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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
暗黒への序章

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#178 切り開く剣

 竜騎兵、魔王軍において対人に重きを置いた魔族達で各国の名だたる猛者達を亡き者にした。現在の冒険者で相手出来るのは赤ランクの上位、もしくは紫ランク相当の強さ。それが軍規模でいた過去の戦い、個々それぞれが特異な魔能を持ち魔族の象徴とも言われた。

 ある時魔王軍は勇者一行の戦力を削ぐ為に全軍で奇襲をした。いくら勇者と呼ばれている者でも数で襲い掛かれば倒せる...はずだった、奇襲に唯一気づいたとある1人の拳術士によって一晩の内に壊滅させられたのだ。この一件によって魔王軍に勝利はないとされていたが光明が見え遂には勇者一行と魔王の戦いが実現した。

だが竜騎兵の完全な対処法は誰も知らない。というか竜騎兵を討伐した例が実はほとんどが拳術士、つまり拳神マイオア・フィーザーが倒してしまったからだ。後世の為に記録に残そうとしたがフィーザー様に理論的な話は出来ない。何度かノレージ様が話を聞いて完璧な記録を製作しようとして断念せざるを得なかったらしい。様々な断片的な記録を読んだことはあるが普通の竜ではなく骨竜に乗る竜騎兵は並みの竜騎兵と比べても格段な力を持つという記録は共通していた。

 骨竜に乗った竜騎兵は漆黒の槍を手にすると宙に浮きこちらを見据えている。何かを狙っているのかと思っていたら骨竜の口に術式が現れ術砲が放たれ回避行動を取ると近くに術式が出現し魔剣も射出された。ウェルンが術壁を展開するが貫通してしまい負傷する。そして上空から槍で攻撃を仕掛けてきた竜騎兵に剣を合わせ攻撃を弾く。


「ウェルン大丈夫?」

「うん掠っただけだからすぐに回復するよ」


 今まで相手していた竜に乗っていない状態とで明らかに違う攻撃。今まで本気を出していなかったのも張る術壁が貫通したことで良く分かった。先程まで術壁で防御出来ていた攻撃が貫通したからだ。術壁を先程よりも厚くしてなるべく回避する意識を高くする。自分は剣で攻撃をいくらかいなすことが出来てもウェルンは術壁しかないので{全開放}で強化されていなっ!?

 術の気配を感じ身体を翻すが身体を掴まれそのまま握り潰され壁に放り投げられる。ウェルンが間に入り衝撃が弱まるがその代わりに{全開放}が切れたのか咳き込み始める。自前の回復剤を投与し呼吸を整えたウェルンから魔力があふれる姿を見て再び{全開放}を使用したことを理解した。今回持ってきた回復材の数は確か5つなのでノーリスクで{全開放}を使用できるのは残り4回だ。


「今考え事してたでしょ!私が間に入ってなかったらどうなってたんだろうね・・・しっかりしてソール」


 全くその通りだこんな時にも考えすぎだ、母さんにも言われたこととして思考が邪魔をして全力を出し切れていないと。相手がコルロと同じ顔だから油断していたわけじゃなくてただ単純に目の前の敵との戦いに集中しきれてないだけだ。守るべき存在に守られてどうするんだ。ちゃんと相手を、攻撃を見て然るべき対処をするんだ。自分は仮にも勇者だ、こんなとこでやられるわけにはいかないんだ。

 骨竜が放ってくるブレス代わりの術弾を打ち消しながら前進し剣を振るうが空を斬る。ウェルンも攻撃をしているが全く当たる気配はない。先程の混術(フュージョンスペル)を騎乗した奴には放っても掠りもせずにこちらが消耗して終わるだけだ。今は耐えろいつか大きな隙が来るはずだ、その時に混術(フュージョンスペル)を放ち一気に勝負を決めよう。

 こちらの攻撃が空を斬ったり躱され続け逆に竜騎兵の攻撃は通っており少しずつダメージを負う。こちらから仕掛けなければ隙は生まれないのか。攻撃を喰らい過ぎたのか少し肌がヒリついてき、いやこれはウェルンから放出されている魔力が濃くなっているんだ。彼女の周りに魔を寄せ付けない聖なる力が集まる。


「これならどう!」


 辺りが光に包まれたと思ったら竜騎兵の周りに{バーティカルソード}が展開され囲まれている。こんなことが出来たのかと振り返る、そこには杖を構える手とは逆の手で回復剤を打ち込んでいる姿だった。

 通常時でも一本を制御するので手一杯な{バーティカルソード}。強化状態ならば同じ本数を出せるが消耗が激しいので制御をすることはなかった。{全開放}を維持しながらあれだけの数の{バーティカルソード}を制御しているのだ無理もない。打ち込んでいなければ魔力欠乏症どころか最悪命を落としているかもしれない。

 明らかな虚を突かれ竜騎兵の動きが完全に止まった。骨竜を捨てその場を脱出しようとする、そこでさらに{バーティカルソード}が展開され空中でなんとか応戦しているがその内の一本が深々と突き刺さる。そのまま落下し態勢を崩している姿を自分は見逃さなかった。


「ソール、あとは、お願い...」

「うん任せて!」


 即座に全力で魔力を込め剣を振るうと術壁で防御しているのを感じたのでそのまま込める魔力を増やしていく。段々と剣を振るう速度と威力が上がっていく、伍の剣、竜獄爪(スクラッチ)を放つ。このまま倒しきってハウゼントさんの方に早く行くんだ!魔力切れのことを考えずに次から次へと鋭い一撃を加えていく。術壁に当たる手応えを感じる限り、こちらの魔力が切れるまでただひたすらにがむしゃらに剣を振るう。

 段々とヒビが入る竜騎兵の術壁、そして完全に砕けたのを確認し、{バーティカルソード}が刺さり負傷している箇所目掛けてそのまま壱の剣、{撃竜牙(スティング)}の派生である{スティンガー}を放つ。若干呼吸が苦しくなってきたが関係はない。後のことは一旦考えるな、ここでこいつを倒すのに全力を注ぐんだ!

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