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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
先触

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17/246

#17 マイオア

 ん・・・ここはどこだ。あれは・・・誰だ?いや今回ははっきりと見える。でも誰だかは分からなかった。これから向かおうとしているサルドリア帝国の大多数の人口を占める種族マイオアということは分かった。マイオアは自分達ヒュードより一回り身体が大きく筋骨隆々としている。それじゃあここはサルドリアなのか、とゆうか自分は誰なんだ。


「本当に一緒に来てくれるのか?」

「もちろん着いていくぜ!俺も世界を救いたいからな!!なーに気にするな俺結構強いんだぜ!!」


 口が勝手に動いた、そしてやっぱり自分の声ではなかった。それも気になったのだがそれ以上に目の前の人物がとても気になってしまった。


「これから長い旅路になるだろうから改めて自己紹介させてくれ俺の名前は...」


 名前を言う前に何故だか違う場面に切り替わり、さっきのマイオアが結界で覆われている中で大きな魔族と戦っている。ただ自分達は見ているだけだった加勢したいが出来なかった、だが加勢するのも野暮だと思うほどの死闘を繰り広げている。そして彼らは互いにとても充実した顔をしていた。


「ハハハハハハ!いいぞ貴様、三魔将軍、凶猛のフュペーガ様と殴り合うことが出来るとはな!貴様だけは墓に刻むために名前を覚えといてやろう!!」

「俺か?俺はな、世界一の採掘工で勇者ゴレリアスと共に世界を救う為に旅をする拳術士マイオア・フィーザーだぁぁぁ!!」


 誰なのか分かったところで周りがぼやけていった



********************************************************



「おい、起きろーそろそろ起きろー」


 目を覚ますとベルゴフさんがそこにいた。ずいぶんと寝てしまっていたらしく、あまりに降りてこないからベルゴフさんが起こしに来てくれたようだ。自分はそこから朝ごはんを食べて荷物を持って集合場所へと向かう。そこには平民に扮した王様と兵士長がいた。そして横には丈夫そうな作りの馬車があった。


「儂は着いていけないが代わりにこの馬車をやろう移動がこれで楽になるだろう」

「ありがとうございます!」

「いや何儂からはこれくらいしか出来ないのでな」

「本当にすまない本当ならば私も同行するのだが・・・」

「兵士長様は王様達を守らなければならないってところか?」

「その通りだ」






 馬車の乗り心地はとても良かった。交代交代で手綱を握って順調に進めていたがただ一つ問題があった。


「暇だなぁ」

「そうだねぇ」


 ただひたすらに暇な事だった。基本造形の術本でも買って少しでも勉強しとくんだったな。そんなことを思うのには訳があった。自分は基本造形ランク1のバーティカルすら出来ない、というよりかは魔力を形にすることがとても苦手と言った方が正しいのか。竜剣術を使うためには魔力を使うがそれとはまた違う技術が必要らしい。

 まぁ流石にバーティカルの前段階ボールの造形に失敗した時はベルゴフさんが大笑いされてしまった。その姿を見て少し腹を立てた自分は『ベルゴフさんはそもそも術適性があるんですか!』と聞き返したら、赤色の円球を作りそこから螺旋状つまりランク4のスパイラルを造形した。適性は火ただ一つであまり実践で使わないらしく、術を唱えてる暇あったら殴り合いたいとのことで使わない理由もなんともベルゴフさんらしかった。


「日も落ちてきたしそろそろ野営の準備をするか」

「そうですね、あそこの岩あたりでどうですか?」

「ここで休憩で王都から旅立って3日かー、いや時間があったらサルドリアに行くんだがなー」


 ベルゴフさんはサルドリアに行ったことがあるので、あとどれくらいでサルドリアに到着するかが分かるのだ。あと2、3時間で着くらしい、でもそれなら到着した方が良いのでは?という疑問があったがそうもいかないらしい。


「なんでかは知らねえけどよ、あの国は午前中しか入れねぇんだよなぁ」

「そうなんですね」

「出る時は別に自由なのによほんとなんでだかなぁ?」


 そうだ、前々から気になったことがあった。ウェルンも夕食の準備を終えてこちらにご飯を持ってきた。


「なになにーなんの話してるのー?」

「うん?まぁ他愛のない世間話よ」

「ふーん、あっ、ねぇもしかしてベルゴフさんてハーフだったりする?」

「うん?あぁ言ってなかったな俺はマイオアとヒュードのハーフだな」


 自分も気になっていたことをウェルンが聞いてくれた。やはりそうだったか、ヒュードにしては少し大きいなと思ってた。そう言われてからは何となくだがマイオアの遺伝子の方が強いことが分かる。自分達ヒュードと比べて肌が褐色味を帯びていて体格がしっかりしているからだ。


「なんだ?ソールお前もなんか聞きたいことあんのか?」

「あっ、じゃあ自分もいいですか?」

「おうよなんでも答えるぞ!」

「拳神マイオア・フィーザー様ってどんな人でだったんですか?」

「師匠について?うーんまぁどんな人って言われると・・・一言で言うならテキトーな人だったな」

「テキトーですか?」

「あぁ、拳術を教わる時以外は本当に破天荒というかなんというか...そもそも王様だって俺知らんかったしな」

「えぇ!知らなかったんですか?!」

「自分の素性を全く話さない人だったからな、グラス王から聞いた時驚いたよ」

「それでも国に行ったことあるって・・・」

「いやぁなんてーかなー俺が住んでたとこってのがどっちかーてーとメルドリア寄りのド田舎なんだよ、ましてや情報なんか入って来ないような辺境だったからなあ」


 そんなところに住んでいたのか確かにそういう村もある。自分達の村もメルドリアへ行くのに1日と半日あれば辿り着く。王都との交流は少なくとも2日に1回はあったが、ベルゴフさんの村は王都に行くのに1週間以上かかる村らしい。


「で、たまにはサルドリアにも行ってみるかって親父に連れられて行ったのが初めてだな。それが俺の小さい時だしなぁ」

「それじゃあ、いつ拳神様と出会ったの?」

「急に村にやってきたんだよ、あれは確か・・・俺がお前らの歳ぐらいだから大体40年ぐらい前か?」


 それって魔王を倒したとされてからすぐくらいか?てかベルゴフさん結構な歳いってるんだなそうは見えないけど。


「いやなんか『お前さんは才能がある!』とか言って拳術を教わったんだよなぁ」

「なるほどそれまでは?」

「うん?ああ魔能無しって分かってたから冒険者になる気もなくて村周辺でずっと狩りしてたんだよ」


 へーまぁ、確かに自分も数ヶ月前までは魔能がないって分かったら、冒険者にならないでコルロと一緒に村を守る気だったからな。


「それからよく指導しに来るようになって免許皆伝するまではずっと来てたなそれが確か俺が30後半だったかな?」

「そんなに指導を受けてたんですか?!」

「それはお前も分かってるだろソール?お前も10数年剣を振ってるだろうけどまだ剣術が完成しきってないだろ?」


 おっしゃるとおりで・・・なんか痛いところついてくるな。修練に終わりはないとはよく言ったものだよな。あーご飯も食べて眠くなってきたし早めに眠るとするか。明日は遂にサルドリアだ。

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