#18 サルドリア帝国
サルドリア帝国、そメルクディン大陸東部のメルクディン山の麓にあるメルドリア王国と同じく世界五大国家の一つである。鉱山資源が豊富で数多くの国や地域へと輸出しており、国に住んでる住人の大半はマイオア種が占めているマイオアの国。自分達はそんな国に辿り着いたのだが。
「まさか、火山が噴火して街が大変なことになってるなんてな」
ベルゴフさんが周りを見渡しながらそんなことを言う。検問所に着いた時から違和感を感じていて町に入っていくとあちこちで建築音が聞こえてきたからだ。
「ああ、そうかあんたら知らないのか、3日前メルクディン山が突然噴火したんだよ」
と検問官の人は教えてくれた。噴火自体はそれほど珍しくもなく前兆があるため、今までは対策出来ていたのだが3日前の噴火は突然起こったという。しかも一度ではなく何度も噴火したらしく、町には大量の火山灰や岩石が降り注ぎ死者も多数出る甚大な被害を受けたそうだ。そして現在は火山が安静化してあちこちで再建ラッシュが始まっているらしい。
「やっぱり火山が急に噴火したのかが気になるんですよね」
「あぁ確かにそれもあるなぁ・・・」
「ベルゴフさんは違うんですか?」
「いやぁよ火山の噴火が急に起こったのもそうだけどよ、なんで急に活動が収まったんだ?」
確かに言われてみればそうだ、始まりと終わりがどちらも突然すぎる。そう思って町の人々から話を聞いてみたのだがなんで発生したのか。なんで収まったのかについて誰も知らないようだ。そんなことを思いながら自分達はサルドリア城正門へと辿り着いた。
「ここはサルドリア城だ、何か用があるのか?」
「メルドリア王からの書状を届けに参りました、通行証も...」
「ソール、それ違うでしょ!」
・・・緊張してるな、今何渡そうとしてたんだ?おちつけ、どうして自分はこの人達に王への書状を渡そうとしてるんだ。
「確かにこれはメルドリア王家の紋章だ、よし通っていいぞ」
「では私がご案内します」
通行証を返してもらい兵士さんに着いていく。通路と階段を進み豪華な造りの少し大きめの扉に辿り着いた。
「ここが玉座となっております、では私はこれで失礼させていただきます!」
と言って案内してくれた兵士さんは駆け足で今来た道を戻っていった。なんかメルドリア城の兵士と違ってきびきびとしてる気がした。扉を開け奥に目をやると玉座には誰も座っておらず大臣らしき人しかいなかった。メルドリア王の時と同じで今回もあとから登場する感じなのか。
「よくぞ参った客人達よ、私はこの国の大臣である」
「じ、自分達はメルドリア王より書状を届けに参りました」
「そうか、それはご苦労ではそれをこちらへ」
「待てよ、ししょ...マイオア・フィーザー王はどうしたんだ?」
「なんだ貴様は?ハーフ如きが我が王の名を口にするな。王はお休みになられているのだ頭が高いぞ!」
「あぁ?なんだと?てめえこそ嘘ついてんじゃねぇぞ、この城に俺が知ってるはずの気がないってことは王が不在ってことだろ!」
「えっ、それは本当ですか!?」
大臣が頭を激しく掻きむしる・・・相当ストレスを溜め込んでそうだなこの人。自分とベルゴフさんのした問いの答えが返ってこない。さっきベルゴフさんに対しての明らかに差別めいた発言をしていたな。そして深くため息をついて何かを諦めたような顔をした。
「・・・だよ」
「えっ?なんて?」
「だから我らが王である拳神マイオア・フィーザー王は数日前から消息不明なのだよ!」
また大臣は頭を激しく掻きむしりイライラした様子を見せる。いや待って、今なんて言った?消息不明?
「今言ったことは本当ですか?!」
「その通りだ!そのおかげで今は次の王位継承は誰かと揉めている時に、また問題事を・・・とりあえず書状を受け取ろう」
自分は書状を取り出して大臣に渡す。そして広げて読み始めると段々と驚いた表情へと変化していき読み終わったのかこちらを見てきた。今自分のこと二度見したな...今度は満面の笑みを作り手を合わせて擦って音を出しながらこちらに近づいてきた。
「これはこれは、大変失礼致しました勇者殿部屋を移してお話致しましょう」
正直人に対してあんまりこういうことを思いたくなかったが今まで色んな人と会ってきた。でもこの大臣さんとは仲良くなりたくないな。ただこの国に起こったことが自分に関係あるかもしれないしとりあえず話を聞いてみよう。




