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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
先触

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#19 エネルギーの正体

「こちらへどうぞ勇者殿、さぁお連れの方々もどうぞお座り下さい」


 先程と明らかに態度が違う大臣は自分達を会議室へと案内した。ウェルンは辺りを見回しているどうも落ち着かないよう様子を見せ、ベルゴフさんはとても機嫌が悪そうに見えた。


「いやー本当に先程までの無礼は忘れていただきたい、いやあはははは...では少々お待ち下さい」


 大臣は部屋を出ていった。そしてベルゴフさんが立ち上がり壁を殴った。うわーヒビがすごいなー、ひび割れた壁はすぐ元通りとなった。この城特有素材である自己再生術が付与された石材はすごいな。てそんなことに関心してる場合じゃないベルゴフさんを少し落ち着かせないと。


「べ、ベルゴフさん?」

「うん?あぁ気にすんな流石に国のお偉いさんに手出すほど落ちぶれてねぇよ」

「そ、それもありますけど」

「拳神様大丈夫かなー」

「なんだ嬢ちゃんそんなこと気にしてんのか?あの人はそんな簡単にやられる人じゃねーぞ」


 な、なんだか大丈夫そうだ(?)、拳神様が行方知れずでもベルゴフさんはベルゴフさんだ。しばらく待っていると扉が開けられ兵士を連れた大臣が戻ってきた。


「では我が国に何が起こったか説明致しましょう」


 噴火が起こると予想されていたのは今日だったという。それもあってまだ噴火に対しての準備を進めていた途中らしい。だが3日前に突然噴火が起きそれも立て続けに噴火した。常に火山の底から高エネルギー反応が続いて止まる気配がなく、調査団を何度も派遣させてようやく高エネルギー源が特定できた。その情報を元にサルドリア帝は精鋭を引き連れて突入していったという。突入してから半日が経った時火山は沈静化された。それでも高エネルギー反応が検出され、さらに突入したサルドリア帝達と連絡が取れなくなってしまった。そしてまたも火山の状態が不安定になってきており、いつ次の噴火が起きてもおかしくないという。


「と現在分かっているのはこんなところでございます」

「次の噴火を防ぐ手段は?」

「本当なら術壁を展開させるのですが...」

「展開させる為の術具が壊れたってところか?」

「そ、そうですそうです、流石勇者殿のお連れ様でございます」

「あぁ?」

「んぅ!ででで!現在王宮魔術士を筆頭にさせまして復旧作業中でございます」


 なんかベルゴフさんが大臣を脅しているみたく見えてきたな。国1つ分の術壁となると流石に復旧まで時間がかかるのだろう。急に扉が激しく開かれ兵士が飛び込んできた。


「失礼します!研究班より緊急のお知らせが!!」

「ど、どうした!?な、何が...」

「はっ!火山内部での高エネルギー反応の正体が判明いたしました!!」

「それは本当ですか!?」

「はい!過去に強大な力を持った魔族が我が国に侵攻してきた際の魔力と同じようです!」


 兵士がそこまで言うと場にいる全員の顔色が変わった。過去に侵攻してきた魔族、いやそんなことするやつはあいつしかいない。


「三魔将軍、叡智のサピダムと魔力の一致確認しました!!」

「さ、三魔将軍!?って魔王軍の!?」

「は、はいその通りです!そして同等クラスの反応を()()1()()検知しました!!」


 てことは三魔将軍が2人いる?もう1人も三魔将軍なのか?なんか最近どこかで聞いたことがあるような・・・ないような・・・


「はわわわわ...こんな時どうしたら...ま、まずは民の安全を...い、いや自分達の安全か...こういう時私ではなく拳神様ならすぐに決めてくださるのに...」


 急に破壊音がしたので振り返ると目の前の机が壊れている。ベルゴフさんが拳を机に叩きつけたからだ。場が静まり返りこの場にいる全員が今ベルゴフさんに集中していた。


「こんな時師匠、いやマイオア・フィーザーがどうするかとか、関係ねぇだろ。あーだこーだ理論立てて自分を守ろうと必死になってるだけだろーがよ」

「し、しかし...」

「あんたもあんただ。仮にも今この国で一番偉いヤローがそんな不安そうな顔してなんになるんだ?これ以上国を背負って恥かいてんじゃねぇぞ」


 怒りを吐き出しながらも正直その姿には憧れを覚えるほど勇ましい姿を見た。人を導く人ってのはこういう人のことを言うのだろう。


「そのお姿どこかで...?はっ!貴方様はもしや...」

「俺のことは今はどうだっていい、何をやらなきゃいけないかはもう分かってるだろ坊ちゃん?」

「火山に入って高エネルギー反応を潰す、いやサピダムを倒しに行く」


 三魔将軍を相手にするには今の自分では実力不足かもしれない、それでもやらなきゃいけないんだ。悲しみをこれ以上振りまかない為にこの世界をまた平和にするのは勇者の役目なのだから。


「もちろん私も行くよ、2人がやる気満々なのに私だけ置いてくつもり?」


 ウェルン・・・昔からこういうことを言う時のウェルンは本当はとても怖がってるんだ。それでも自分達と一緒に危険が分かりきってる場所に行く決意をしてくれた。自分達はメルクディン山に入るための準備をするべく部屋を出た。



********************************************************



「やつめこんな所に封印されおって、じゃがそれももう少しじゃ」


 火山最深部には魔物やマイオアではない者がいた。叡智のサピダムと呼ばれる魔族がもう既に入り込んでいた。そしてこの火山にはとある魔族の身体が封印されている。三魔将軍凶猛のフュペーガの身体だ。その封印を解きに来たサピダム自身の身体も本来のものではないが全盛期以上の力を持っていた。術など潜在的なものは身体が違ってもどうにでもなる、だがそれは術士ならだ。


「これだから野蛮なやつは、何が『この身体ではない!!あの身体が!!あの身体が!!』だ、非効率で燃費が悪いものだな本当に拳術士と言うものは」


 そしてその魔族は封印崩壊術式を展開し始めた

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