スーパーへ
これで、当初のタスクは終了。
まずは、現地スーパー行きたいよね。物価も知りたいし。
プラム通りに戻り、ショッピング・スタート!
『プラム治療院』・・・病院かな。
『ブティックコマチ』・・・町の洋服屋さん。
『シューズのエルフェスト』・・・靴屋さん。
『プラムフィールド』・・・カフェ。
いろいろなお店があるな。
様々な店が立ち並び、歩くだけでも楽しめるね。
情報収集をかねて立ち寄った酒屋さんで、ワインとエールを買う。(日本酒やウイスキーは見当たらず)
冥魔法の『異空間収納』をトートバッグにかけたので、重量を気にせず大量購入してしまった。
うん。魔法最高!
店員さんに教えてもらった食料品店は、ギルドの斜向かいにあるらしい。
ここらでは、一番大きく、品ぞろえも充実しているって言っていた。
クジャクのマークの看板で、マルメロ通りを歩けば、すぐにわかるそうだ。
あれかな?
赤いクジャクのマークが見える。
『イセコシヤ』。なかなか大きいなお店みたいだ。
イセコシヤは、大手スーパーのようで、食料品だけではなく日用品まで扱っている。
キャベツにアスパラ、ピーマンにパプリカ。
トマトに、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ。
こういった、定番野菜もさることながら、トランペットズッキーニ、アーティーチョークなどのちょっと珍しい野菜まで。
果物も色とりどりのヨリドリミドリ。
りんごに、ブルーベリー。いちご、ラズベリー、マスカットそれにスイカまで。
とっても新鮮で美味しそう!
このお店では、冥魔法を使って、品質管理を徹底しているのだそう。この店の棚は、冥魔法の『時間停止』を付与し、食材の最も美味しいとされる状態で維持しているらしい。ちなみに、この技術は魔法特許も取得しているそう。
しかも!お値段もおそろしく安い!
じゃがいもは、10個で1ロデム。
大きなトマトが6つで1ロデム。
キャベツ3玉で2ロデム。
1ロデムが約100円だからさ、トマトが6個100円。キャベツ3玉で200円。
じゃがいも10個で100円。すごいでしょ?
大興奮だよー。
そんなわけで、野菜に果物、豆類にナッツと次々レジカゴに放り込んでいく。
でも、粉ものは、うん。小麦粉オンリー。ガッカリしない。予想してた。してた。
やっぱり、ドライイーストもベーキングパウダーもないね・・・。
小麦粉は、麻袋に詰められたものがこれでもかと置いてあったよ。さすが主食。
全粒粉は、さすがに区別されていたのでわかったけれど、小麦粉が、薄力粉なのか強力粉なのか一体全体分からずじまい。
料理するのにちょっと困るよね・・・。
私、陽魔法も使えたはず。
ちょっと『鑑定』してみるか。
右手前の小麦粉を見つめる。
目の前にシステムウインドウが表示された。
ほー。すごい。さすが魔法。
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■小麦粉
■原材料:軟質小麦
■タンパク質 弱
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ってことは、薄力粉か。
強力粉欲しいな。
う~ん。これも薄力粉だ。
これも。
これも。
これも薄力粉。
う~ん。
お!あった。
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■小麦粉
■原材料:硬質小麦
■タンパク質 強
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うん。強力粉だ。
よし、これも買おう。
一通り店内を見て回る。
粉もの以外にも微妙な品ぞろえなのは、調味料。
塩・こしょう・はちみつ・白砂糖・黒糖・オリーブ油のみだったよ。
正直なところ、お酢くらいはあるかと期待していたのだけどね。
そして、残念なことに、スパイス類、ハーブ類、にんにくなどのいわゆる五葷(たまねぎはあったけど、長ネギはなかったね)、きのこ、海藻は、見つけることができなかった。
ハーブやきのこは、森で採取できそうな気がするから良いとして、スパイスとにんにくと海藻は何とか手に入れたいな~。
聞いてみるか。
ちょうど店員さんらしき赤いエプロンのおばちゃんが、通りかかったので声をかける。
「すみません。こちらでは、にんにくやスパイスって取り扱ってますか?あとできれば、海藻も。人から頼まれまして」
すんごい怪訝な顔されてるな・・・。よし、ここは必殺トガリ山作戦。
「本日、田舎から出てきたばかりなもので・・・このあたりのことがまだ良くわからなくて・・・」
「あら~。どちらのご出身?」
「えっと、トガリ山ですが・・・」
おばちゃんの目がピカッと光る。
「トガリ山って、あの有名なトガリ山?ちょっと待ってて!」
おばちゃんがどこかに去っていく。
あっ1人増えて戻ってきたぞ。
「ミーナさん、こちらトガリ山のご出身ですって!」
「ホントに?やだー。あそこって人住んでるの?だってあの山って、神隠しで有名よね?」
「そうそう、私の友達の友達の知り合いのご家族が神隠しにあったのよ~」
ずいぶん遠いな・・・。
何か2人で盛り上がってるし。この光景デジャブ?
