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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
獣王邂逅

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54/246

#54 旅立ちの日

「すまんなソール坊。フィオルン様は今苦しんでるからよ代わりに伝えることあったら伝えとくぞ?」

「そうですか、自分達はまた大陸を渡ろうと思ってます」

「ヴァル大陸に行くのか。あそこならさらなる勇者様の情報がありそうだもんな」


 そもそも自分達はこの国に来たのは勇者様の剣の在処を教えてもらう為だった。だがフィオルン様の力を持ってしても詳細な場所は分からなかった。それならもう一つの国に行くしかないだろう。自分達の仲間であるネモリアさんの故郷エルドリア共和国へと。


「エルドリアはゴレリアス様のおかげで作られたようなものですからね。確かに情報があるかもしれません」


 キュミーがすごい首を傾げていたので教えることにした。ウィンガル族自体の歴史はとても深いがエルドリアという国は出来て間もない新興国である。

 エルドリアは今でこそ術の研究が最も進んでいる国。元々は術を禁忌とし術を使おうというものなら人外扱いをされたという。ネモリアさんのように弓を使う人、他には槍を使う人が主だったそうだ。そんな中国が作られるきっかけともいえるある時事件が起こったのだ。

 それは物理耐性を持つスケルトンの軍勢との戦いだ。それまでの戦い、魔族に対してエルドリアでは優位に戦っていた。だが敵軍によって術を使わないことを見抜かれ、多数の犠牲者を出してしまった。そこに勇者ゴレリアス一行が来たことにより、魔王軍とエルドリアとの長きに渡る戦いに終止符が打たれた。

 これを機にゴレリアス一行によって、エルドリアの若い人や術の適性があった者達を中心に術大国エルドリア共和国が建国され、初代国王にはゴレリアス一行の最強の術師であるノレージ・ウィンガル様が選ばれた。

 もし勇者ゴレリアスがヴァル大陸に渡っていなかった場合、ウィンガル族は滅んでしまいノレージ様も死んでしまい。ヴァル大陸そのものが死の大地となり、王位を譲ってノレージ様が新たに冒険者ギルドというものが作られなかったかもしれないのだ。


「ん?ノレージ様が治めてなかったら今一体誰が収めてるんですかネモリアさん」

「確かノレージ様が信頼する者に任せたらしいですよ。えーとあれ名前なんだっけ・・・」

「そんな印象薄い人なの!?」

「言われてみればそうだなあいつなんか影が薄いつーか気配がないっていうか・・・」

「エルドリアの王様と知り合いなんですか?!」

「ん?あぁあいつも俺とおんなじ師匠を持つやつだからよ」

「「「えっ!?」」」


 驚きの声を上げた3人はそれぞれ見合わせている。ゴルドレスさんと師匠が同じ...それってつまりエルドリア王も竜の子供と呼ばれるゴレリアス様の弟子なのか。


「あいつもそうだったのか知らんかったわ」

「ベルゴフさん面識あったんですか?」

「たまーに師匠と一緒に来てたんだよ。まさか本当に王族だったんだな」


 なんだろう、話を聞いているとエルドリアの国王は全然風格というか威厳はないのか。というかこの感じ。ベルゴフさん王族と全員知り合いなんじゃないか。


「ベル、他に俺の兄弟弟子と関わってるんじゃねぇか?」

「確かに色んな奴とは関わるが、ウィンガルの知り合いはゴースしか知らんな」

「今ゴースって言いました?」

「ネモリアさん何か知ってるんですか?」

「いやなんでもないです」


 なんでもないと言うネモリアさんは少し曇った表情をしていた。何か心当たりがあるのだろう、でも自分から言いたくないことをわざわざ聞くほど自分も馬鹿ではない。


「それはそれとしてこの国から出るときは気をつけろよ。おそらくエクスキューションの連中がソール坊を捕まえようと企んでるかもしれないからよ」


 そうだ、今はそっちの問題を考えなければならないな。向こうの指揮官はベルゴフさんと同じでマイオアのゴリゴリの戦闘タイプだと聞いている。他にも直属の部下5人と力を合わせられたらどう頑張っても単純な力量差があるだろう。


「なら港でやったのと同じ要領でどこかにあいつらをおびき出せばいいんじゃないか?」

「ベル、アルドリア騎士団団長として先に言っておくぞ。街に少しでも危害を与えるなら牢にぶち込むぞ?」

「冗談だよ冗談、普通に監視の目を掻い潜って早く港に行こうぜ!」


 そんなことをベルゴフさんが言ったと同時に強く扉が開かれ少し負傷した騎士団員が入ってきた。


「どうした、何があった?」

「城の南東の我々の宿舎のあるところに襲撃者です!」

「くっこんな時に相手はどこの族だ!」

「いえ、族ではなく黒鎧姿つまりはエクスキューションの者と思われます!」


 まさか王宮を襲うなんてな。エクスキューションもなりふり構わなくなってきたのか。自分を狙っているはずなので、とりあえず部屋の荷物を持って早くこの国を出なければ被害が出てしまう。


「ソール坊急げ!向こうは強行策にうって出たみたいだ。騎士団で少しでも時間を稼いでるうちに逃げるんだ」

「はい分かりました!」

「後それとヴァル大陸のエクスキューションのゼク・ハウゼントに会え!あいつなら事情を分かって協力してくれるはずだ!」


 ゼク・ハウゼントかちゃんと覚えておこう。でも世界の平和を守ることが目的のエクスキューション。どうして平和を脅かすような真似をするのだろうか。ヴァル大陸のゼク・ハウゼント、エルドリアの王様は一体どんな人なのだろうか。自分達はそれぞれ自分達の部屋に戻って荷物を急いでまとめるのであった。

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