取り調べ!?
活動報告にて、設定の変更点を記述しております。
プリンはゴミに囲まれた部屋で寝転んで一人考えていた。
「ルクスとかいったか……スキル無いくせにレベルが物凄かったな……いくら女のスキルの影響受けてるとはいえあの年であれはおかしい。まさか親父より高レベルなんてな……」
実はプリンはスキルだけでなく、レベルまで見ることができたのだ。特にルクス達に言う必要もないと思い黙っていたのだ。
「レベルだけみればあいつよりも少し上か……いや、あいつを見たのは1年も前だ。今ではどうなっているか……ふぁぁぁぁ。まっ、私には関係ない、寝よ寝よ」
プリンは大きなあくびをして、そのまま床で寝てしまった。
◆
俺達はとりあえずギルドに戻ることにした。プリンさんの家の辺りはは人通りはほとんどなかったが、ギルドに近づくにつれ、昼前ということもあり、道にはすし詰めとまではいかないが多くの人がいた。とりあえず、昼御飯はルミナが作ると意気込んでいたので、俺はルミナが言う食材を買い込み、手にパンパンになった袋を持っていた。
大きな袋を持って歩いていると色々な人に体がぶつかるので、愚痴をこぼしてしまった。
「相変わらず、この辺りは人が多いですね。歩くのも一苦労ですよ」
と、横を歩くグレイブに話しかけたつもりだったのだが、前を歩いていた女性が歩きながら俺の方をチラ見した。
『やばっ、聞こえたかな』と思ったが、女性は予想外の行動に出た。
「も、申し訳ございません」
女性が慌てたように大声で謝り、隣の人にぶつかりながら道を譲ってくれた。
なんだこれ?と思っていると、女性の謝る声を聞いた周りの人々が俺を顔を見るなりほとんどが立ち止まり、恐怖に怯える者、憧れを見るようにキラキラと目を輝かせる者、不満そうな顔をしている者、様々に分かれた。
しかし、とる行動は一緒だった。町の人々が道の左右に詰め、俺が歩くための一本の道ができた。前に何かで見たモー○の十戒みたいだ。
遠くの方では揉める声も聞こえる。
「なんでこんなことしなきゃダメなんだよ」
「バカッ、殺されるぞ。あの方はセラさんを倒したランカーなんだぞ」
「昨日はギルドの食堂の奴らが皆、土下座させられたそうだぞ。とりあえず、イラつかせたり、怒らせたりしなければ大丈夫らしい」
「なっ……まじか……」
えっ、ほんと何これ……俺がグレイブさんの方を見ると、右手で頭をかきながらハハハと苦笑いしている。
あんたのせいか、グレイブさん……
「ルクス……こんなことがしたかったの?」
ルミナからは軽蔑の目で見られている。
「ち、ちがう。俺はこんなこと望んでない」
「ル、ルクス君。とりあえず、皆をこのままにしておくのは申し訳ないから早く行こうか」
「そうですね。早く聞きたいこともありますし……」
俺達は駆け足でギルドに向かった。こんな恥ずかしいことは他にないくらいだった。みんなからの視線が痛い。
グレイブさんの部屋でテーブルを挟んで俺とグレイブさんが向かい合う。ルミナは部屋にある台所で何かを作っているようだ。
「グレイブさん、あなたがやったんでしょ」
俺が強めの口調でテーブルをドンと叩く。
「い、いや、俺は何も知らない」
「ネタは上がってるんですよ。早く吐いて楽になりなさい」
再びドンと叩く。テーブルがミシミシいっている。そろそろ割れそうだから止めとこう。せっかくテープで巻いて直してるんだし。
「だ、だから俺は何も知らないと……」
ひたすら否定するグレイブさんだが、暑くもないのに汗がダラダラ流れている。間違いなく黒だろう。しかし、認めない。どうしたものかと悩んでいたら、ルミナが俺の目の前に蓋をした丼をゆっくり置いた。
「まぁまぁ、もうお昼だしご飯にしましょう」
そう言うと、丼の蓋を目の前で空ける。すると中からは、ご飯の上に揚げた肉を卵でとじたものを乗せた料理が姿を表した。そして、おいしそうな香りで部屋中が満たされた。自然とヨダレが溢れてくる。グレイブさんもその料理に釘付けになっている。今まで見たことがない料理だが、相変わらずルミナの料理はうまそうだ。
ルミナは俺の横に座り、俺の2倍の大きさはある丼を置く。そして俺の方をみてニコッと笑う。
「さぁ、食べましょうルクス。いただきまーす」
「あぁ、そうだな。いただきまーす」
「ねぇ、俺の分は??」
俺とルミナはグレイブさんを無視して食べ続ける。
「ルミナ、今日の料理もほんと美味しいよ。特にこのタレがいいな」
「そうでしょう。自信作なんだぁ」
「ねぇ、俺のは……」
再び無視する。グレイブさんには焦りの表情が見える。
「あっ、ルクス。足りなかったらあと1人分あるからおかわりしていいからね」
「おっ、それはありがたい。是非頂こうかな」
「えっ、それ俺の分……」
俺は自分の丼をかきこんで、一気に食べきる。
「ルミナ、美味しすぎてもう食べちゃったよ。おかわり!!」
「すいませんでしたぁぁぁぁぁ、俺がやりましたぁぁぁぁ。だから食べさせて下さい」
グレイブさんはテーブルに手をついてとうとう謝ってきた。