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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
獣王邂逅

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53/246

#53 幕間

『今あの国に居るはずの魔勇者一行を捕らえろと言った筈だぞドーガ。捕らえられんとはどういうことだ?』

「今言った通りだよ。国王殺しで指名手配されている魔勇者ソール、アルドリアにいる限りは女王フィオルン・ビースの名において手出し無用とするそうだ」


 というか何を焦ってるんだ。ギルガバースらしくないな、ギルガバースもビース族のためか強者以外を認めない古い考えを持っているのは分かる。まぁ生まれ育った国の安否よりも仕事の方を優先するとは流石だがな。


『まぁいい、お前も強いやつと戦いたんだろう。勇者って肩書きのついたやつとは戦って見たいんじゃないか?』

「いや、遠目から見た感じだとまだまだ未熟な感じするからな。どっちかと言えばマイオアの拳術士と戦いてぇな」

『あくまでも手配されてるのは勇者ソールだ忘れるなよ。お前はエクスキューション三闘士、剛力のドーガだからな』

「どういうことだ?おい!ちっ切りやがった最後のはどういうこったぁ?」


 秘密裏に通信術を使うために裏路地で話を聞いていた。この国の治安はサルドリアに比べて悪いとも言える。だが一度裏を牛耳ってしまえば何も害するものはない。ここもそいつらが絶対に誰にもバレないと言ってた場所だ。表の扉も剛力隊に見張らせているので誰かに襲撃される心配はない。


「まぁとりあえず陣形を組んで、勇者一行が出てくるのを待ち構えるか。おい、剛力隊!・・・まさか」


 戦闘態勢を整えて表に出る。そこには見張らせていた剛力隊がやられた姿だった。そこにいたのはたった1人の俺の上司で世界最強の武神だった。


「あんたがやったのか?」

「...ああ」

「どうしてだ?なんのために俺の部下を殺した!答えろマスター!!」




********************************************************




 ・・・頭が痛い、昨日は確実に飲みすぎたな。全然何も覚えてないぞ。身体を起こしてふと気づく、あれ服は?ここ自分が使っていいて言われた部屋じゃないな...というか天蓋付きのベット?


「あらもう朝?」


 後ろから聞こえた声に驚愕してしまう。恐る恐る後ろを向くと女王フィオルン・ビースが寝ぼけ眼を擦っていたのだった。


「うわぁぁぁぁ!!」


 声を上げながらベットから転げ落ち、周りを見渡して自分の服を見つけて急いで着替える。そこで昨日の夜何があったかをはっきりと思い出した。

 確か酒に潰れた人達を部屋が近い人が送ることになって、フィオルン様を部屋まで運んだ。その後部屋を出て自分の部屋に戻ろうとしたら部屋に案内したはずのフィオルン様に突然捕まえられた。そのままベッドに引きづり込まれ、あまりの寝心地の良さと疲れに襲われて抵抗するのを諦めてそのまま眠ったんだった。


「し、失礼しました!!」


 支度をして部屋から急いで出て自分の部屋に戻っていた。曲がり角から誰か来ていることに気づいてはいたが、起きたばっかの身体では避けることが出来なかった。壁に腕をついて進路を塞いでしまい、目の前のネモリアさんととても近い距離で目を合わせた。初めて出会った時から思ってはいたが可愛いよな。でも昨日の祝勝会での格好を褒めたらどこかに行ってしまったし今も目の前で身体を縮ませている。


「ソ、ソールさん?」

「あ、ご、ごめん離れるよ」

「本当に昨日からいったいど...」

「うん?何か言いました?」

「な、なんでもないです。私はキュミーのところに行ってきます、それでは!」


 またそそくさと行ってしまった。ああこれはもっと嫌われてしまったなこれから先の旅が心配だ。




********************************************************




 そうか、私は確か普段飲まないお酒を飲んで潰れてしまっていたのね。それをソールが運んでくれたのね。それにしても彼は本当に何者なのかしら。

 確かに私は彼の勇者の力を見た。全ての力を出し切れてはいなかったけど、かつて共に旅をしたゴレリアスと同じ力を持っていた。でも多くの兵士やゴルドレスが彼の魔族としての姿を見たともいう。しかも全盛期以上の力を手に入れたじぃやを圧倒的な力で倒したという。


「それにしてもさっきの慌てようったらないわね、まるで本当に昔のゴレリアスみたいだったわ」


 服装を整えて部屋を出て玉座の間に向かっていく。その途中、廊下の隅で顔をうずめているネモリアがいた。


「どうしたの?ネモリアそんな隅で」

「フィ、フィオルン様!?い、いえ気にしないでくださいちょっとした気の迷いが」

「気の迷い?」

「な、なんでもないです失礼します!」


 急いでどこかに行ってしまった。あの後ろの姿を見てかつての自分を重ねた。あれは誰かに対して好意を持っている。けど、それを表に出さないように振る舞っている姿ね。でも、ああやって、たまに誰もいないところで爆発してしまうのよね。


「そういうことね、今分かったわソールが誰に似ていてどうして魔の力を使えるかを」


 そうやって少しだけ懐かしい感覚に浸っていると、雷に打たれたような衝撃が身体を走る。これは、来るわね。久しぶりに大幅な{未来予知}が。

 身体の力が抜ける前に廊下のソファーに腰掛ける。頭に激しい痛みが襲いかかってきた。最初に比べて身体を巡る魔力が炸裂するような痛みには慣れた。でも頭の中を巡る感覚には全く慣れないわね。いったい何が見えるというの?これほどの痛みはフィーザーの死期を見た時と一緒ね、これはかなり先の未来いや過、


「ああああああああぁぁぁぁぁぁ!?」

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