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トゥルーテークオーバー  作者: 新村夜遊
知るべき時

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109/246

#109 再び戦いの場へ

 ウェルンは既に先に出かけていた。城を出て城下へと駆けていき噴水広場に到着するが姿が見えない。少し待っていると自分と似たようなこの国の民族衣装に身を包んだウェルンが歩いてきた。


「お待たせ、もしかして待った?」

「ううん今着いたところだよ。その服似合ってるね」

「ありがとう!ソールもしかして誰かに髪のセットとかしてもらった?」

「執事さんがしてくれたんだよ。もしかして似合ってなかった?」

「違う違う!いつもと雰囲気変わってて一瞬誰か分かんなかったから」


 ウェルン可愛くて直視できないでいるがそれは向こうも同じような気がする。心なしか顔が赤いような気がするがおそらく気のせいだろう。


「こうやって2人で出かけるのも久しぶりだよね」

「そうだね、前はメルドリアで剣を見繕う為に」

「そうそう!剣を作ってもらいに行ったんだっけ?」


 あの人は元気にしているかな?自分達がメルドリアを旅立ってからかなり経つな。セリルちゃん、商人さん、スリアス兵士長やメルドリア王達は変わりはないだろうか。ここでの修業が終わったら一度帰って会いたいところだ。

 町を歩いていくと露店が立ち並ぶエリアまでやってきた。少しがお腹が空いたので焼き魚を2つ買ってベンチに座る。この辺りは今まで通ってきたところの中で人通りが多くヒルドリアの中心部なのだろう。食べ終わった後ウェルンがどうやらスイーツを食べたくなったそうで近くの喫茶店によりパフェを注文し・・・ん、この流れは知っているような?そう思った時には既に手遅れだった。






「今日は楽しかったありがとう!それじゃあまた明日!」


 城の廊下で手を振り自分の部屋の扉を開け入った瞬間に座り込んだ。やっと休めるところまで来た。パフェを注文し食べ終わったと思ったら今度は別のケーキを頼んで、それを自分も食べて喫茶店の外に出ると『次何食べよっか!』と元気に言われた。そのまま流れるようにどんどんとスイーツを食べる為に、はしごして合計十店舗近く巡った。

 正直三店舗目ぐらいで自分のキャパは超えていた。だがウェルンのおいしそうに食べ幸せそうな表情を見て断ることが出来なかった。なんとか踏ん張ってほとんど根性だけで部屋まで辿り着いて今現在に至る。もちろん楽しいことも大事だがそれ以上に懸念しなければならないこともある。

 果たして自分達はいつになったら帰れるのだろうか?ある一定の強さになるまでここで修行をして魔王軍と戦えるようになった方がいいと言われたので地上には戻れない。


「・・い、坊・・ん!」

「なんか声がしたような?いやきっと食べ過ぎて幻聴が聞こえ」

「おい開けてくれ!坊ちゃん!」


 はっきり聞こえた声に飛び上がって辺りを見渡す。窓の外に見覚えのあるスケルトンを見つけ窓を開放すると自分の部屋に入ってきた。


「シーウェーブさん!無事だったんですね!」

「まぁなようやく監視の目をかいくぐってここまで来れたわけだ」


 シーウェーブさんには地上で何が起こっているのか探ってもらう為に一時的に仲間を離れていた。そんな理由もあるのだが実際はキールさんに案内することは出来ないと言われてしまったかららしい。それもそのはずシーウェーブさんは魔族{ネクロパイレーツ}、どれだけ魔王軍に関係がないと言っても見た目で勘違いされてしまう可能性が高いからである。


「それでどうしたんですか?何か急を要する事態で...」

「そうだったこれを見てくれ!」


 内ポケットから世界新聞をとある一面を広げながら取り出した。そこに書いてあることを見て自分は驚きを隠せないでいた。


「これ本当ですか?」

「ああわざわざメルクディンまで行って手に入れたやつだから間違いがねぇ」


 そこにはこう書いてあったのだ。

〈アルドリアにて内部紛争か!?新国王としてクーデターの首謀者であるマクイル大陸担当エクスキューション三闘士ドーガ・べレイス〉

 記事を読み進めると前国王であるフィオルン様に関するところを見つけしっかりと目を通す。

〈王宮での激しい戦闘後アルドリア王とアルドリア騎士団長ゴルドレスの死体も確認された、第五代女王フィオルン・ビース、王女フォル・ビースの安否は分かっておらず行方不明である〉

 フィオルン様とフォルちゃんはおそらく無事だろう。まさかベルゴフさんと同じぐらいの実力を持っていたゴルドレスさんがやられるなんて...


「俺はこのあとエクスキューションの動きを探るために一度奴らの本部まで行ってくるつもりだ」

「えぇ!?それって大丈夫なんですか?」

「危険は伴うかもしれないがこれも新勇者一行が魔王を倒すために必要なことだからよ。俺はその為なら身を捧げるぜ」


 今この状況で感情的に動いてもしょうがないだろう、こういう時こそ冷静に動くべきだ。地上のことをシーウェーブさんに任せ、自分は新聞を持って訓練場にいるはずのベルゴフさんとネモリアさんにこのことを伝えに行った。

 その2人と共にミュリル様とキール様の元に向かい緊急で対策会議が開かれることとなった。自分達の修行を急ぎ終わらせて、マクイル大陸に向かいアルドリア王家の救援に向かうと決められた。残り少ない日数でどれだけ仕上げられるだろうか。

 相手はエクスキューション三闘士であるドーガ・べレイスは確定している。生半可な実力の自分では倒せないだろうがみんなで力を合わせれば必ず倒せるはずだ。

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