「第一話 日常生活の終わり そして出会い」
今回初投稿になります。
拙い文章ではありますが読んでいただければ嬉しいです♪
初めての投稿なので長編にしようか短編にしようかと少し悩みましたが、思い切って長編にしてみることにしました。投稿ペースは不規則になってしまうかもしれませんがそこのところは温かい目で見守っていただけたら幸いです。それでは、「凡人男子とモ部」をお楽しみください。
ピピピ ピピピ ピピピ
今日も目覚ましの音と共に目覚める。そう、何の変哲もない一日が始まった。
おれの名前は鈴木茂一高校二年生だ。どこにでもいそうな鈴木というありふれた苗字であり、ぱっとしない名前だと個人的に思っているというのは両親にも言ったことがない、心に秘めていることである。
いつも通りに服を着替えて、いつも通りに朝食を食べる。
両親と一つ下の妹と軽く挨拶を交わし家を出ようとした時に毎日のことではあるが
「お兄ちゃん待ってよ~!!」
妹の鈴木野乃葉が追ってくる。おれは高校二年なので、当然のことではあるが妹は高校一年である。同じ平山高校に通っている。
ハッキリ言ってしまうとおれの通っている高校は普通くらいの学力の高校である。
おれは苗字と名前から連想できるかもしれないが、学力も中の中くらいで、家から近いという理由もあったので平山を選択したのである。
しかし、妹の野乃葉はというとおれよりも遥かに賢いのだが「家近いし、お兄ちゃんが居るし平山にするね。」という過程があり妹も平山に来ることになったのだった。
当時のおれは勿論説得したのだが、両親の賛成も既に得ていたので、おれも仕方なく納得したのだった。
「お~い、お兄ちゃん聞いてる~?」おれはいつものように無視して先を急ぐ。
「だ~か~ら、待ってて言ってるでしょ~!!」それでもおれは先を急ぐ。
実のところをいうとおれは妹と登校したくないのである。妹は学力が優秀なだけでなくスポーツはまあ、そこそこといったレベルなのだが、容姿端麗なのである。
つまり、所謂美少女という部類に入ると思う。兄にとっても嬉しいことではあるのだが、一緒に登校となると話は別である。何が言いたいのかというと、正直言って周りの目が痛い。
周囲からは「なんで、あんな普通な感じのやつが、あんなかわいい子といるんだよ」とか「ふざけんな!おれだってあんな子と一緒に・・・」など色々な声が聞こえてくるのが嫌だった。
ただでさえ色々な声が聞こえてくる中でおれには野乃葉が平山高校に来る前つまり一年前から一緒に登校している幼馴染の宮里莉奈がいつもの待ち合わせ場所に待っていた。
「待たせて悪いな、莉奈」と声をかける。なんだか久しぶりに声をだした気がした。妹とは知人だと思われないように無視し続けていたからかもしれない
「全然待ってないよ、今来たとこ」
などというお決まりの言葉が返ってくる。
だがしかし、この会話さえも本当はしたくないところなのだ。なぜと聞かれるとやはり莉奈も美人なのである。少し会話をするだけで周りからは野乃葉のときと同様に色々な声がとんでくるのだ。
そして、おれにはもう一つ嫌なことがあった。
「野乃葉ちゃん、今日も一緒なんだね~」
皮肉っぽく莉奈がいうと負けじと野乃葉も
「お兄ちゃんの寄生虫の莉奈さんじゃないですか~。あっ、寄生虫って言い方は少し可哀想でしたね。さしずめ寄生人ってとこですかね~」
などと毎日会うたびに言い争いをしているのだ。
おれとしては二人には仲良くしてほしいのだが何回言っても
「お兄ちゃんには関係ない!!」
「かずには関係ない!!」
といった息の合った声で言い返されてしまう。ちなみにおれ茂一は友人からは茂、かず、などのように様々な名前で呼ばれている基本的には勿論苗字で呼ばれることが多い。当たり前のことではあるが・・・
言い争いをしている二人と共に歩く。少し狭い道を通って大通りを出る前に交差点がある。
いつも通ってる道ではあるのだが今日少し様子が違った。
狭い道とはいっても対向することは不可能だが車一台は通れるスペースがあるのだが、今日はその交差点少し手前で人影が見えた。
普段通っている道なだけによく知っていることがある。
この道は朝の通学時間にはほとんど人が通らないというか、学生は特にいないと断言してもいいくらい人通りが少なかった。
だから、うるさい二人を連れて歩くのには丁度いい道だったのでわざとこの道を選んで歩いていた。
だけど今日は交差点手前に一人誰かいるというではないか!
まあそれほどびっくりするようなことではないのかもしれないのだが、おれにとってはそれくらい異常な光景にみえたのだった。
その理由は二つ
一つはいつもは人がいない道に人がいたことこれに関しては少しは驚きはしたがほんの少しだ
人がいないといっても月に一度くらいはいることがあったからである。とはいっても近所のおばあちゃんくらいなもんだが・・・
二つ目の理由こっちが衝撃的だった。
普段は絶対に学生は通らないと断言できたはずの道に学生がいるではないか!!
