#6 現状確認
「そうかそんなことになってたのか、悪いなほんと寝てて」
「そうだよ!本当に不安だったんだから」
自分が目覚めウェルンが落ちついたあと何があったか教えてもらった。まず自分の意識がなくなって倒れてしまってから数時間が経った。その頃自分らの村に王都から商人さんが仕入れにやって来た。そこであの惨状を見て近くに生存者がいないのか探したところ見つかったのが自分達だった。商人さんが顔見知りでほんとに助かった。
村人それぞれの安否確認をしたところ、自分らだけ見当たらないのが分かって必死に探してくれたのだ。そして王都近くの商人さん宅まで運ばれ、その後自分の看病をしてくれたがなんと自分は倒れた日から数えて6日も寝ていたという。その間商人さんの娘のセリルちゃんがずっと見ていた。そして毎朝毎朝顔面を何回も張り手をして起こそうとしてくれたらしいその甲斐あって自分は目覚めたとのこと・・・ほんとか?
「いやー見つけられて良かったよ昔使ってた商売ルートを見に行ったらたまたま2人を見つけたんだよー」
自分達が見つけられた道というのはメルクディン大陸の現在の地図に記されておらず、過去に使われていた王都メルドリアへと続いている道だ。数年前に各村から王都に繋がる道の老朽化に伴い、メルドリア王国五代目国王であるグラス・メルドリアによってグラスロードが出来てからは全く使われてなかった道。その道中に自分達は倒れていたらしい今思い返してもあの地下道はとてつもなく長かった気がする。
「なるほど、だいたい分かりました本当にありがとうございます」
「いいよいいよ君たちだけでも無事で良かったよ」
「そうねぇ特にあの子心配してたわよ毎日看病してたんだからって・・・寝てるわね、あなたの元気な顔見て安心したのかしらね」
「そういえばコルロくんはどうなったんだい村でも見かけなかったが...」
「あいつは自分達を守る為に...」
そこまで話すと商人さんは手で制してくれた、言わずとも分かってくれたのだろう。そうかコルロはもうこの世界にいないのか・・・
「あなたちょっといい?」
「うん?ごめんねソールくん席を外すよ」
「じゃあ私が遊んでもらうねーいいでしょー?」
「ああもちろんだともおいでーセリルちゃーん」
滅入った気分とこの場の気まずい空気をセリルちゃんの相手をしてはぐらかすのだった。
********************************************************
あれから数日が経った、6日間眠って鈍っていた身体もほぐれた。あの戦い以降この紋章は一切変化はなかった。今思えばあの力はなんだったんだろう。自分は勇者の末裔ではないので力を扱えるわけがない。出来るのは父親から教えられた{竜剣}の基本の型となる剣に魔力を纏わすという武器術だけだ。壱の剣だって父親の使ったものとは違ったし夢に出てきた剣術士の使う壱の剣とは全く違ったそもそもあの夢もなんだったかも分からない。
「ソールーご飯出来たってー」
「分かった、最後もいっかいやったら終わりにするわ」
剣を持ち目の前の岩に構える。そして竜剣...壱の剣{撃竜牙}を放つ。何回も剣を振るいその反動を剣に伝えて回転攻撃を放ち岩の反対側へと着地をする。岩に亀裂が入り粉々に砕けた。
竜剣術の壱の剣は連撃技になると父親から聞いたことがある。この壱の剣が基本となって弐、参と発展していく、父親は伍の剣まで使え夢に出てきた剣術士達はなんと漆の剣まで使えていた。竜剣術は捌の剣まで使えると竜剣術を極めし者となるらしい。その中で自分はやっと壱の剣が使えるようになった。これから自分はどこまで使えるようになるのかとても楽しみだがやはり分からないことがある。
何故勇者の紋章が自分に応えてくれたのか。我が家には家系図はない為ご先祖様達が勇者ゴレリアスの末裔だったのかどうか確かめる方法もない。あれ以来紋章を身につけているのだが特になんの変化もない。何か条件を満たすとあの時のような特別な力が発揮されるのか村で守られていた長い月日によって紋章に力が溜まっていたのか。それも明日王都へと向かい魔能と術適性を検査しに行くので分かるはずだ。その日の晩も商人さんの奥さんに料理を頂いたりセリルちゃんと遊んだりしながら先程のことを思考しつつ夜は更けていくのだった。
********************************************************
投稿間隔がとても不定期気味になってしまい本当に申し訳がありません
自分自身書かなければと思ってはいるのですが時間がなかったり
何も思いつかずに時間が経ってしまったりと色々と物語を書くにあたって
心構えや読みものを書く経験が甘いのですが温かい目で見て頂けると幸いです
御購読ありがとうございましたまだまだ続くので良ければ見に来てくださいな
2019/10 新村夜遊