ドキドキ解毒
サブタイトル変更しました。
連れて行かれた先は、ギルドの救護室だった。
先ほどの男性が、ベッドに寝かされている。
傍らには、彼の友人と職員の女性が立っていた。
THEエルフは職員の女性に話しかける。
「容体は?」
「毒が回りきる寸前。虫の息よ。」
かなり悪いようだ。
「時間が無いわ。オーダ。急いで」
あわてて、男性に駆け寄る。
もはや躊躇している時間は無いようだ。
出来る、私なら出来る。
治れ~。治れ~。う~ん。
あれ、発動しない。どうしよう。落ち着け。落ち着け
あっ詠唱だ!
「治れ~!毒よ消えろ~!」
ありったけの気持ちを込めて叫ぶ。
その瞬間、男性の身体が白い光に包まれた、光は膨れ上がり部屋中を満たしていく。
「・・・・すごっ!」ミシャと呼ばれた女性が息を飲むのが聞こえてくる。
「・・天魔法か!」友人の男性が歓喜の声をあげる。
光は徐々に薄れ、消えていった・・・。
(成功したのかな?)
念のため、鑑定してみる。
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■エルフ(男)
■職業:冒険者
■状態:良好
■魔法:火
■スキル:地図化Ⅱ/体術心得Ⅰ/的当てⅠ
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うん。大丈夫だ。
(よかった~)
汗をぬぐい、息を吐き出す。
「う~ん。ここは・・・?」
目を覚ましたようだ。
「商業ギルドよ。覚えてるわね?ポイズン鎌鼬に噛まれたこと。なぜ護符を持たなかったの?地図化のスキルで毒が防げるとでも?ダンジョンを甘く見ないで」
「迷惑かけた・・・。申し訳ない。感謝する・・・」
「お礼なら彼女に言って。彼女がいなかったら、あなたは間違いなくあの世行き」
男性は起き上がり、私を見上げる。
「命を救ってくれて、感謝する・・・」
「いえ。良かったです・・・。お役に立てたみたいで・・・」
「ずいぶん謙虚なんだな?医者なんだろ?」
「えっと、いや、私は、「STOP!!」」
遮られる。
「そこまでよ。彼女について詮索することは許さない」
「・・・わかったよ」
「ここであったことを他人に話すのも禁止。誓約してもらう。嫌とは言わせない」
「・・・・・・・」
「返事は?」
「・・・わかった」
「あなたもよ?」
付添いの友人を見る。
「わかった」
彼女が空間に手をかざすと、黒い羽虫があらわれる。
「手をだして」
ナイフを取出し、彼らの指先をわずかばかり傷つける。
血がにじみ・・羽虫がナイフにむらがりはじめる。
「彼女について今後一切の詮索と干渉を禁じる。ここで起きたことすべてを他言することを禁じる。月王の加護をもってここに命ずる」
羽虫は二手に分かれると、彼らの胸に消えていった・・・。
「終わったわ。今後は、このようなことは二度と無いように」
「・・・ああ」
彼らは、私を見ると頭を下げた。
「それと。あなたを助けるためにポーションを使ったの。代金は相場で良いわ」
「・・・わかってる」
「もう行きなさい」
・・・・・。
こわい。
うん。美人が怒ると、迫力あるよね。




