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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
暗黒への序章

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172/246

#171 これで何度目か

 自分達は各々の修行を終え西メルクディン港から出発した。最近遭遇する魔物や魔獣が強くなったようにも感じる。今いるのは魔王城を封印している島に行く為に作られた秘密の地下洞窟の前で最後の休息をとっていた。屋外の為焚き火を絶やさぬよう交代交代で番をしながら最後を任された自分は修練も終わらせ朝を待ちつつこれまでの旅路を振り返っていた。

 夜空に手を掲げ手に魔力を込めるもその手には何も握られることはなかった。何度も何度も試しているが一度握れたはずの最強の聖剣{テークオーバー}は現れない。勇者の力を扱えるようになったその時この手に再び現れるのかもしれないな。

 同じくあの日に会得した竜剣術の方は相応しい名も付けることが出来た。陸の剣{反竜鱗(リバース)}と名付けた剣術は秘技と言っていいだろう。まずこの剣術は自身の魔力があればあるほど威力が出ない。通常時は魔力を込めて普通に剣を振るった方が威力も速度桁違いだ。{反竜鱗(リバース)}は自分の身を犠牲にしつつ相手の魔力を自身の物にして攻撃を放つ反撃技。相手の攻撃に耐えれる体力があって尚且つ自身の魔力がない時に放たなければ最高の出来にならない剣術だ。


「坊ちゃんご苦労さん」

「ベルゴフさんお疲れ様です。辺りはどうでした?」

「昨日一通り倒したからかどこにも生き物が見当たんなくてなつまらんかったぞ」


 まぁそう言わないでほしい、というか一番ノリノリで敵を倒していたのは...まぁそれはいいとして。ベルゴフさんは自分の前まで火を見ていた。そして交代の際に暇だからと周囲の確認をしてきてくれたのだ。となるとそろそろ夜が明けるしもう火も消していいな。


「ところで嬢ちゃん達はまだ起きてこないのか?」

「そうですねいつもなら朝食の準備をするんですがちょっと起こしてきますね」

「ウェルン起きてる?」


 声を掛けるも返答が返ってこないのでテントを開こうとして寝息すら聞こえないことに気づいた。急いで中を確認すると片付かれていない掛布団とそれぞれの武器が置いてあった。{ドーム}で外敵が入ってこない様に警戒していたのだがまさか侵入されたのか!?翼を広げ辺りを急いで捜しに行く。


「きゃあ!?」

「今のはネモリアさんの声か?大丈夫ですか今行きます!」


 声がした方に飛んでいき森から抜けると湖に出た。この時少しでも考えるべきだった。これから向かう場所がどんなところなのか。そもそも結界術を張っていて尚且つベルゴフさんがゆっくりしていることを。


「「「「「え?」」」」」


 自分が見たのはヒュード、ウィンガル、フィンシー、ビース、四種族の女の子達が一糸纏わぬ姿で水浴びをしている姿だった。視界に入ってきた突然の光景に驚愕して声を発すると向こうもびっくりしているようだ。安全は確証されている、ここから先しばらく例の島に着くまで綺麗な水があるとは限らないのだ。自分もベルゴフさんも身だしなみに気を配らなかったわけではないからここで水浴びをするのは妥当だろう。


「お兄ちゃんだ!」「お兄さんも一緒に入りますか?」「ソールさん!?」「ソールのばかぁ!」


 これまでの経験からしてウェルンがどう攻撃してくるかも分かったし自分も強くなっていたので攻撃を防げたかもしれない。でもしなかった、するわけがなかった。ここは男としてちゃんと彼女の怒りを受け止めるべきだ。目を閉じ態勢を整えると衝撃が頭を突き抜けて自身の身体が浮いていることが分かった。それでも一つだけ言わせてほしい、やっぱり杖で殴るのだけは本当にやめてほしい。






 気づいたときにはもう既にソールは木の下で気絶していた。身体を拭いてからソールを殴って箇所に回復術をかける。でも!でも!これで何度目か分からないけど!どうして事前に確認をしようとしないの!ま、まぁ私達も断りを入れないで水浴びに来たのがいけないんだけど...

 時間がないのは分かっていても綺麗で可愛くいたいのは変わらない。女の子は準備に時間がかかるから朝食を食べる前に全部を済ませておこうと思ったの!ソールも今の私の攻撃を躱せるるはずなのに喰らってくれたのは悪いと思ってくれてるんだね。そういえば今の一瞬でソール誰のことを一番見ていたんだろう。


「ウェン、ソールさん大丈夫そう?」

「私の攻撃だからそこまでじゃないけどちょっと当たりどころが・・・」

「今の一撃すごい速さでしたね!」

「お姉ちゃんも強いよねー今度おじちゃんに闘気教えてもらったら?」


 ソールの近くに寄ってくる3人と自分を比べる。ネモはとても綺麗なスタイルを私達の中では一番大人びているし女性として確かなふくらみも持っている。そして最近急成長を遂げたキュミーとフォルちゃんは背も低いのもあいまってとても女の子らしいし2人共その身体には巨大な爆弾を抱えている。

 でも私は大人の女性でもないし女の子らしさもない中途半端な身体だ。キュミーとフォルちゃんは確か15か16ぐらいで私より胸が大きいしネモは私とそんなに歳は変わらないのにどうしてなの。親から遺伝するものなのかな?ネモ、キュミー、フォルちゃんの親は皆王家の女王様でとても綺麗だったなー私の親は分からないけど胸が小さかったのかもしれない。

 顔も見たこともない親に対して若干の不満を覚えながら自分の身体と他の皆を見比べながら着替えた。身だしなみをちゃんと整えて気絶させてしまったソールをみんなで運んだ。

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