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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
暗黒への序章

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173/246

#172 才能

 洞窟に入ってからは各々が修行でどこまで強くなったかを確認しながら進んでいた。それぞれの実力を把握しておけば連携が取りやすい。なので実力がはっきりしているベルゴフさんとそれぞれ組みながら交代しながら戦っていた。

 まずフォルちゃんは竜の子供の中でも最も竜剣術に近かった獣剣術、そしてそこに加えて相手に合わせて適した術の魔力を込め纏わせて相手にダメージを負わせる属性剣という二つの武器術を使えていた。だが獣剣は魔力消耗が激しかったり属性は致命傷にはならないという欠点を抱えていた。

 そもそもフォルちゃんは術の適性が魔以外全てである五術の才があった。その代わりに魔力量が少なく基本造形すら出来なかった。その為武器に魔力を纏わす方法を母親であるフィオルン・ビースから学び独学で属性剣を生み出した。そしてゴレリアスから託された竜剣術をアルドリア騎士団団長ゴルドレス・ビースが完成させた獣剣術を引き継ぐことに成功。だが威力問題が解決しても元々の魔力量が少なかったので多用することは出来なかった。本人もどちらを伸ばすべきか悩んで成長が芳しくなかった。

 そこで同じく基本五術を操るノレージ様が改良をしてくれたのだ。まず少ない魔力量でも使えるように二本の長剣に術式を刻んで元々属性剣で纏わせていた魔力量で獣剣術を使えるようにした。獣剣術の様に魔力の塊で殴っているかのような重い一撃を、少ない魔力量を術式で増幅させ再現。そして属性剣で的確に相手の弱点を突くことが可能となった。二つを合わせた新たな武器術である{彩色剣}という新たな武器術を作り上げていた。

 改めて思うが流石は勇者ゴレリアスと共に旅をした獣の王者、グランドビーストフィオルン・ビースの娘だ。そもそも一つの武器術を極めるのに人生をかけることが多いのにも関わらず二つの武器術を扱うのは至難の業。その上で新たな武器術を生み出してしまえるのは後にも先にもフォルちゃんだけと言っても過言ではないだろう。そんなフォルちゃんと仲良く歩いているキュミーもかなり成長を遂げた。

 自分が陸の剣を見せたすぐ後にお兄ちゃん見て見てーとなんと漆の槍までの基本の方を見せられた時は流石に驚きを隠せなかった。しかも秘密裏に練習して披露した中で最も驚いたのは{水流砲}を{水竜弾}へと進化させており。

 術の扱いも既にフィオルン様と同じく勇者ゴレリアスと共に旅をしたノレージ様をも超える水術の使い手、ヒールエンブレスミュリル・フィンシーと同等。竜の子供から継承した派生剣術である鱗槍術を感覚で完全会得し、それに加えて指摘したことをすぐに吸収するキュミーも同じ部類に当てはまるんだけどね。


「おっととと!?」

「ウェン足元気をつけてぇ、!?」

「ネモも転ぶんだね、エヘヘ...」


 と笑いあう二人もとんでもない成長を遂げていた。ネモリアさんは飛行技術、そして鳥弓術の練度が飛躍的に上昇している。しかもなんと鳥弓術は秘技の領域である陸の弓まで会得したという。

 その結果飛びながらも質の高い武器術を放つことが可能となり、その矢にはフォルちゃんの属性剣から着想を得て、矢に込める魔力の性質を自在に変えられるようになった。一つの武器術の中に性質の違う矢を複数込めることが可能になり変幻自在となった。

 ネモリアさんは良く武器術が苦手と言っていたが手合わせをする度に練度が上がっているのは分かっていた。実戦で使ってこなかっただけで正直自分よりも武器術の適性は高いのかもしれない。例えるならキュミー、フォルちゃん、早熟型。段々と馴染んで、いや実戦経験が足りていなかっただけのネモリアさんは普通型と言える。そして自分は長年剣を振るってようやく実を結んだので晩成型なのだろう。

 ただ自分は最も成長したのはウェルンだと思っている。何をどうやったのかは分からないが扱える魔力量と質が格段に向上しているのだ。毎日ひどい顔をして寝に行ったのに次の日にはケロッとしていたので相当無理をしていたのだろう。その成果は着実に出ていたようで見間違いでなければノレージ様の術を相殺していたり躱していた姿を見た。

 この洞窟入ってからの何度か回復や処置をしてくれたがまだ回復剤を使っての魔力の補充をしているのに加えて傷の治りも良くなっている。そして何故かは分からないが術をかけられてからしばらくは動きが軽くなってる気もする。


「お兄ちゃん何か考え事?」

「ん?そうだね、みんな強くなったなて思ってさ」

「おお言うようになったなと言いたいが実際今かかってこられたら俺も危ないかもしれないからな」

「まだまだベルゴフさんには適いませんよ。私達と相手をする時に全力を出していないことだけは分かりますからね?」

「そうだねベルさん{纏神}使ってくれないもんね」

「本気を出し過ぎて嬢ちゃん達を倒したら余計意味がないだろ?この力は仲間を守る為、大切な物を守る為に振るうんだよ」


 自分も成長したはず、だがそれでも不安が残る。前よりも遥かに竜剣術の練度を上げ自身の魔力量のほとんどを剣に纏わせられるようにはなりはした。だがこの力だけでこの世界を救えるのか、勇者の力を全く扱えないのに魔王軍三魔将軍のことを止められるのか。と再び考えに走っているとようやく地上への出口が見えてきた。止められるかどうかじゃない止めなければならないんだ。

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