかそれは大変でしたね」

「しかしそんな長い時代を生きてガルドフ様のご子息に会えるとは思わなかったな」


 まさか転化してまで生き延びていたのは驚いてたのもそうだが、それ以上にベルゴフさんが先代サルドリア王家とは思いもしなかった。ネモリアさんが王家に連なる者と言われたときはすぐに納得できた。

 でもいつも豪快で大雑把なことで(自分達の中ではだが)有名なベルゴフさんが...いや信じるなと言う方が無理だ。王家しか所有することを許されない宝剣を出されてしまっては信じるしかない。


「いやぁ俺もいつか正体を明かそうとは思ってはいたさ。坊ちゃん達もすまねぇな、驚いちまったよな」

「私もどこかで見かけたことがあるとは思っていたのですが冒険者としてではなく王家としてだったんですね」

「そうだな、ネモのことはかなり昔に会ったことはあるがいつだったかは覚えてないな」

「事情を知らなかったとはいえ船を攻撃してしまい申し訳ない」

「しょうがないよだって魔の力を持つ人なんてそうそういないもんね!」


 ウェルンの言葉に自分は顔が引きつる。シーさんは魔の者を狩ってこの海域の秩序を守ってくれていたのだ。そこに魔の適性を持つ自分のような稀有な存在が来てしまったのだ間違えてもしょうがないと言える。


「まぁそれに関しちゃ俺らも言えたもんじゃないからな」

「船長!俺の肩骨どこ行ったか知りませんか?」

「あー?あそこでキュミーちゃんが持ってるの違うんか?」

「ちょ、キュミーちゃん!?ちょっとそれで遊ばんでーなー」

「まぁ、騒がしいやつらだが許してやってくれ。正直人と関わるのも久しぶりでな少々テンションが高、」

「あー待ってーその骨は海に投げちゃダメ―!」「お前馬鹿か!何飛び込もうとしてんだ!」

「・・・ちょっと手貸してもらっても構わないか?」


 自分達はシーさんに連れられて甲板までやってくるとキュミーの周りで海面を覗きながら騒ぎまくるスケルトン達がいた。ネクロパイレーツが使う専用の術として{死霊術}と呼ばれるもので船員たちはスケルトンとして蘇っている。召喚者であるシーさんが倒されない限りは無限に復活する。唯一の弱点として水に弱い。

 海賊や船乗りという職業との相性は最悪で海上に骨が落ちてしまおうものならその部分は今後一切復活しないのである。自分は海に飛び込んで骨を回収して水面から勢いよく飛び出して甲板に戻ってくる。


「ふぅ流石に疲れますね」

「おおありがとよ兄ちゃん!」

「おにいちゃんいるかさんみたーい!」

「坊ちゃんフィンシー族でもないのによく泳げるなぁ」

「いやまぁ泳いでるわけではないんですよね」


泳ぐことは村近くの川でよくやっていたが水面から飛び出したのは竜剣術である{竜旋(ドラグーン)}の応用だ。フィンシー族のように水中を自由に泳げるなら魔力を使って勢いをつけるとかいう無駄なことはしないでいいのだ。

 なので本当はキュミーが取りに行くべきだが、まだ身体が成熟しきっていないキュミーではまだ自由自在に泳ぐことは出来ない。そのため自分が代わりにやってみたが思った以上に魔力を使ってしまった。いざ水中で戦うとなったらもっと慣れが必要な気がする。


「にしても、ソールは本当に魔族や魔物でもないのに魔の力を制御しているんだな」

「自分はヒュード族ではなく魔の力を扱えるデビア族って呼ばれる種族らしいんですが両親はどちらもヒュード族なのに...自分のことが分からないんですよね」

「ん?デビア族?確か勇者様一行の中にもいた記憶があるが...」


 シーさんが今言ったことにまたも驚いてしまった。えっ?ゴレリアス様と一緒に旅をしたデビア族の人がいるだって!?そんな話今まで生きてきて一度も聞いたことがない。ウェルンとネモリアさんも驚いた様子を見せていたがベルゴフさんだけは何かを知っている様子だった。


「ベルゴフさんもしかして知っていたりしますか?」

「うーん、まぁ知っているが全ては話せねぇから話せるところだけ話すか。あの御方には坊ちゃんも一度か二度会ったことあるかもしれないな」


 自分が過去に会ったことがあるデビア族の人?今までの旅を整理して記憶を辿る、いや確かに自分のことを何度か救ってくれた魔族らしき人に出会ったことがある。大きな鎌を持って自分とよく似た黒い翼を持った人のことを完全に頭の中に思い浮かべていた。


「師匠達とは古くからの知り合いでどこの伝承にも載っていないゴレリアス一行幻の七人目。魔王の娘ラ・デビア・アンクルだ」


 これはまたさらに詳しい話をベルゴフさんから聞く必要がありそうだ。日も落ちてきたのでまた明日聞くことにした。それにしても魔王の娘かそれが本当なら魔王ラ・ザイールも元は自分達と同じくこの世界に暮らしていた者ではないのか?

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