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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
闇の中

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208/246

#207 再認識

 無数の矢と羽がこちら目掛けて飛んでくるが剣と盾を使って弾き落とす。いくらかは被弾しそうになるが術壁を展開しながら身を翻して躱す。流石はネモリアさんの攻撃、以前よりも質と量どちらも上がっている。魔能が覚醒した為矢だけでなく羽にも魔力が込められ鳥弓術が放たれている。こちらも魔力を込めた剣を振るわなければ相殺は出来ない。


「今日はここまでにしようかソール」

「本当に毎日ありがとう」

「いえ私もまだまだ強くならないといけませんから...」


 数日前寝る前にもうひと頑張りと素振りをしていたら戦いませんかとネモリアさんから誘ってきた。こんな遅い時間まで起きているようになっていたのも驚いた。それ同時に互いの為にこの機会は逃さない方がいいと思った。

 というのも自分も竜剣を使えるようになった直後は闇雲に剣を振るい、個能が{勇者のオーラ}かもしれないとなった時は早く使いこなさなければと夜遅くまで修練を積んだ。ネモリアさんも鳥弓術を継承した直後、使いこなせるようにと自己流で修練していたのを知っている。そしてこの方法では限度があるということを自分はよく分かっている。

 ベルゴフさんによく相手をしてもらっていたのも実践に近い修練をしたかったからだ。ただ同じ相手と戦っていても変に癖がついてしまう恐れがあるとウアブクスに教えられた。彼に剣を習っている時何度か魔物と戦わされたことがあるが今思えばその為なのだろう。

 かなりの時間相手をしてもらったので解散しフィオルン様に作ってもらった水浴び場が空くのを待つ。すぐ行かないのはネモリアさんが使っていると思ったからだ。改めて空を見上げて物思いにふけることとした。

 この数日相手をしたからこそはっきり言えることがある。あの戦いを境に自分も強くなったとは思うが、ネモリアさんはもう自分よりも強い。なんならベルゴフさんと同じぐらい、かつての勇者達と同等の実力を持っている。自分より強い人達は相手が敵対している者でなければ全力を出すこともない。いや誤って力を出し過ぎてこちらを壊さないように配慮してくれている。


「みんな自分の力を最大限引き出してるんだな」


 正直言って新勇者一行で一番弱いのは自分だろう。ベルゴフさんは拳神様に認められた闘気の使い手でその実力はもう英雄級。ウェルンはフィオルン様に負けずとも劣らない聖術の使い手。キュミーとフォルちゃんはまだまだ戦うようになってから日が浅いにも関わらずもう既に追いつかれ、いや見ない間にさらに強くなっていることだろう。そして個能が覚醒したネモリアさんだ。自分が前にいると思っていてもいつの間にか先を走っているのかもしれない。

 少し悪寒がした。先程の修練でかいた汗が夜風で冷えたのだろう。明日も早いので足早に水浴び場に向かい出した。だがこの後思考していた時間が短かったことを知る。自分も成長してはいるんだなと感じながら視界が翼に覆いつくされていくのであった。





「・・い坊ちゃん大丈夫か?」

「う、ううん、あれ、ててて....」

「ったく、修練も程々にしておけよ?こんなところで寝てたら風邪ひくぞ」


 自分は水浴び場の近くで目を覚まし寝ぼけ眼を擦る。確か昨晩は修練の後汗を流そうと思って水浴び場に来たはずなんだが・・・少し匂うか?ベルゴフさんに起こされとりあえずシャワーを浴びて身綺麗にする。それぞれが支度を整えて朝食を取るがネモリアさんがこちらを気にする様子を見せている。いったいどうしたというのか。


「あ、ソール昨晩も遅くまでネモと戦ってたでしょー?」


 朝食を作っていたウェルンがこちらを見るなりそんなことを言ってきた。まだどこか汚れているのかと不思議に思っていたらアンクル様が手鏡を渡してくれた。そこに移った自分の顔を見ると顔に何かの痕が赤く付いていた。よく見たら羽っぽいのか?昨晩喰らっていないかと思ったらこんなところに出ていたのか。


「防いだつもりの攻撃が、とか思ってません?」

「え、違うの?」

「いやそれで大丈夫ですよー」


 ネモリアさんの様子が再び変わり少し不貞腐れたような感じになった。顔につけられたのは鳥弓術じゃないとしたらどうやってつけられたんだ?考え事をしているとキュミーが飛びついてきた。


「お兄ちゃんおはよー!」

「ちょ、キュミー?!」


 この行動は小さい時から朝一番にやってくることなのだが成長してからもやってくるのは正直やめてほしい。色々と朝から心臓に悪いんだ、背中に感じる確かな膨らみとかさ!やらないように注意したんだが習慣がついちゃってるんだろうな。


「こらこらキュミーはしたないですよ」

「ちょ、ちょっとフィオルン様!?」


 声がした方へと振り返るとそこには若干着崩れた寝間着姿の女性がいた。視線を一度そちらの方に向けてしまったが最後、目を背けた先でウェルンのスナップの利いたヘラの一撃が決まり見事吹き飛ばされるのであった。意識が遠のく中で強くなったことをより実感した。だがせめて道具ではなく素手でやって、ほし、かっ...

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