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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
秘密の翼王

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69/246

#69 才能が故


「おらぁ!!」


 壁を突き破って世界樹の麓まで戻ってきた。ナザ・ゴースは物理術式を展開しており特に傷をつけられていなかった。うまいもんだな、咄嗟に俺が殴ったところだけ厚い術式にして、その他の瓦礫なんかを薄い術式で守ってやら。


「驚いた術式にヒビを入れるとはあなた程の拳術の使い手はこの国、いや世界を探しても数えるほどしかいないだろうな」

「そらぁな、拳神流だからよ。そこらへんの拳術士と一緒にしないでくれよ!」


 一気に距離を詰めるとやつは飛び上がって避けた。直後足元で何かが爆破した。なんだぁ、少し効いたな事前に仕掛けていたのか。魔術師で若いもんにしてはいい判断力と行動力じゃねぇかこりゃ強いな。


「この国一の魔術師だぞ見くびるんじゃないぞおっさん?」

「へっ、知るかよそんなこと。お前以上に強い魔術師を知ってるんだよ!」

「ならおっさんが知ってるそいつは混術(フュージョンスペル){マイン}。この技も使えるよなぁ!」


 そう言うとやつの杖から五つの色の球体が出てきた...まさかあいつ!?放たれた光線に即座に反応して回避行動をとる。地面へと直撃した箇所は抉れて元々何もなかったかのように跡形もなく消滅していた。


「お前さんまさかその術は...」

「そうだ、先程の火と土の二術混術(フュージョンスペル){マイン}。そして今放った火、水、風、土、聖の五術混術(フュージョンスペル){エンド}。このどちらも、かの伝説の勇者一行にいたこともあるマジックアルケミスト、ノレージ・ウィンガル様が開発した素晴らしい術だ。おそらくノレージ様と俺以外に扱えるものはいないだろうな」


混術(フュージョンスペル)とは基本的に二術以上の術適性で、個人の才能によって行使することが出来る特殊な術。そのほとんどが開発した術者以外使うことが出来なかったので多種多様にいろんな術が存在した。だがノレージの爺さんだけは違った。

 魔以外の五術に適性を持ちすべての術において他者と比べて出来そのものが違った。その為一度見た混術(フュージョンスペル)は真似することが出来るというとんでもない術師だったのだ。他にもまだ隠してるんだろうな、あの爺さん術の力で何でも出来たからな。こいつもおそらく爺さんと同等の才能かもしくは...


「おもしれぇじゃねか。最近刺激が足らなくて退屈してたんだよ楽しませてくれよ」

「これほどの相手とはなかなか戦えないからな。全力を出し切るかそうじゃないとやられちまいそうだ」


 ナザはこちらに不敵に笑みを浮かべていた。大した自信だな、こりゃ少し本腰入れて戦わねぇとまずいかもしれない。正直術士との戦いは苦手だがやるしかねぇな、俺がこいつを倒さねぇと中にいる坊ちゃん達の元に向かっちまうからな。

 それじゃ空の上にいる師匠に怒られちまうからな。程よく強い相手がいねぇと成長しねぇけど、だが強すぎる相手は流石に毒だ。まだそういう相手はまだ俺が引き受けたほうがいいからな。


「そういや、お前さん程の実力者がどうしてザイール教なんかに入ってんだ?」

「そうだな、言うなら退屈だったんだよ。周りからはもてはやされ特に何も不自由なく暮らしてきた。術の才にも恵まれ王宮魔術師に難なくなることが出来た。俺はこの国においては、いや世界中の誰よりも最強の術の使い手だ。才能だけなら俺はノレージ様以上だと父上も言った。その言葉を信じて修練を続けて俺は混術を扱うことに成功したからな、次は魔王を超えるんだよ」


 そういうことか自分より強いやつを見たことがないんだな。だが少なくとも実力者で言うならもルメガも紫ランクの冒険者で師匠達と同じぐらいの強さを持っているはずだ。手合わせもしたことがあるはずなのにそんなことを言うのか。


「で、そんな退屈を吹き飛ばすためにザイール教に入れば少しは強いやつに、会えるんじゃないかと思ってたんだよ」

「そして今日俺に当たったってわけだな?」

「そうさ。残念だけど、おっさんの命もここまでってわけだ!」


 長杖(ちょうじょう)を構えて多数の小さい魔力のつぶて、基本造形ランク6のシューティングが五術分多数用意される。すべてがこちらに飛んできた。きっと奴はおそらく混術(フュージョンスペル)を使わずとも倒せるとでも思っているのだろう。






 ...本当に甘く見られたもんだ。初弾が着弾する瞬間に全身に魔力を纏わせて白金色の肌へと変化させる。確かに当たってはいるがそれ以上に全身を巡る闘気による自動回復速度が上回り無傷だった。ナザはとても驚いた様子だったのでさらに距離を詰める。

 途中{マイン}が発動して攻撃を受けるがそれをすべて無視して突っ込んでその空いた胴体部分に殴り込む。奴は空に逃げ何かの詠唱を始めたが背後へと回り込み翼を掴んで地面へと叩きつける。


「ぐわぁぁ!!な、なぜだお前にはそんな力感じられ...」

「悪いな俺の強さはな、俺自身が思ってる以上に強いんだよ。そこで魔力が回復したら回復術唱えて翼を直しておくんだな」


 これで質の悪い洗脳かなんか解けたらいいがどうだかな。あーあ俺も術が使えたら良かったんだがな不器用だからな。混術(フュージョンスペル)とか使える野郎だったら良かったんだがな。

 手元でボールを作ってまっすぐに伸ばしてバーティカルを作りらせん状に形を作ってスパイラルを作り出す。こんなことやるぐらいなら拳に魔力纏わして火属性の攻撃をした方が楽なんだよな。

 才能あるってのもうらやましいな。だけどよ才能と実力は違うからな、それ以上に道だけは外したくねぇよな。スパイラルが花火のようにはじけ飛び俺は元来た道へと歩いていった。

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