アホのこどこのこ
うん困った。かなり、この人思い込み激しい。
美人じゃないと許されないよ、その性格!
「はあ~。とりあえず、話を整理しましょう。ミシャそこにいるんでしょ?さっさとお茶を持ってきなさい」
「あは。ばれました~?決して立ち聞きしていたわけじゃないですよ~。念のため見張りです。お茶入れてきました~。どうぞ。あ、私ミシャです」
「オーダです。ありがとうございます」
ちゃっかりソファに座っているミシャさん。自分の分のお茶も入れてきたようだ。
うん。美人というより可愛い系だな。茶色のボブは、毛先がくるんってなってるし。こういうタイプの方が、モテるんだよな~。ネコ科のニオイするしね。
「見張りって、結界はってあるから必要ないでしょうが。あなた以外、立ち聞きできる人いないでしょうに。なに勝手に座ってるの・・・」
テンペストさんの怒る声もどこ吹く風。全く響いていないようだ。さすが猫科。
紅茶の良い香りが漂う。
「念のため、確認するわ。あなたの行動は、単なる人助けで他意はない」
YES
「冒険者でもない」
YES
「私のパーティーに加入する意志もない」
YES
「ダンジョンを踏破しようとも思っていない」
YES
「ここに来たのは、料理の材料を買いに来ただけ」
YES
すべてに大きくうなずく。
「でも、ダンジョンの日帰りツアーはいつか行ってみたいですけどね~」
心なしか、ぐったりしたテンペストさん。
珍獣をみるかのような眼差しのミシャさん。
「あはは。この人、変わってる~」
とりあえず、謝っとくか。こちらの常識を知らないから、何かやらかしたのかもだしね~。
「すみません・・・物心ついてから、ずっと山で暮らしていて、祖父以外の者と関わったことがないもので・・・。だから色々ものを知らないのです。何かご迷惑かけたみたいで、すみません」
「・・・・・」
「いえいえ、うちのボスの勘違いが原因だから、オーダは謝らなくて良いんですよ~。ほら、ボス、謝って!」
「ミシャうるさい!・・・こちらこそ、あなたの事情も知らず、踏み込んだまねをして、ごめんなさい。あ~!!!ってことは、さっきの男どもから、オーダに対価を払わせなくちゃいけなかったわ!どうしましょ~!ミシャ!取り立ててきなさい!」
「あはは~。嫌ですよ~。ボスの勘違いなんですから、ご自分で何とかしてくださいよ~」
うん。よくわからないけど、誤解もとけたし、よかったよかった。
ようやく紅茶が飲めるぞ。そして、飲んだらとっとと帰るぞ!
「美味しい!」
香りは控えめだが、渋みも無く、すっきりしていて飲みやすい。
「これ美味しいでしょ?特別にドワーフの自治区から取り寄せたものなの」
「ドワーフ!」
思わず声に出てしまった。
ミシャさんがニヤリと笑う。
「ドワーフに何かあるの?」
テンペストさんも身を乗り出す。
「何か因縁?復讐?」
何ぶっそうなこと言ってるんですか、この人。
「違いますって!単に憧れてるだけです」
「憧れるってどういうことかしら?」
「え・・結婚するならドワーフが良いなぁっていうことです」
二人は顔を見合わせ、眉をひそめる。
「(この人頭おかしくないですか?」」
「(それは、ちょっと言い過ぎよ・・・多分、アホの子なのよ)」
その悪口聞こえてるし。
ちょっと睨んでやるぞ。
私のジト目に気が付いたミシャさんが話題を変える。
「あはは。そういやスパイスを料理って何に使うの?」
そうか。この世界では、スパイスって薬扱いなんだよね。
「豆や野菜と一緒に煮込んだりとか(カレーね)、いろいろ使えるんですよ~。あと、紅茶やワインにもいれますしね~」
またまた、二人は顔を見合わせる。
そして、にやりと笑う。
「紅茶に!何それ?気になる~!!ね、ボス?」
「そうね、オーダ、ここでそれ作ってみてよ」
え?マジですか?




