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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
暗黒への序章

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186/246

#185 全身全霊

 しかしどういう原理だ?武器術そのものが強化されたように見えるが違うな。今喰らった攻撃からは獣に引き裂かれたかのような獣剣の痛みと他の何かも感じたな。流石はゴルドってところなのかそれとも魔改造でもされちまったのか。先程までとはまるで速さも攻撃の重さも変わったゴルドの姿を見てさらに闘気を開放することにした。これなら...


「!?」

「ここから先はまだ誰にも試したことねぇから気をつけろよゴルド!」


 相手の剣をその身で受け止めボディブローを入れ込む。{纏神}によって白金色の身体は更に輝き強度が増し闘気の質がもう一段階引き上がったことを証明していた。まさかここまで引き出さなきゃならねぇなんてな、まぁ相手がゴルド程の強さなら師匠も許してくれるだろう。

 俺自身の話にはなるが坊ちゃんや嬢ちゃん達の身体強化と違ってあまり速くはならねぇ。強靭度っていうか肉体の硬さが格段に上がって俺好みではあるがな。今の闘気量と質で強化した身体なら{纏神}していなくても半端な刃物の類を受け止められるだろう。坊ちゃんや姉御達のような武器に魔力を纏わして攻撃が出来る武器術の使い手の攻撃も{纏神}で防御出来る。

 ていうのが俺の読みというか検証は済んでるんだが攻撃を受け止めた箇所がなんとなく痛みを感じるな。武器術だけなら防げるがそれ以外の何かが絡んでいるな。まぁ受け止められないと分かっても躱すのは得意じゃねぇからな、この方法でいいんだけどな!無理に躱そうとせずゴルドの重たい攻撃から正面から受け止め再び拳を打ちつける。

 闘気の開放段階としては残すところは二段階残っているが無理をしないならこれが全力だ。もう一つ上まで使うとしばらく闘気を練れなくなる恐れがあるし全てを開放しちまえば俺の身体が持たないだろうからな。若干の傷で済むならこれでいいんだよ。向こうも咆哮を上げて様子が変わり更なる力、いやゴルドの本気が解放されたように見えた。


「もしやこれが坊ちゃんもまだ辿り着いてない(しち)の剣か?」


 消えたと思ったら既に身体に刃が触れていて吹き飛ばされており防御態勢を取る前にゴルドの重みがさらに増した攻撃を喰らう。流石にここまでの威力は師匠と狂猛のフュペーガの拳を喰らった以来だ、な。防御柵に当たり瓦礫をどかしつつ次の奴の一手に集中して何とか相打ちに持っていく。互いの身体が派手な音を立てて吹き飛ばされてようやくゴルドの身に何が起きていたのかを理解した。


「へっ流石はゴルドだな。武器だけじゃなくてよ闘気の才もあったなんてよ!」


 今の感触は{纏神}を纏った身体を殴らなきゃ味わえねぇ。肌の色があまり変わっていなくて気づいていなかったしゴルド本人も無意識に習得して使いこなしてやがるな。あのまま生きてたら竜の子供であってさらに闘気も扱える生ける伝説になれたかもしれねぇな。だがまぁ今の相打ちで確実に俺の方が実力が上という事がな。

 今の一撃でこちらは多少のダメージしか負っていないのに対して紫色の煙が上げこちらを睨んでいるようにも見える。気に食わない、そういったような表情だがもしこれが本物のゴルドだったなら笑ってこの闘いを楽しんでるはずだ。まぁ魔族に、狂猛のフュペーガならまだしも叡智のサピダムに闘いの美学が分かるとは思わねぇからな。だから{リバース}なんて術を開発しちまうんだろうがな。


「構えを変えたな...次が最後てところか?」


 今までの構えとまるで違い獣のようにも見える。(しち)の剣、獣剣の最終奥義を闘気でさらに強化された姿で見れるわけだ。思いっきり跳びかかってきて地面を引きずられそのまま投げられた。あまりに咄嗟のことで驚いたが次の一撃は嫌な予感がしたので腕で固めて防ぐが弾き飛ばされ懐を晒す。

 {纏神}で固めた身体へ重い一撃が次々と入る、中々終わる気配がないな。耐えろ、耐え続けるんだ、ゴルドの攻撃なら...意識が飛ばなきゃ確実に隙がある大技を繰り出すはずだ!こうやって攻撃を受けていると師匠との修行を思い出す。構えを維持したままただひたすらに拳を受け止めてその間闘気を乱さないようにする。それと似たような感覚で懐かしさを感じるがあの時と違って今回は失敗が出来ねぇ一度きりのチャンスだ。


「っ!今だぁぁぁ!」


 おそらく最後の一撃なのだろう他の攻撃と比べても明らかな隙が生まれた。ずっと溜め込んでいた闘気を右拳に込め拳神流奥義{玉神滅殺}を剣の振りに合わせてカウンター気味に放つ。見事に互いの渾身の一撃が直撃し甲高い音が鳴り響く。攻撃を受け止めた左手には若干ヒビが入った、そして遠い場所に折れた大剣の刃が突き刺さりゴルドが膝をつく。


「ごめんなゴルド、本当なら全力で相手をしてほしいんだろうがそれを出しちまうとお前と同じ所に行くとこだったんだ許せよ」


 再生する気配もなく段々と身体が崩れていくゴルドはこちらに顔を向けて満足そうな顔を見せてくれた。なるほどな、{勇者のオーラ}が使えなくても{リバース}の対処法が今分かったかもしれねぇな。サピダムの言い方だと感情のない人形を作りだすって言ってた。今まで何回か自壊する姿を見た時の共通点がある、それが確実性があるものでないとしても俺らにとっては有益な情報のはずだ。崩れゆくゴルドを残し{纏神}をし直してヒビを修復して姉御の元へと急ぐ。

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