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ルミナVSセラ 再び

 ルミナとセラさんは学校に併設されてある闘技場の真ん中で対峙している。


 いつの間にか闘技場の観客席には生徒だろうか、多くの人々が元ランカーの戦いを見ようと集まっている。


「あのぉ、セラさん……なんでこんなに人が……」


 審判を務めることになった俺は辺りを見渡しながらセラさんに尋ねる。


「あぁ、気にするな。どうせなら生徒たちにお手本を見せたくてな。私が本気で戦うことなんて滅多にないからな」


「本気……ですか」


 前回二人が戦った時は、セラさんにはまだまだ余裕が感じられた。しかし今回は違う。本気で戦うと言ったように、その表情からは緊張が感じ取れる。


 しかし今回の戦いは真剣ではない。生徒たちの前ということもあるし、前回と戦う理由も違う。ただ木刀といっても最高級の木材で作成された木刀でいかなる衝撃でも割れないという一品である。まともに受ければ骨の二、三本くらい簡単に折れてしまうだろう。


 セラさんは右手に持った木刀を構える。ルミナもまた同じように構える。しかし、以前の敗れた恐怖心からかルミナの手が震えている。


「ルミナ、大丈夫か?」


「うん、心配しないで。これは武者振いだよ。でも不思議と落ち着いてるの。きっと大丈夫」


 ルミナの表情には余裕が見える。逆にセラさんの方は汗が滲み出ている。うん、これはいけそうだな。


 二人が木刀を構え対峙すると、観客もシンと静まり返り、その剣技を見逃すまいと視線が集まる。


「それでは、始め」


 先に仕掛けたのはセラさんだった。ルミナのこれまでの成長を試すように前回と全く同じ技を仕掛けてきた。


「シャイニングボルト」


 激しい光が轟音と共に襲う。しかしその魔法はやはりルミナには向かわずセラさんの木刀に吸い込まれた。その木刀は金色に輝きバチバチと音を立てている。セラさんもあの時より成長している。輝きが増しているように感じる。


「今日は一撃で終わってくれるなよ」


 セラさんは木刀を鞘に納める。


「天心天命流、雷鳴一閃!!」


 鞘から振り抜いた剣から飛び出した金色の斬撃がルミナを襲う。


 以前はこの技を剣で受け、そのまま激しい光に襲われ瀕死の重傷をおった。その時の記憶が蘇る。


 しかしルミナはその斬撃に向かって上段から木刀を振り抜く。するとセラさんが放った斬撃は二つに割れ姿を消した。


「ま、まさかこの技が敗れるとは」


 セラさんは木刀を振り抜いたまま茫然としていた。その隙を逃すルミナではなかった。木刀を振り下ろしたと同時に地面を蹴りだし、一瞬にしてセラさんとの距離を縮める。激しく木刀を振るうルミナに反応の遅れたセラさんは防戦一方になる。木刀のぶつかり合う鈍い音が闘技場内に響き渡る。


 たまらずセラさんは後ろに飛び、ルミナとの距離をとる。結果としてこの選択が勝負の結末を早めることとなった。


「セラさん、行きますよ。シャイニングボルト」


「えっ? うそ」


 思わず声が漏れてしまった。セラさんも信じられないといったようにルミナを見ている。


 激しい光が轟音と共に現れ、ルミナの木刀に集まる。そして再び地面を蹴りだし、木刀を横凪に振るった。セラさんもしっかり反応し木刀で受けるが、その木刀はあっさりと砕け散り、セラさんの横腹に直撃し同時に激しい光が襲う。


「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


 叫び声をあげその場に膝から崩れたが意識は残していた。


「ふふ、もう剣を握ることすら叶わんな。まいった。完敗だ」


 セラさんが敗北を告げると、静まり返った観客席から大歓声が巻き起こった。


「やったぁ、やったよ、ルクス」


 ルミナはその場でぴょんぴょん飛び跳ね喜びを表現している。本来なら俺も一緒に勝利を喜びたいところだったが……


「ちょっとまて、ルミナ」


「どうしたのルクス」


「さっき無詠唱で魔法唱えてなかったか?」


「確かにあれは無詠唱だった。独学でマスターするなんて流石だな」


 セラさんも驚きを隠せないといった感じだ。まさかルミナに先を越されるとは。それにしてもできるようになったのならできると言って欲しかった。俺を驚かせたかったのかなっと思っていると……


「えっ……なんのこと? 戦いに夢中であんまり覚えてないや」


「は?」


「だ~か~ら~覚えてないの。勝ったんだからいいじゃない。セラさん大丈夫ですか?」


「あ、あぁ。なんとか立てるくらいは……」


 セラさんも呆れているようだった……


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