「第一話 第三部 日常生活の終わり そして出会い」
まだ平山着かないの?焦らすな!みたいな感じですが御了承下さい。次回到着予定です。読んでいただければ幸いです。
おれたちはいつもどおりに平山に急いだ。
走るのには慣れている。人通りの少ないいつもの道を通ることはかなり遠回りなルートを通っていることになる。つまり、ほとんどが時間ギリギリになることが多い。
「お兄ちゃん、どうしていっつも遠い道を通っていくの?」
「それは私も思ってた!」
「それ今話さないといけないことか?」
おれは息を切らしながら答える。
「だってさあんな遠い道通らなかったらこうやって走ることないじゃん。いつかは聞こうと思ってたんだけどね」
莉奈は全く疲れてないのか淡々と言葉を重ねる。
「それが今日ってわけか。いいだろう、この際だから教えてやろうじゃないか」
「でもさ~私はなんとなく分かるよ」
野乃葉が口を挟んでくる。
「本当に?あんた分かるの、野乃葉」
「なんとなくだけどね。できればそうであってはほしくないけど」
「なによ、教えてよ」
「あのいつも通ってる道ってさ、人通り少ないよね。ってことはさお兄ちゃんはいつか私達二人のどちらかにいやらしいことをしようとか企んでるんじゃないかな」
「かず、まさかあんたがそこまで落ちぶれていたとはね。ショックだわ」
「本当にお兄ちゃん幻滅だわ~」
期待していたおれがバカだったようだ。少しは野乃葉なら気付いてくれているんじゃないかという淡い期待は一瞬で消え去ってしまった。
「お前らな、んなわけねーだろ。莉奈はともかく野乃葉おまえは妹だからな」
「私にはいやらしいことする気だったの~」
「そうだよ!お兄ちゃんがまさかそこまで欲求不満だったとは・・・」
「だ~か~ら~な!違うんだよ、あの道を通るのはもっとまっとうな理由があるんだよ!!」
おれは怒りを覚えながらも少し呆れもしていた。
「今から教えてやるよ。おれがあの道を通る理由それはだな」
「それは?」
「それは?」
二人ともおれの言葉に期待をよせる。
「おまえらがかわいいから、回りの視線が痛いんだよ!!」
少しの沈黙が訪れる。だがすぐに沈黙を断ち切る。
「そんなことないよ~♪まさかお兄ちゃんからそんな言葉が聞けるとは」
「そうよ!そんな、かわいいなんて急に言われたら照れるじゃない。まあ、嬉しいから悪い気はしないけどね」
野乃葉も莉奈も多少照れながらそう答える。
「二人とも分かったら少しは反省して、これからは一人で登校するようにな」
おれはそういって自制を促す。
「それはない!」
「それはない!」
こういうときだけ息が合うんだよなー。本当は仲いいんじゃねそう思うおれがいた。
「野乃葉ちょっと耳かしなさい」
「なんですか莉奈さん」
野乃葉は莉奈に耳をかしなにかを告げられる。
「面白そうですね♪そういうことなら、いいですよ」
「一時休戦ね」
二人はこちらをみながら微笑んでいる。なにか企んでるのはすぐにわかった。
「かず、さっきさ一人で登校しろっていったよね?」
「あぁたしかに言ったな」
「それさあ私も野乃葉も約束してあげてもいいわよ」
「まじか!でもどうせなんか条件があるんだろ」
「よくわかってるねお兄ちゃん♪約束してあげる代わりに一ついうことを聞いてほしいんだよね」
おれはなにか裏があるとは思ったが応じることにした。
「分かった、一つだけだぞ」
「やったね♪」
「やったー♪」
「まあ、その話はあとで改まって聞くよ。それよりももうすぐ到着だ」
話ながら走っているとあと少しで到着というところまできていた。
「分かった、忘れないでよね」
「絶対だよ!お兄ちゃん」
あと少しあと少しだ。神代さんが言っていたことがようやく分かる。不安と期待両方が入り交じっていた。
お読みいただきありがとうございます。
次回の更新をお楽しみに。