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これも女子会②

ドゥーさんが帰ると、何か静かだな。


「あはは。やっと落ち着いて話せるね~」

ミシャさんは、まだ帰らないのね


「オーダ、まだ帰らないの?って顔してる~」


ギク。この魔性ネコ。心を読むのか?


「そそそんあことないですYO~」


「あはは。噛んでるし~。オーダって赤ちゃんみたいにわかりやすいね~」


「・・ミシャさんが、鋭すぎるんですよ」


「あはは。そうかも~。ね、オーダ。」


「何ですか?」


「今日泊まっても良いかな?」


それはちょっと・・・。

私、一人で寝たい派なんですわ。

全力でお断りする方向ですな。


「うち、布団ないんですよ~」


「・・・帰りたくない・・・」


潤んだ瞳に上目使い。


「うう・・疲れもたまってるような~」

クソ可愛いなっ!


「・・・オーダ・・ダメ?」


ちきしょう!

もう、こう答えるしかないでしょ。


「喜んで!!!」





それから、ミシャさんと色々なお話をした。

まずは、『犬と月』のこと。

『犬と月』のメンバーは、私を含め現在7名

基本ダンジョンに潜るのは5名で、あと一人は私と同じサポート要員らしい。

どんな人か気になったけど、会ってからのお楽しみだってことで詳細は不明。

「自分の目で確かめた方が良いでしょ?」って言ってた。

ミシャさんはフェアな人なんだね。何か、好感度がぐぐぐっと上がったよ~。

何より驚いたのは、ミシャさんが、バリバリ戦闘要員だってこと!本人いわく切り込み隊長ですって。(山○一○ではない)

だって、こんなに華奢で折れそうなんだよ~。

で、皆さんダンジョン踏破を目標にしてて、今は、前人未到の60階層を目指しているんだって。


「そんなすごいパーティーに私なんかが入っちゃって大丈夫なんですか?」


「あはは。オーダは、面白いもん。大丈夫だよ~」


変わり者ポジションでの採用か?

組織では、あるあるだよね、その役割。

優秀な人だけのチームだと効率が落ちるってアレですかな?


「それにしても、ミシャさんは何で冒険者をやってるんですか?」


「あはは。何で~?」


「だって、ミシャさん可愛いじゃないですか。頭も良いし」

なのに、危険な冒険者をあえてやってるのがどうにもミスマッチでしょ?


「あはは。オーダって直球だね~」


「・・・すみません」


「オーダは、『犬と月』の正式メンバーだものね。ちょっとだけ教えてあげるね。でも内緒だよ?」


「はあ・・・」


「あはは。最初はね、遊び半分の暇つぶしみたいなものかな~。でも、今は違うんだ。・・・・。ダンジョン『月の裏側』はね、踏破した者の願いを何でも叶えてくれるんだよ」



「・・・・・」


ダンジョンが願い叶えるとかお伽噺でしょ?

もしやミシャさん不思議ちゃん属性持ち?都市伝説信じちゃってる系?


「だから、ボスは必ず聞いてるの。『ダンジョンに何を求めるのか?』って。ヤバい願いを叶えさせるわけにはいかないから」


確かに聞かれた気がする。


「あはは。信じてないでしょ?でもね、40階以上を踏破した者なら、確信をもって言えるんだな~。これが」


「私たちが、40階に到達したのは、一昨年の秋だったかな。その時にね、ダンジョンからのギフトを受け取ったの・・・・」


「ギフト?」


「そうギフト。でも、今日はここまで~」


「はぁ・・・」


良くわからないけど、ダンジョンには色々謎がありそうだ。

カワイさんに聞いてみるか。


ミシャさんがポツリとつぶやく。

「私、どうしても知りたいことがあるんだ・・・」


ほんの一瞬、泣きそうな顔に見えた。


「アハハ。オーダも一緒にダンジョンに潜ろうよ~」


あの顔が見間違えかと思うような、いつものミシャさんだった。

だけど、私はこれ以上、あれこれ聞くことが出来なかった。

ミシャさんの触れちゃいけない部分な気がしたから。



「いやですよ~。長生きしたいんです、私」


「あはは。何でも願いが叶うんだよ~。ドワーフと結婚だって余裕で叶うよ~」

いたずらっぽい眼差しでこちらを見つめてくる。


「ん~。そんなの余計に嫌ですよ~」


「なんで~?」


「だって、好きな人の気持ちをそういう形で手に入れるの嫌じゃないですか?」


「あはは。でも、どんな手段を使っても手に入れたいのが恋心じゃないの?」


まあそうだけど・・。


「私、ロマンチストなんです。だから、ちゃんと出会って、おしゃべりして、好きになって、相手も私のことを好きになってくれて、いっぱいデートしてっていうのが良いんです。そういう風に、誰かと愛し愛されたいんです」


「あはは。オーダは、ロマンチストなのか~。そんなんじゃ、報われないよ~」


「大丈夫ですって。きっと何とかなりますよ~」


「あはは。何とかなるんだ~」


「なりますよ!例え、恋が実らなかったとしても、それ以外にも素晴らしいことはいくらでもこの世界にありますしね!心が躍ることはいっぱいあるはずですから」


「あはは。そうだね~」


「今だってそうですよ!美味しいお茶を飲んで、楽しいお喋りをしてすごす。これだってかけがえのない時間です。私、今、すごく楽しいですから。もしも、今日が晴れてたなら、こんな素敵な時間は訪れなかったんですよね。雨に感謝です」


「あはは。雨に感謝って・・・。オーダってやっぱりおもしろい!」


そう言って、ミシャさんは、たんぽぽの花の様に笑った。いつものすまし顔ではなく、どこか子供のような顔だった。それが、なんだか嬉しくて私もヘラヘラ笑った。

それから、お茶のこと、ギルドでの仕事のこと、今日の大雨のこと、とりとめないお喋りは続いた。そんな風に夜は更けていった。ミシャさんも私もたくさん笑った。翌朝、ミシャさんが帰るまで・・・。


最後に、お風呂上がりのミシャさんがとても色っぽかったこと。一緒の布団で寝たこと。同性でありながら、ドギマギしたことを付け加えておく。




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