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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
加速する世界

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159/246

#158 近づく審判の時

 新たな強力な魔術を使えるようになったサピダムのことを一旦置くほどに大事な話があるのか。ノレージ様が英具を取り出し、中から何かを取り出すと映像術に変わりどこかの山の切れ目を映している。


「ノレージ様いったいこれは?」

「これはサピダムの研究所を潰そうと先行しておったらたまたま見つけたのじゃよ。おそらくではあるが{テークオーバー}の在処を」

「それ、本当なのノレージ!」

「えっ!?{テークオーバー}てあの勇者ゴレリアスが使っていた最強の聖剣のですか?」


 ノレージ様は問いかけに静かに頷く。表情からして他の皆もだし自分も、そして勇者一行として旅をしていたアンクル様すらも驚きを隠せないのが分かる。だがひっかかるのは見つけたと言っているのにどうしておそらくなのだろうか?


「ノレージ様どうしておそらくなんでしょうか?中に入って確認は出来なかったのですか?」

「ネモリアの言ったことはこの場におるみんなが思ってるかもしれん。確認できなかったのもちゃんと理由があっての」


 指を鳴らすと映像がもう一つ現れ洞窟内部に侵入し、少し進んでる様子が映る。突き当りを曲がると勇者の紋章と同じ紋章が刻まれた結界術らしきものが見えた。これが邪魔をして進めないからおそらくであの先に進めるのは...


「坊ちゃんだけってことだな」

「おそらくじゃがな。幸い王都で戦っているエクスキューション達はまだ時間を稼げる。その隙に勇者としてソールにはもっと強くなってもらわなければならないのじゃよ」


 かつての勇者に近い者として魔族に対してとてつもなく強い聖剣であるテークオーバーを手にするのは必要なこと。聖剣を手にして自分の中に未だ眠り続ける個能{勇者のオーラ}が目覚めて欲しいが、果たしてその力に相反する魔の力を持つデビア族である自分が扱える代物なのか?


「おじいちゃんお兄ちゃんが行ってる間私達はその間何するの?」

「待っている皆にはソールが行ってる間、儂とアンクルとベルゴフが相手となり修行じゃな」

「えっ俺もか?」

「当たり前でしょ。あなたの拳術は既にフィーザーと同等域なのよ?それにあなたもそろそろ全力を出せる相手を味方に作るだけであなたの為になるわよ」

「ほっほっほ、ギルドカードを見るといい儂らと同じ色になっているはずじゃからな」


 ベルゴフさんは腰ポーチからギルドカードを取り出すとその色は最高ランクである紫色となっていた。薄々気づいてはいたがやはりベルゴフさんは既にノレージ様と同じ伝説級の強さだったんだな。ヒルドリアで修行した際も短期間で強くなったので今回もきっとかなり強くなるだろう。て、待てよ自分以外がここに残るってことは目的地まで自分1人で行くということなのか?











 勇者一行は今頃何をしているのかと考えながら休息をとる。アルドリアで勇者一行達と別れメルドリアに辿り着き我々エクスキューション。国家反逆という名の陽動作戦は二日が経過し順調に進み、遂にメルドリア城まで辿り着くことが出来た。

 人も街並みも変わらないが魔に侵されこの国は変わってしまった。いつも通り暮らしていたはずの何の罪もない一般市民すらも。三魔将軍、夢幻のドリューションによって、いつの間にか寄生されてしまい凶暴化し倒さなければならない敵となっている。

 私のような迷いなく倒す非情さを持ち合わせていないエクスキューション兵もいる。だがそこで情をかけた者は皆同じく魔に染まってしまった。世界の秩序を守る為に我らエクスキューションは存在する。本来ならば市民を助けることは当然なのだが、その前に1人の人であるならば自分の身を守るべきでその結果で被害を広めてはならない。

 世間から私は国1つと同じぐらいの強さという噂を耳にする。これまで王家や人々から依頼を受け大体のことを解決した。だがどれだけ力を有していようが救えなかった者も事も存在する。


「失礼しますマスター少しいいですか?」

「...ああどうしたハウゼント」

「明日我々、いえマスター単独でメルドリア城に侵入。その後私の個能でマスターが本気を出せるようにこの国全域に護りの力を貼り巡らせた後。私も後を追い増援が来ないように残ったエクスキューション兵が我ら2人を守る。という作戦で間違いはないですね」

「そうだが何か問題があったか」

「いえ、念の為の確認です。それと悩んでいるような素振りでしたので何か力になれないかと」


 彼は私自らが唯一会いに行きエクスキューションへと誘ったが間違いではなかったと思う。護りの力という能力もさることながら人への気配りが他の誰よりも上手いし何より人当たりがいい。その積み重ねもあり着実に信頼を獲得し人々から、守護天神、慈愛のハウゼントと呼ばれるようになったのだろう。


「ハウゼントよ、一つ聞いてもいいか?」

「はい、なんでも聞いてください!」

「私はお前と初めて会った時はいきなり襲いかかった。お前達エクスキューション兵達は信頼しているのならば兜を外して顔を見せても良いが私は誰にも顔を見せようとしない。お前はそんな得体の知れない私にどうして付いてきてくれるんだ?」


 私は素顔を然るべき時まで誰にも見せることが出来ない理由がある。その為エクスキューションは入隊時に専用の装備が渡され任務中は互いに表情が見えなくなる。所属している者達には鎧の着用は強制しているが兜はしていない、その為交流の為に顔を合わせることはあるだろう。

 そして尚且つ三闘士に支給される装備は英具の技術を応用した個人の魔力に応じて着装が行える。なのでハウゼントは任務や依頼や戦闘中でなければ軽装でいることが多い。


「最初はマスターを倒すためにエクスキューションへと入りました。ですが色々なところで活躍とかを聞くにつれて段々と信頼するようになったんですよ。あとマスターは敵に回しても良いことがないような気がするからですね」

「...そうか、私はもう休むとしよう」


 脚に闘気を込め飛び立ち宙からメルドリア城を眺める。ここから眺めると昔から何も変わらないとても綺麗で一番好きな王宮だ。その中には本当は守るべき対象であるメルドリア王家がいるが今回は全くの逆だ。明日私は魔に侵されたこの国を断罪する。勇者一行の為にこの身を捧げようではないか。

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