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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
異変そして始まり

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13/246

#13 弐の剣

 あんなこと言っちゃったけどどうしよう。私どれくらい時間を稼げるだろう?きっと作戦を考える時間ぐらいは耐えれるよね。だってソールは昔からすごいことを考えついて周りを驚かせてたからね。

 あれは昔、村の近くの川で3人で遊んでいた時のことだったなぁ。私達はその日も川の周りで遊んでいた。でもその日は初めてスリィという液体状の魔物に遭遇してしまった。逃げようにも数がたくさんいて、瞬く間に囲まれてもうダメだと思って私コルロと一緒に泣き喚いていたんだ。

 私たち2人とソールは違って小さい時からしっかりしていて、確かこの時にはもう剣術の基礎段階である身体作りをしてたんだよね。それでも実力不足で当然剣を持つことなんて許されてなくて丸腰だったんだけど、諦めないで服を脱いで小石をたくさん詰めてスリングを作ってスリィに立ち向かっていったよね。その後大人達が来て私達は助かったんだけど、あそこでソールが少しでも戦ってくれてなかったら、私は今この場にいなかったかもしれない。

 だから今回もこの戦いにきっと光を差してくれるよね。正直さっきの魔法が効かないとなると私はもうやることがない。聖術はさっきの無茶であと1、2発しか打てないだろうし、あの再生速度だと撃っても意味が無い。私はただただ避けることに集中するね。攻撃が速くてちょっときついけどまだまだ大丈夫なはずだ。相手が何か溜めてることに気付いたけど遅く、既に目の前が赤黄色に染まってしまった。なにこれ?あ・れ・・い・・・し・・・・き・・・・・が・・・・・・



********************************************************



 くそ何か考えなければ壱の剣はまさにフレイペントのような蛇竜種をイメージして完成させたんだ。フレイペントの弱点から考えないと・・・本に書かれていたことを思い出せ。と考えているとウェルンが赤黄色の吐息スタンブレスを喰らっていた。まずい考えているだけではダメだ!とりあえず応戦しないとウェルンがやられてしまう!


「うおぉぉぉぉ!はなれろぉぉぉぉ!竜剣、壱の剣...」

「ゲリシャァァァァァ!!」

「{撃竜牙(スティング)}!!」


 一度フレイペントの身体に傷を与えて二撃目を浴びせようとしたのだかもうその時にはフレイペントの体は再生していた。だが流れを止めることは出来ずに斬りかかろうとし、しっぽによる薙ぎ払いが放たれそれをモロに喰らってしまった。


「ガハッ!や、やっぱり今の自分の力だと壱の剣じゃ太刀打ちができない!」


 何か思いつかなければ壱の剣とは、また別の竜種をイメージして新しい型を作らなければ、フレイペントを倒すための何かを攻撃を弾きながら思考する。壱の剣のイメージの元となった動きは蛇が這いずる姿で蛇竜種の動き方そのもの。おかげで奴には太刀筋がバレてしまいあまり効果がないのだろう。

 いや動きから考えるよりこいつの特徴で考えた方がいいのか?蛇竜種は全身に魔力を通わせて、血の循環を良くすることによって攻撃の威力や速度を上昇させている。そして他の竜種に比べて鱗は薄いが代わりに再生能力がとても高い。今の自分の速さでは再生速度より遅い速度で連撃を与えてしまっている。

 だがそれでは奴の魔力切れで再生が止まる前に、自分もやられてこの場の全員が餌になってしまうのだ。先程とは違う方法で剣を振るって大ダメージを与えられる技・・・などと考えていると自分の周りは長い身体に囲まれていた。


「逃げ道がない!このままだと身体をひねりつぶされる、でもどうすれば!?」


 蛇竜種は長い身体を使い獲物を閉じこめ、そのまま全身の骨を砕いて身を柔らかくして獲物を打ち上げて丸ごと飲み込む。そして今自分は閉じ込められた状況で、このまま自分はこいつの食べやすいように調理されてしまう。この囲まれた状況でどう、すれ・・・ん?いや待てよそうか!その手があったか!

 剣を地面と平行に保ち魔力を込めると剣の周りには竜のオーラが具現化することに成功した。これしかない今はこんな方法でしかこいつを倒せない。縦じゃなくて横に斬る、そして斬り続ければいいんだ。イメージも出来上がった、空を激しく旋回して意図せず乱気流を発生させてしまう飛竜種!


