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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
暗黒への序章

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#189 秘密の子供達

 最後の1人は前ヒルドリア王、ゼリル・フィンシー。フィンシーは水がある場所では強いが地上では本来の力よりも格段に弱くなる。だがヒルドリア王家に関係する者達は例外、それも世界の共通認識。種族の中でも特に水術の扱いに長けており、本来術適性を持っていたとしても水のない場所で出しても威力は出ないはず。一般人が水場の近くで術を唱えた時と何ら変わらない威力を常時出せて、水がある場所では手を付けられなくなる。

 先代までのヒルドリア王もかなりの力を持っていた、そして私達と共に旅をしたミュリル、ゼリル先王は歴代の王家の中でもかなりの実力者とされていた。両者の差は手に持つ王のみが持つことを許される黄金のトライデント、{キングプライド}という英具しかないと言われていた程だ。

 そんな彼が槍を回転させたかと思えば高波を出現させた。ベルが衝撃波で搔き消したその一瞬でそこにいたはずのゼリル先王の姿は消えていた。他の死人が居なくなったことに気づいたのかしら?辺りの様子を確認したが特に問題はなさそうに見える。とりあえずこの場はどうにかなったようだが他の場所が心配ね、すぐに向かわないと..






 アンクル様に言われソール達と別れて西に向かう私達3人。この組み合わせは珍しい、しかもよくよく考えてみたらそれぞれが主要国家の王女。あれ待って?全員武器術を使えてしかも竜の子供に関連している...私達は共通する箇所があまりにも多すぎる。

 王女なのにこれまで交流がなかったのも珍しいかもしれないがそれもしょうがない。アルドリア、フォルちゃんのアルドリアは公表されていたが私の国、エルドリアはそもそも王女がいないとされていた。表向きでは国王代理である母親しかいなかったので交流出来るはずもない。ヒルドリアの王女である、キュミー、いやヒュリルちゃんのヒルドリアはほぼ鎖国状態だからだ。

 それにしてもこの2人と一緒に戦っていると才能という言葉があまりにも当てはまり過ぎる。何故そう思うか?それは戦い方にある。私はこれまで武器術に頼らず長いこと生きてきたので基本的に魔力を込めて戦うことが少なく技術で倒すことが多い。鳥弓術を覚えたのもついこの間で馴染めばすぐ使えると思っていたが苦戦している。ソールさんにどこまで鳥弓術が使えるようになったのかと聞かれた時、使えたこともないのに咄嗟に陸まで使えるようになったと言ってしまった。

 でもこの2人は私と違ってすぐに使いこなせるようになっていた。キュミーはもう師であったキール・ヒルドリア・フィンシーが肆の槍まで使えなかったのに、フォルちゃんも私と同じように継承して獣剣術を会得したのに、どちらも既に秘技である漆まで使える。使ってるところも見ているので間違いないことだ。


「ねぇお姉さん大丈夫?」

「お姉ちゃんちょっと休憩する?」

「ううん、大丈夫。私と違って元気いっぱいだなって思ってただけだよ」


 周囲にいた魔族や魔獣を倒しつつそんな会話をする余裕があるぐらいには敵が弱く感じる。だがアンクル様がわざわざ私達に言いに来たのだまだ大物が現れていないだけだろう。


「じゃあ先行くよおね、」

「っ!?危ないキュミー!!」


 上空からの覚えのある武器術を感じ取りすぐさま魔力を込めて矢を発射して相殺する。少しでも遅ければキュミーの脚は射抜かれていただろう。そして立て続けに妙な色の液体が飛んできたがキュミーが{水流砲}で遠くに飛ばすがその液体が柵に当たる。飛び散った液体に触れた敵や味方達の身体が苦しみながら溶けていく様を見て恐怖した。


「キュミーちゃん!お姉さん!」


 少し離れたところにいたフォルちゃんがこちらに駆け寄ろうとするがすぐさま別の矢が放たれこちらに近づくことを許そうとしない。これだけ正確に矢を放つのは私と同じウィンガル族であることに間違いない。そしてそれに合わせて私が覚えのある武器術、いやこれは鳥弓術。つまりはこの攻撃を放った人は...


「やはり蘇らさせられてましたかお父様」

「お姉ちゃん!あそこにもう1人いるよ!」


 そこにいる2人の姿は肌の色は変わっても忘れたことはないし忘れるわけがない。1人はエルドリア共和国二代目国王で私の父上である、ルメガ・ゴース・ウィンガル。もう1人はエルドリア術士団創設以来歴代最強と言われた王宮魔術師ナザ・ゴース、私の兄上でもある。

 アンクル様の感じた嫌な予感というのはこういうことなのだろう。ここだけでなく別の場所にもいるのだろう。アンクル様があの場所に来たようにこの近くで勇者一行の誰かがいるのかもしれないが{リバース}で蘇った誰かと戦っているのかもしれない。


「お姉ちゃんありがとう!怪我するとこだった!」

「誰か分からないけど許さないよウィンガルの人達!」

「ぷっ...」

「お姉ちゃん?」


 フォルちゃんは父上と兄上を見たことがないから確かにそう言うしかない。だとしても流石に笑ってしまった。地上へと降り立ち弓と杖を構える2人のウィンガル、まさかこの人達がエルドリア共和国の国王と王子とは思わないだろう。そんなことはどうでもいい、父上、兄上、あまり抵抗しないでもう一度眠って下さい。

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