月がきれいだ!
アリスさん、妹さんがいたのね!
『犬と月』じゃ妹キャラなのに、実際はお姉さまなのね。(ややこしや~)
これまた、可愛い~!!!
お人形さんみたいだよ~。
オーダ、ハァハァしちゃいます!(って危ない人ではありませんからね!)
肩までの金髪は、毛先だけ内側にくるんとカールして色違いのリボンをつけている。
ドリルじゃないのね!
ツインドリルの妹はツインズでした!
年は、5,6歳?う~ん小学校低学年くらいかな?
アリスさんに駆け寄り抱きつく2人。
「お姉さまが、なかなか帰って来られないので、お迎えにあがりましたの!お姉さま、遅いですの!お腹が空きましたの!」
と水色のリボンちゃん。
「わがまま言ってはいけませんわ、デイジー。お姉さまは、急にお仕事が長引いてしまって遅くなったのですわ。お姉さまはお疲れなのですわ!」
とピンクのリボンちゃん。
あれ?アリスさん挙動不審?
「・・・・・・あのね、そうだわ・・食事・・・まだなのよね・・・」
「『お姉さまが今日は一緒に食べましょう』っておっしゃったので、待ってましたの。もうお腹がぺったんこですの」
と水色ちゃん。
「さっきまで、デイジーとどちらのお腹が、ぺったんこか競争してたのですわ」
とピンクちゃん。
「私とローズは、2人とも同じくらいで、勝負つきませんでしたの。お姉さまのお腹とも競争しますの」
と水色ちゃん。
「・・・ちょっと待って~。触っちゃダメ~」
「「それ~!!!!」」
無邪気にアリスさんのお腹をまさぐるツインズ。
アリスさんの顔色が悪いぞ・・・・
「・・・・・・あれ?」
「・・・・あれれ?」
アリスさんのお腹をぺしぺし叩くツインズ。
「お姉さまのお腹・・・パンパカパ~ンですわ!」
「パンパカパ~ンですの!」
ツインズが、ジト目でアリスさんを睨む。
そっくりですな。遺伝っておそろしや~。(っていうか、エルフにも遺伝ってあるのね~)
「お姉さま、ずるいですわ!」
「ずるいですの!」
「・・・ごめんなさい。2人との約束忘れたわけじゃないのよ・・・おおおお仕事で・・・ちょっと急な用事がありましたの」
アリスさん・・・忘れてましたね・・・しどろもどろじゃないですか。
アリスさんが、助けを求めるかのように私を見る・・・。
このまま無視しても面白そうだけど、これからお世話になるしね。
「ごめんなさい。私がアリスさんにお仕事のことで色々相談にのってもらっていて、それが長引いてしまったの」
うん。これは、嘘ではない。確かに相談にのってもらったもの。
アリスさんが、うんうん肯いている。
「・・・お仕事なのに、お姉さまのお腹がパンパカパ~ンなのは、変ですわ」
「・・・変ですの!」
アリスさん・・・顔に出まくりです。いま、ギクって顔に書いてありましたからね。
なんて言おうか・・・。
「・・・私が、飲食店を始めたくて、それで味見をお願いしたのです。ずいぶん時間がかかってしまったので、食後のデザートはアリスさんのお家で、お二人とご一緒に召し上がって頂くことにしたのです。お二人は、お食事はお済だとばかり思っていましたが、まだということなので、もし良ければお食事も味見していただけますか?」
「・・・そうなのですわ!お仕事で味見をしたのです。『どうしても』ってオーダが言うものですからね!でも、オーダの料理は絶品ですの!あっ、紹介しますわ、妹のローズとデイジーですの」
スカートをつまみ、優雅に礼をするツインズ。
ピンクちゃんがローズちゃんで、水色ちゃんがデイジーちゃんね。
「どうしても」なんて言った覚えはさらさらないですが、ツインズが可愛いので許す!
なぜなら、『可愛いは正義』ですから!
「アヤノン・オーダです。よろしくお願い致します」
「・・・でも、お姉さま達、公園でお話されてましたわ・・・」
「・・・なぜですの?」
ローズちゃん鋭いとこつくね。まだ、ちょっとだけジト目だし。
そこは、食事とデザートでスルーしてくれないと!
「・・・相談したいことを、急遽思い出しまして、すっかり話し込んじゃったんですよ~、ね?アリスさん」
「・・・そっそそうなの!」
って、アリスさん、動揺しすぎです。
「それでは、家に帰りましょう!オーダこちらです。家まではすぐですのよ」
4人で仲良くアリスさんの家へ。
アリスさんの、右手にローズちゃん。左手にデイジーちゃん。
しっかり2人の手をつなぐ。
アリスさん両手に花だね。
道には、街灯の代わりに、ところどころ埋め込まれた丸い石がオレンジ色に光っている。
ヘンゼルとグレーテルが光る石をたどって家に帰ったように、3姉妹も家に帰る。(withオーダ)
「ここですわ!」
アリスさんが、指を指す。
・・・・・・。
これがアリスさんの家・・・。
うん。想像してたよりもちょっと古いかな・・・。いや遥か・・・。
ボロ・・いや、アンティーク?・・・いや、クラシック?・・・。
有明の月が優しく照らしている。
月明かりに浮かび上がる、築60年の三角屋根のお家。(オーダ推定ね)
ちょっと傾いているのは目の錯覚かな。
きっと月のせい。
うん。今夜も月がきれいだ!




