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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
暗黒への序章

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#190 翼の英雄達

 私が放つ矢と父上の放つ矢同士が衝突し地面へと落ちる。矢を矢で弾ける技術を持っているのは世界で考えても数える程しかいないはず。秘密の翼王として名は知られずとも世界に実力を示し目に見えない神秘扱いされている、それが私の父親ルメガ・ゴース・ウィンガル。

 そして多種多様な術を展開しキュミーとフォルの2人を相手にしているのは兄上。エルドリア共和国建国以来ノレージ様を除いた術士で最も才能があるとされ王宮魔術師という称号を与えられた、ナザ・ゴース・ウィンガル。

 父上は竜騎兵によって瀕死にさせられてしまい私に{鳥弓術}を託しこの世を去り、兄上はノレージ・ウィンガルとの一騎打ちで格の違いを見せられ空に消えていったそうだ。勇者一行には及ばない実力者という認識が世の中の大半の人の認識。だがそれは違うことを私だけは知っている。

 生前見た父上よりも若い姿で蘇っている、エルドリア王ではなくまだ王となる前の枷がない全盛期のルメガ・ゴース。そして生前に比べても術の精度が段違いに見て分かる、いや全くの別人が使っていると言っても過言ではないナザ・ゴース。おそらくだが兄上を蘇らせたサピダムの術の使い方が反映されているのだろう。何故かって?術の放つ姿が兄上のそれではなくサピダムの姿と被るからだ。


「もぉー!やりづらいよー」


 そんなキュミーの叫びが聞こえてきたので加勢しに行こうとしてもそれを許さない父上。流石はノレージ様が認めていた2人だ。エルドリアを建国した際、仕方なく王となったノレージ様は王となる器を持った後継を探していた。そんな中で見つけたのがノレージ様が旅に出てから後にエルドリアとなる地域を魔王軍と闘い守っていた父上らしい。ゴレリアスから武器術を教えられていたのもあって実力も信用していたが何よりも自己犠牲の精神に惹かれたという。

 他者を守ることに関してはあのゴレリアスと同等かそれ以上でそこに王の器を見た。だがエルドリアの王を譲る話をした際は断られてしまったという。その理由というのも立場に縛られ守れるものが守れなくなるのを恐れたとのことだ。何度も脚を運びその熱に負けたのか国民には父上が王という事は知らせず魔王城の封印を継承し、この前の戦いまで秘密の翼王として国をも守っていた。


「それにしても父上も流石の腕前ですがやはり兄上も強いですね」


 2人がかりだと言うのに手玉に取っている兄上、私達は生まれた時が数秒しか違わない双子だった。父上の戦いの才を受け継いだのは兄上で私は母上の美しい翼を受け継いだ。小さい時から父上が仕事をする所に2人で忍び込みその度に家の者に怒られていた。

 その背中を見て兄上は守る力をより求める為自身の才能を証明する為国内に留まり、私は実力を磨くと共に見聞を広める為に世界へと旅立っていった。エルドリアを旅立つ最後の夜、兄上と大喧嘩をして半ば家出のような形でエルドリアを発ったがあの頃には既に魔に染まってたのだろう。

 ノレージ様と同じく六術の適性を持って生まれエルドリア建国以来の天才術士、それがナザ・ゴース。私と違って才能の塊な兄上はその力でエルドリアの術理論、いや世界の術理論を数百年規模で進歩させたという。その話をする度、マジックアルケミストことゴレリアス一行として旅もしていたノレージ様と比較されていた。強さを求め実力でねじ伏せてきた兄上だったがその話題が上がった数日後に決まって私は摸擬戦をさせられ叩きのめされた。

 他の国に比べても術理論が進んでいるとはいえ元々術は悪という認識がついていたエルドリアの地域では今でもその名残が残されている。今思えば兄上が昇進が決まる前に寿命を迎えていたとされていた国の偉い人達だったが兄上が手にかけていたのだろう。あのまま私がエルドリアに留まっていたらきっと兄上に倒されていたと今になって思う。


「っ!」


 父上が放った矢の数を見誤り一本の矢が頬を掠めてしまったのですぐさま処置を施す。対処がここまで早いのも、どうして躱しながら矢を放つのではなく弾くという難易度の高いことをしていたのか。父上をずっと見てきたからこそこの矢の正体を知っているからだ。

 私が放つ矢は弾く為に魔力を込めているが父上が放っているのは鳥弓術、{育鳥(グロウ)}。力を分け与えることが出来てそのおかげで私は鳥弓術を父上から継承したが、本来の使い方としては被弾箇所を魔力によって過成長させそこから腐らせていくという武器術だ。

 他の竜の子供と比べても才能という面ではかなり劣っていて参までしか開花することはなかったが、父上はそれらを全て技術で補い他の子供達と違い優れた点が生まれた。それが魔力を纏わしてイメージを具現化させ武器術を放つまでの速度が桁違いに違うのだ。

 どれだけ速いのか?と聞かれ答えても実感は湧かず相対して初めて分かるその強さだ。私達が呼吸のように纏わせることが出来るなら父上は魔力を纏わしているのではなくもはや身体の一部と言っていい程の速さなのだ。そんな類稀なる技術を持ちながらも魔王軍にやられてしまったのは保有する魔力量の少なさにある。

 だが今相手している父上の魔力は本人の者ではなくサピダムによってもたらされている{魔力源}。これほど合わせてはならない個能は存在しない。頬に出来た傷が腐敗していないのを確認し、どうすればいいのかを考えながら再び父上が放つ矢に対して私は矢を放つ。

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