「あーごめんなさい。ちょっと興奮しちゃってね~。冒険者さんのご依頼よね?ここらでは、ダンジョン近くの冒険者専門店でしか取り扱ってないわよ~」
なるほど。冒険者の依頼ってことにしておこう。
「そうなんですね~」
「海藻は海に行けばあるわよ~。でもあれ何に使うの?」
こちらでは海藻を食べないのかな?
「私もわからないんですよ~。頼まれただけなので。どこかで買えたりしますか?」
一応ごまかしておく。
「ちょっとわからないわ~。わかる?」
おばちゃんがミーナさんに聞く。
「私もわからないわ~。でも、あるとすればあそこじゃない?」
とミーナさん。
「あ~。あそこならあるかもしれないわね~」
とおばちゃん。
「私も、最近あそこ行ってないから良くわからないけどね~」ミーナさん。
「私も言ってないわ~。混んでいるしね~」おばちゃん。
なぜ会話が成立するのか全くわからない。
「あそこ意外に思いつかないわ~」とミーナさん。
全然、わからなーい。
もう面倒だ。聞く。
「あの、あそこってどこですか?」
「あそこって言えば、ファーマーズマーケットしかないじゃない?」
いや、知らんがな。
「あーそうね。今日この町に来たばかりなのよね。ウォーター・リーパー教会前の広場で、週末にファーマーズマーケットがやってるの。あそこは、変わったものが色々出るみたいだから、そこなら、あるかもしれないわよ」
おばちゃん達から色々教えてもらったことを整理すると、
・ハーブやスパイス、にんにくなんかは、冒険者が使うもの
・ハーブやきのこは、乾燥して使う。
・エルフは海藻を食べない。
・調味料は、この店にあるものが全てだ。
・ファーマーズマーケットでは変わったものも手に入る。
こんな感じ。
冒険者にとって、ハーブやスパイス、きのこ、にんにくなんかは、一種の『薬』とか『滋養強壮剤』みたいなもので、必須アイテムらしい。天魔法の使い手がパーティーにいるなんて滅多にないことで、(ほとんどが医者になる)それこそAランク以上のパーティーくらいなんだって。冒険者の為のアイテムだからこそ、長期保存が可能なように、乾燥しているものが売られているんだね。森に生えてるのだから、自分で採取すればって思ったのだけど、『鑑定』や『薬草の知識』はレアスキルらしく。冒険者ギルドでも、薬草やきのこの採取は依頼によくあるらしい。いざというとき使う薬草が毒草だったら目も当てられないからね。たいていの冒険者は買うしかないってことみたい。
そうなってくると、陽魔法・天魔法が使えることは人に知られない方が良いね。
悪い人に見つかったら、無理やりパーティーの一員にされてしまうかもしれないから。
その後、おばちゃん達とトガリ山の話で盛り上がってから(私は聞いていただけだけどね)、会計を済ませて店を出た。この世界のおばちゃんは、トガリ山好きなんだね~。