「喰らえ!うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!もう誰も失いはさせない!!!」


 その場で剣を横に振り横に斬りつける。そしてそのままもう一度別の場所を斬るのを何度も繰り返す。再生する暇を与えないようにただひたすらに斬りつける。身体が動かなくなるまで繰り返す。後のことなんて考えない!!これで倒せなかったらもう終わりだ!!!フレイペントの泣き叫ぶ声が聞こえ、その声を頼りに最後の力を振りしぼって剣術を完成させる。片手剣を両手で持ち力の限りを持って回転斬りを放つ。


「竜剣!弐の剣、{竜旋(ドラグーン)}!!」


 魔力を使い切り冷静になり気がつけば自分は囲まれていたはずなのに宙に浮いていた。周りの景色は逆さまに見えた。と思ったら地面に激しくぶつかり身体が投げ出され遺跡の壁に激突する。無理やりに竜剣を振るったがために身体がとてつもない程悲鳴を上げている。


「あぁててて...身体は大丈夫、じゃないけど大丈夫だな」


 何度も竜を纏った剣を振るったのだもう戦う力は残っていない。身体はフレイペントの返り血で染まっていたので早く洗いたいものだ。それはそうとなんとかなったのか、フレイペントは!?周りを見渡し蛇のような胴体を見つけるピクリとも動く気配がない気がする。倒せたのか?ウェルンは!?


「ソール!良かった見つかった!取り敢えず手当をするよ」


 横から聖術をかけられて身体が癒される。完全に冷静になり周りを見渡して気づいた先程までなかった何かの痕に気づいたこれは自分が放った竜剣術の痕だ。


「ほんと凄かったんだよ!急に突風が吹いたと思ったら何か飛んできたんだよ」

「そうか、弐の剣をなんとか仕上げられたんだな」


 近距離範囲攻撃でありながら剣から衝撃波を放つ竜剣術、弐の剣{竜旋}なのか。これは敵に囲まれた時などにとても有効な剣術だろう。回復術による応急処置が終わりなんとか身体を動かせる程度にはなった。道中またフレイペントのような強力な魔物に出会ったら逃げるしかない...ウェルンの目から涙がこぼれ抱きついてきた。突然のことすぎて身体が固まるのと正直今抱き着かれると身体がとても痛いのだが..


「ありがとう、本当にもう駄目だと思ったのありがとうソール・・・」

「あ、ああうん、そ、それは分かったから、ちょ、ちょっと」

「!ご、ごめんね、つい無事だと思ったらね」


 ウェルンは自分から離れてそっぽを向いた。あまりに突然の出来事に頭がついていかない。そんな突然のことに気を取られていてフレイペントの息が吹き返していることに全く気付けなかった。


「ギシャアアア!!!」

「危ない!」

「きゃ、」


 突然の奇襲にウェルンの手をとっさに引き寄せほんとスレスレで躱せた。まだ生きているのか!?火球が飛んできたので自分の剣を見つけ打ち消す、すると激しい衝突音が鳴り火球も消えたが同時に自分の剣が折れてしまった。まずい、剣がなければ武器術が使えないので太刀打ちが出来ない。そんな自分の元にフレイペントが飛びかかってくる。盾を構えるとウェルンも後ろから支えてくれた。


「きゃあ!」「ぐわぁ!」


 ウェルンが抑えてくれたおかげでなんとか盾の役割を果たしたが衝撃で弾き飛ばされた。そしてまたフレイペントが飛びかかる準備をしていた。鱗があちこち剥がれてもうフレイペントもボロボロの身体だがまだ自分達を喰らおうとしていた。自分はもう剣も失い竜剣を放てるほど魔力も残っていないし、ウェルンも魔力を使い切り絶体絶命だと理解した瞬間もう一度フレイペントが飛びかかってきた!


「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「せいやぁぁ!!」


 掛け声とともに割り込んできた。その人はフレイペントの顔面を拳でぶん殴っていた。そしてそのままフレイペントは動きを止めて地面へと崩れ落ちていた。そこにいたのは先程まで横になって寝ていた人だった。

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