#32 妖艶、一方その頃
「今はとりあえず目の前のこいつを片付けるのが先よ、この子をお願い」
「はい...」
いつの間にか腕を切り落とされ動きが鈍くなっているキマイラ。流石に右腕を切り落とされたとなると辛いのだろう。だが速度は衰えていないどころかさらに速くなっていて自分の目では追いづらかった。
「は、速い!」
魔族の女性に飛びかかり奴の爪が身体を捉えたと思ったら。次の瞬間に左脚と背にある翼を切り落とされていた。
「ただ動き回ってるだけよ。攻撃の時だけに集中してれば何も怖くないわ」
あの硬い装甲をものともせずに切断していた。なんて強さなんだ、もしこの人がこの後自分達に襲いかかるよう事があったら。キマイラが残った右脚と手を使い海に逃げようと逃げていた。
「もう眠りなさい、あなたはもう十分に生きたわ」
女性が鎌で首を切り落としキマイラの動きが完全に止まる。あんなに苦戦していた敵をこうも一瞬で倒すとは。鎌をしまいながらこちらに向かってくる。
「あーそんな身構えないで欲しいんだけど・・・」
「いやあなたは魔族なんですよね・・・どうして自分達を助けたんですか」
話ができそうな相手には話をもちかけて平和的に、いや待て平和的とゆうか今が平和なのでは?
「ソール、身構えなくていいんじゃない?助けてくれた人なんだし」
「そうですね少なくとも向こうの方には敵意はなさそうですね」
「分かった分かった、もうなんかこれだと自分が悪者じゃないか!!」
助けてくれた彼女は何もない空間から何かを取り出した。ローブか?そのローブを羽織りこちらに向き直す。
「今回だけよ勇者ヒュード・ソール、次は自分で倒しなさい」
そう言い残すと彼女は羽を広げ空へと羽ばたいて行ってしまった。あの人は自分が勇者だとどうして知っていたんだ?それはいいとして・・・
「キュミー、大丈夫か?」
「うん、すこしこわくてないちゃったけどつばさのひとがたすけてくれたからだいじょうぶ!!」
「本当にあの魔族の人には助けられちゃったね、いい人もいるんだね」
「そうですね、私が思ったのはあのさっきの方は本当に魔族なんですか?翼はあれど見た目はヒュードに見えましたね」
言われてみればそうだ。翼は魔族のそれと同じだったがそれ以外は成人した大人のヒュードと変わりないように見えた。うーん・・・なんだろうどこかで聞いた事がある声だった。ような、ん?ウェルンがこっちに近づいてくる。
「ソール何かいやらしいこと考えてないよね!?」
「!?な、何言ってるんだ!?」
「だ、だってさっきの人、そ、その...胸大きかったし...」
そう言われてみて先程のローブを脱いだ姿を思い出してしまった。確かに...大きかったな・・・とゆうよりかはあんな格好されて見ない人はいないというか。
「もう、ソールの変態!!」
「ま、待て杖は、やば」
杖が頭にぶつかり意識が途切れていく。ウェルン、今の一撃は良かったよ。杖を振る速度も威力もさっきの人と変わりな...い....よ.....
やっちゃった。でもこれはソールが悪いんだよ!確かに、確かにさっきの女の人は綺麗な人だったけどさ!わ、私だってまだまだこれか...
「大丈夫ですか!?ソールさん今ゴーレムに運ばせ...」
目の前のネモを見てつい自身の気にしているところに手を置いてしまった。ネモにはあるのだそこに確かな女性としての膨らみが。それに比べて私は、視線はまっすぐ床を見てしまう。
「おねえちゃん?どうしたの?なんかげんきないよ?」
キュミーも成長したらあれぐらいに成長するのだろうか。もしそうなったら...ってそんなこと思っちゃだめ!!・・・でも、でも、でも!やっぱり欲しいよ!!後でソールでも看病しに行こう杖で叩いちゃったことは後でちゃんと謝っておこう。
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「ふぅ、周囲もメルクディン大陸と違う建築様式でビース族が多いな!よし着いたぞ!マクイル大陸!!」
でもあれ?ここ北マクイル港だよな?まだ坊ちゃん達着いてないのか先着いちまったな。何してるかなー流石に走り疲れ...うん?なんだあそこ人が集まってるな。掲示板に何か張り出されてるなえーと・・・『メルクディン大陸より来たりし船、例えそれが王族の物であろうと問答無用で審査する』か。
こりゃ不味いな坊ちゃん達がどうにかして王族に属する船に乗ってたとしても検問されてそこで捕まっちまう、そういえば南メルクディン港で手配されてたよなソールの坊ちゃん国王殺しの罪で
「あ、そうかならあいつらが抜けやすく荒らしときゃいいのか」
拳を固めて大きな声で呼びかけている奴らに向かっていく。黒鎧の集団に近づくそして闘気を溜める。
「いっちょ暴れるか!!オラァ!!!」
目の前にいた黒鎧の集団を吹き飛ばす。そして異変を嗅ぎつけて気配が大量に近づいてきた。これで俺もお尋ねものだしな、なら指名手配犯らしく暴れてやりますか。継承した力を試すのには絶好の機会だ。許せよこれも師匠と交わした盟約を果たすためだ!!




