#66 狂信者
読み進めていってようやく六種族というページへと辿り着いた。なぜかこれ以降のページがボロボロになっていたので辛うじて読めた情報をまとめた。
ヒュード族と似た見た目を持つが魔の力を持っているため大変危険な種族である。人によっては魔族と同じ翼を生やしていたり腕が鱗で覆われている者もいる。その為他種族からあまり好意の目は向けられなかった。
部分的に自分に当てはまるものもあり、この種族なのではないかと思う。だが情報量が少なすぎるしこのページの破れ方は明らかに意図的だ。何者かがこの情報を後世に伝えづらくしているのだろう。
このことをルメガさんに伝えに行こうと部屋を出る。すると突然窓ガラスが割れ矢が自分の顔にめがけて飛んできたので剣を素早く抜いて弾く。
明らかに誰かに狙われているな、窓から身を乗り出して辺りを見渡す。少し遠めの木から何者かが飛び出して庭に落ちた。黒ずくめの男は気絶しており同じ木からルメガさんが飛び出してきた。何かを探すように男の身体を漁り始めた。自分は別館から本邸の庭に辿り着くと自分の他にも仲間がおりルメガさんが何かを持ってこちらに近づいてきた。
「まさかこいつらに狙われていますとはな」
その手にはエルドリアの紋章が逆向きのペンダントが握られていた。これはこの国に来る前にネモリアさんとキュミーを攫おうとしていた連中と同じ紋章だ。
「お父様こいつらは何者なんですか?」
「こやつらはザイール教。反勇者教を唱え魔王軍へと魂を売った者達だ」
「なんだそりゃ元々は魔王軍と戦ってたってのに寝返ってんのか?」
「そういうことになりますな。ですが先日ザイール教は何者かによって大きな損害を喰らったはず。それでもソールを狙ったのであれば相当に狙われる理由があるのでしょう」
最初はネモリアさんとキュミーを狙ってきたのに今度は自分を狙ってきたのか一体何のために。
「なんか狙われるのも厄介だな。本拠地とかわかりゃ殴り込みいくんだがな」
「分かってたらお父様、いえそれどころか我が国の騎士団が黙っていないはずです」
「そうですよね、これだけ危ない連中を放っておけないですもんね」
「そういう情報を知っていそうな方といえば騎士団の上層部、それか慈愛のハウゼントぐらいでしょうな」
そうか情報を持ってるのは王家に近い人達だけなのか。それじゃ自分達にはどうしようも...
「うん?なんだハウゼント知ってんのか?なら会いに行けばいいんじゃねぇのか?」
「「あっ」」
その言葉を聞いて間抜けな声をネモリアさんと一緒に出してしまった
「ハウゼント殿と知り合いなのか?なら聞いてみたら意外と本拠地を知っているかもしれないな」
そうだ、自分達には心強い味方がいたのを忘れていた。だがハウゼント以外のエクスキューションは自分達のことを抹殺対象に見ているはずだ。どうやってハウゼントに会いに行けばいいんだ?そうやって悩んでいるとベルゴフさんがニヤニヤし始めた。何か嫌な予感がしたがなんかいつも通りな気がしてきた。
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「それで部下達の目を躱すために考えたのがこれですか。えー、正面から単身で突っ込んできたベルゴフさんが暴れているうちに私の所に辿り着いたで合ってますか?」
「はい、その通りです。なんかそれが一番簡単で手っ取り早い気がしたので・・・」
「確かに私の部下は皆あなたがたについての評価は最悪でした。話を聞く人たちではないのでまぁいいです。それで用件は何ですか?なるべく手短にお願いしたいのですが」
「ハウゼントさんザイール教って知ってますか?」
「はい、もちろんですよ。昨晩本拠点である第一拠点以外が謎の光と共に消滅した。そこにいたはずの構成員は全員行方不明となり、見つかったのは魂を抜かれた状態の第二司教のみですね」
ルメガさんが言っていたことは本当だったようだ随分と派手に被害を喰らったらしい。それにしても消滅、魂を抜かれた状態?そんなことが出来る人がいるのか。
「でもすごいねそんなすごい術を使える人がいるんだね」
「あー、魂を抜く術と建物ごと消滅させる術を使える方は全世界を探しても...たった1人しかいないんですよね」
「えっ、それっていやもしかしなくてもノレージ様ですか?」
「まぁそうだろうなそんな芸当出来んのはあの爺さん以外思いつかないな俺は」
いつの間にか部屋に入ってきたベルゴフさんが果物を摘まみながら休憩していた。正面玄関の方を見るとエクスキューション団員の人の山が出来ていた。優に100人は超えているんじゃないか?よーく見ると打撃を与えた部分の鎧が砕けておりどれも急所に当てて気絶しているようだ。
「しかしこの果物みてぇに歯ごたえなかったな。鍛えなおしたほうがいいんじゃねぇか?」
「これでもここにいるのはベテランで実力を持った人達なんですがね。あー今晩の第一拠点襲撃するための人員が足りなくなったなー困ったなー」
「それは大変ですね、自分達も手伝えればいいんですが」
「じゃあ手伝えばいいんじゃない?!」
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