表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
闇の中

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

207/246

#206 再集結

 大きな世界地図が広げられた机、おそらく軍択のある部屋へと案内された。この部屋で待っていてくれと言われたので地図を眺めてなんとなく今の魔王軍との情勢を学んでおくこととする。薄い黒い靄で覆われた箇所と見慣れない黒い点ががあるがおそらくこれが今の魔王軍が侵略しているところ。色分けされた大きな駒が9個あった。

 肌色はヒュード族のウェルン、茶色はマイオア族のベルゴフさん、青色はフィンシー族のキュミーとミュリル様、黄色はビース族のフォルちゃんとフィオルン様、紫色はデビア族のアンクル、そして残す色の駒は緑と白色。どちらかはエクスキューションのハウゼントだとしても、もう1人は自分の知らない実力者をこの駒は表しているのだろう。

 ヴァル大陸は緑の駒がありマクイル大陸は茶色と黄色と白色の駒がある。どちらもまだまだ膜で覆われている。それ以外はメルクディン大陸の南と東にそれぞれ分かれて魔王軍と戦っているってところだな。そしてこの黒点が魔王城、この辺りだけ靄の色が濃くここから各大陸に黒色の何かが流れている。


「こちらです姫様・・・どうかされましたか?」


 と思考していたら誰か来たのだろうと後ろに振りかえ...






 普段止めることが少ない脳が止まる。自分も相手も物凄く驚いている。後々話した時に互いに死んだと思っていたらしく驚くのも無理はない。

 視線の先にいるのはとあるウィンガル、最後に彼女の姿を見た時のことは忘れることはない。キュミーとフォルちゃんを攻撃から守る為に翼を広げ、見る影もない程爛れ腐ってしまった翼。か細く息をしながらこちらに微笑みながら息絶えた姿を自分だけでなく仲間も確認している。

 ありえない、別人かもしれないその可能性もあったのかもしれない。だが共に旅をしてきた仲間の顔を忘れるわけがない。視線の先にいるのはこの前の戦いで死んだはずのネモリア・ゴース・ウィンガルなのだから。駆け寄り腕を広げると向こうも広げて抱擁をして再会を喜ぶ。まさかあの状態から生き残っていたとは...






 ・・・あれ?私生きてる?鳥のさえずりと懐かしい香りで目を覚ます。ここはどこかの森の中の花畑で周りには鳥や兎などの動物がいてどこか平和を感じた。だが空の色を見て束の間の安息だということを確認した。私は確か魔王軍と戦ってお父様の{育鳥(グロウ)}からキュミーとフォルを守るために翼を広げて守、


「て何これ!?」


 元々ウィンガル族にしてもかなり立派な翼だと同族から言われていたことはあった、だが目が覚めたら自身の翼とは思えない様変わりした翼になっていた。と驚愕していたら草陰から魔獣が飛び出してきて咄嗟に翼を振るう。すると光り輝く羽が魔獣へと突き刺さりそのまま息絶えた。

 今までこんなことは出来なかったのにと思ったがまさか...これが私の魔能、いや個能なのかもしれない。自身の変化した翼をどこかで見たことがあった気がしたが確かあれは世界樹の書斎で読んだ伝記。そこに載っていた伝説の聖獣ウィングガルーダの翼と同じなんだ。

 各種族には元となった聖獣や神がいて信仰の対象等になってたりする。そして今の私の翼はそんなウィンガル族の祖に酷似した翼となっている。その伝記にも翼を振るうだけで敵が倒されたみたいなことが書いてた記憶がある。

 と自身の変化に驚いている場合ではない、とりあえず私の無事を知らせなければ。そう思い翼を広げ大空へと飛びだった。






 そしてヴァル大陸から情報を辿ってここまで辿り着いて他の皆とも合流したという。再会した時にみんなもちろん驚いていた。だがそれ以上に自分もそうだが無事でよかったと安堵した。さらに変化した翼についても話してくれた。

 魔能ではなく個能だったので{ウィンガル}と名付けたその能力は、翼に聖術の力が帯びており相手の魔の力を無効化出来るらしい。さらに羽を矢の代わりに出来て翼を振るえば羽を放てて魔力を込めることによって{鳥弓術}も放てるという。弓がなくとも{鳥弓術}が放てるようになったがやはり弓を使った方が威力は高いらしい。


「まぁ私の話はここまでにして私達が今何してるかについてね」


 軍卓の方に向き直り手を翳すとヴァル大陸の靄と駒が消えメルドリア、今この場所に緑色と紫色の大きな駒が出てきた。その他の所の靄も晴れこのメルクディン大陸に至っては靄が無くなりこちらの方に駒が近づいていた。


「これは冒険者ギルドにあった情報卓で国で使われていたものと同じ機能を持っています」

「これで主要国家を奪還していたみたいな感じですか?」

「流石ソール、言わなくても分かりますか」


 伊達にいつも考えてはいないからね。憶測で話を進める必要がないのでちゃんと聞くことにした。

 まず大まかな目的として魔王軍と戦い各地に残っている戦力を王都に集中させ魔王城へ突入することが目的だという。あの島で戦ったのは有志で集まった冒険者や義勇兵、エクスキューションの過半数でまだまだ自分達も戦力を使い切ったわけではない。


「ウェン達が戻ってきたらおじさま達がまだ戦ってるマクイル大陸の応援に行こうと思ってるんだけど...」

「もちろん一緒に行くよ、戦力は1人でも多い方がいいんでしょ」


 その後メルドリアに帰還したウェルン、キュミーにもみくちゃにされたり母さん達とも合流し、自分達はマクイル大陸に向かうことになった。どうやら向こうでは厄介な魔族がいる可能性があった為、マクイルで戦い慣れているフォルちゃんとフィオルン様。自分達新勇者一行の中でもかなりの実力を持つベルゴフさんとハウゼントがいる。

 だが思った以上に苦戦をしているので自分達は足早に向かっている。向かった仲間たちのことを信頼していないわけではないが万が一という事もある。もう2度と仲間を失う気持ちは味わいたくないものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