しかもなんだか妙に怪しい。
交差点に立ったままで全く動こうとしない。
物陰に身を潜めて人を待っているように見えたからである
あとはもう一つ確かに学生ではあるのだがうちの生徒つまり平山高校ではなく隣の神宮寺高校の制服であることは分かった。
だがなぜこんなとこにいるのかが分からなかったのである。平山高校と神宮寺高校はたしかに隣の地区の高校ではあるのだが通学路は違うはずだしそもそもこんな人通りの少ない道に違う高校の学生がいることが本当に不自然だったのだ。
その時隣にいた莉奈が
「あれって、神宮寺の制服だよねなんでこんなところにいるのかなあ」
「おれもそれは思った。というかまず学生がいることにびびったわ」
「そうだよね~」
と妹の野乃葉も共感する。
「なんかあの子挙動不審じゃない?」
「たしかにそわそわしてるかもな。スカート履いてるし見たところ女子だな」
おれはなぜだか妙にその子に関心がいってしまった。なにか引き付けるようなものがあるのではないかと思えてしまった。思い立ったが吉日だとおもい
「おれちょっと声かけてくるわ」
「あっ、ちょっと待ってよ!!」莉奈が引き止めようとするがそれを振り切って声をかける。後ろからは
「おにちゃんの女たらし!」とも聞こえてくるが無視しておくことにしよう。
「きみこんなところでなにしてるの?」おれは尋ねた。
「見て分からないの?人を探してるの!」
少女はこちらを振り返りもせずに言葉だけを交わす。
「こんなところじゃ人も通らないと思うけど・・・」
「私が探しているのは特定の人物じゃないから大丈夫よ」
「そうなんだ。。でもさ、おれはこの道よく通るからちょっと助言するとここはめったに人が通らないだ。特にきみみたいな学生はね。探すんなら向こうに見える大通りの方で探した方がいいよ」
おれは偽善者っぽいなと思ったがひとまず言ってみた。
「私はここで探すって決めたの私に指図しないで!」
「指図って・・・」
こっちは親切で教えてあげてるのにとは思っても口には出さない。でもおれも引き下がらない。
「本当に人通らないから向こうの大通りに行こう。もしまだここで探すっていうなら、おれもここで探してあげるよ」
「あなたにそこまでしてもらう義理はないわ」
少女はなおも振り返ろうとしない。
「おれもここをどんな人が通るか気になるんだ。ここは本当に人が通らないからいつになるかは分からないけどね。どんな風貌してるのかとかなにか特徴はある?」
「しつこいわね。」仕方ないから教えてあげるわよ。私が探しているのは平山高校の生徒よ」
「へ~そうなんだ。それは平山高校の生徒なら誰だっていいってこと?」
「今のところはね」
「それならもう解決だな」
「意味の分からないことを言わないでくれる!こっちは真剣なの!」
その時遂に少女は振り返る。
「おれ平山高校の生徒だからな」
とは言ったもののおれはその少女に目を奪われていた。野乃葉や莉奈とは違うのだが容姿は小さくまとまっていて顔つきは誰が見てもかわいいと言ってしまうだろうと思えた。
おれの発言から少し。時間としては3秒ほどだったとおもうが沈黙があった後、いきなりおれに抱きついてきたため少しのけぞってしまったがなんとか受け止めれた。
そして顔を見合すがあまりにも顔が近かったため距離をとる。
「大丈夫?」
と声をかける。
「ごめんなさいね、いきなり抱きついたりして、あまりにも嬉しくてつい」
「いや、まあそれはいいんだけど。むしろありがとうございますというかなんというか」
「ありがとうございます?まあいいわ。それよりもなぜあなたはこの道を?」
「さっきも言ったと思うけどこの道は学生が通らないんだ。おれはただ静かで人通りが少ない道を選んで通ってるんだ。それだけだね」
「そう、私が探していた人に間違いないわ!あなたみたいなモブキャラが通りそうな道を選んで張り込んでたのよ」
「はぁ、モブキャラって言い方はあれだけど、今はそこはどうでもいいわ。ここでなんで平山の生徒を探してたかを教えてくれない?」
「あぁ、そうだったわね。結論からいうと勧誘よ!勧誘!!」
「は?勧誘?」
おれは思わず聞き返すしてしまった。
「そうよ勧誘。そしてよかったわね。あなたはモ部の平山第一生徒として活躍してもらうことになるわ。喜びなさい!」
「やった~」
とおれは気の抜けた声で適当にあしらうことにした。
「じゃあおれはもう行くから勧誘頑張ってくださいね」
とだけ言い残しその場を去ろうとする。
「どこ行くのよ!」
「いやだってきみが訳の分からないことをいうから」
「訳の分からないことなんていってないわ!あなたをモ部に勧誘しただけよ」
「モ部はいいとしてきみは神宮寺の生徒でおれは平山の生徒。高校が違うじゃないか」
「はい?何言ってんの?神宮寺と平山は合併して一つの高校になったじゃない」
おれはあまりの衝撃に手に持っていたカバンを地に落とした。
これがおれと彼女との出会いだった。
お読みいただきありがとうございます。
これからは出来るだけ早く連載していくのでよろしくお願いします。