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二つ目のスキル

プロローグとルミナの設定を変更してます。

「あーなるほどね」


 プリンさんは一人で何かを納得しているようだ。


「あんた、この娘に感謝しなきゃね」


「えっ」


 俺がルミナに感謝?まぁこんな俺といつも一緒に居てくれて感謝してることはしてるが……プリンさんが言いたいことはそんなことではないだろう。


「どういう意味ですか?」


「とりあえず、二つ目のスキルを説明するよ。スキル名は【女神の加護】だ」


 め、めがみ!?ルミナは女神様だったのか?いや、女神の加護ということは女神さまから何かしらの加護を受けているということだろうか。


 俺とグレイブさんが揃ってルミナの方を見る。


 ルミナはえっ?と言った感じで、自分を自分で指差している。


「私、女神じゃないよ?普通のか弱い女の子だよ?」


「いや、どこがか弱いんだよ」


 俺がルミナを突っ込むと、ルミナはリスのように頬を膨らませた。ほんとかわいいなぁ、もう。強くなっても、ちゃんと女の子として扱ってほしいのだろう。だが今の問題はこの【女神の加護】がどういったスキルなのかということだ。


「それで女神の加護ってどんなスキルなんですか?名前だけ聞くとすごくいいスキルみたいですけど……」


「あぁ、すごいもすごいぞ。とりあえず、説明するな」


 プリンさんは、女神の加護について詳しく説明してくれた。いや、説明というよりは、たどたどしく書いてある文章を読んでいるだけだか。


 【女神の加護】

 効果……

 獲得経験値極大上昇

 呪い系統無効化


 効果範囲……

 自分自身

 女神の加護を持つ者から寵愛を受ける者


「なっ」


 俺は驚きのあまり声を失った……確かに効果は素晴らしいものだ。経験値極大上昇、どれほど上昇するのかはわからないが極大と書いているくらいだから期待していいのだろう。呪い系統無効化も呪いというものがよく分からないが、あるに越したことはないだろう。


 それよりも効果範囲だ。ルミナに寵愛を受ける者も同じ効果を得られるってことか。俺がこの世界でレベルがよく上がると思ってたのは、ルミナのお陰だったのか。


 ん?最初に気付いたのはいつだっけ?たしかゴーレム倒して、帰る途中だったっけ。ということは、ルミナはその時から俺のこと……考えるとニヤついてしまった。


「ねぇ、ルクス。どうしたの?気持ち悪いよ」


「えっ、あっなんでもない、なんでもないよ」


「あやしい……」


 ルミナがジト目で見てくる。しまった、ついつい自分の世界に入ってしまったな。


「それよりもルミナすごいじゃないか。このスキルがあれば此れからもどんどん強くなれるよ」


 ルミナは花が咲いたように笑顔になる。


「そうかな。やっぱりそうかな。なんか聞いても自分のことじゃないみたいだよ。私にそんなスキルがあるなんて。それに寵愛って好きってことだよね。私、ルクスのこと大好きだからルクスもスキルの効果受けれるんじゃないかな?」


 さらりと恥ずかしいこというなこの娘。それにプリンさんの方から舌打ちも聞こえたぞ。


「あぁ、たぶんね。俺が自分にスキルがあるって勘違いしてたのは、ルミナのスキルの影響だったんだな」


「でも私うれしい。いつもルクスには迷惑かけてるから、少しでも役に立ててほんとにうれしい」


 迷惑?なんか迷惑かけられたことあったかな?まぁルミナが喜んでるのならいいか。


 すると机をドンと叩く大きな音がした。


「はいはい、これで終わりだよ。いつまでも、いちゃいちゃしてるんじゃないよ。目に毒だ。さっさと帰ってくれ、私はもう寝る」


 そう言ってプリンさんはその場に横になった。寝るって、もう昼前だよ。どれだけ不摂生な生活を送ってるんだろうか。


「よし、じゃあ俺達も帰ろう。プリンも今日はありがとう。さぁいくよ」


 グレイブさんは何か焦っているようにも見える。急にどうしたのだろうか。あっ!!


「そういえばグレイブさん、俺たちのスキル聞くだけ聞いてズルいですよ。グレイブさんのスキルも教えてください」


「うっ、気付いたか……」


 グレイブさんは困ったというように唇を噛んでいる。


「ル、ルクス君はスキルなかったんだから、いいじゃないか」


「いえ、私のスキルは聞いたんですから教えてください。ズルいです」


 ルミナも話に入ってきた。ナイスだ、ルミナ。


「あー親父のスキルかい?たしか、【魔法?何それ?おいしいの?】だっけ」


 グレイブさんがわーわー言って、プリンさんの声をかき消そうとしたがはっきりと聞こえた……【魔法?何それ?おいしいの?】って言ったか。なんだそのふざけた名前のスキルは。


「いやーあの時は笑ったなー」


 プリンさんは再び起き上がるとペラペラ話し始めた。


「大金払って、あんな笑わせてくれるなんてな。忘れもしないよ。まぁ変なのはスキルの名前だけで、中身はちゃんとしたやつだったけどな」


 プリンさんは楽しそうに話していた。しかし、スキル名だけ聞くとバットスキルにも聞こえるが……


「そのスキルの効果は何だったんですか?」

 

「あぁ、効果はすごいぞ」


【魔法?何それ?おいしいの?】

 効果……

 魔法の無力化

 魔力0

 レベルアップ時、魔力以外のステータス上昇値大幅上昇


 効果範囲……

 自分自身


 うわっ、なんか良いのか悪いのか分からないスキルだな。魔力が0なのは痛いが、魔法を無力化できるのか。魔法が得意な奴はひとたまりもないな。必然的に物理だけの戦いになるのか。


 すべてをバラされたグレイブさんは額を押さえ下を向いていた。まぁ俺も効果はともかく、名前は聞かれたくないな。フォローしておくか。


「グレイブさん、いいスキルじゃないですか。魔法を得意とする奴には楽勝だし、ステータス上昇もついてるし」


 しかし、グレイブさんは晴れない面持ちで答えた。


「本当にそう思うかい?想像してごらん、魔力が0ということを。初級魔法も使えないんだよ。俺も若い頃は冒険者として、パーティーを組んでいたんだ。野営の時なんかみんな簡単に魔法を使って、火をおこしたり、水で洗ったり……俺は何もできないから、毎日仲間にお願いしてさ。それに一番辛いのはボックスが使えないことさ。みんな身軽に歩いているのに、俺だけ大荷物を持って歩くんだよ。みんなボックスに入る量には限界があるからね。誰も俺の荷物もってくれないんだ……」


 グレイブさんは遠くを見つめていた。たしかにボックスがないのは辛いなぁ。ボックスに既に数百キロは入っている俺には想像できないことだ。まぁガラクタばかりだけど……今度整理してみよう。


「グレイブさん、辛かったんですね。大丈夫です、私はまだまだボックスに余裕あるんで一緒に旅することあったら、私持ちますから」


「はは、ありがとう。ルミナさんは優しいね。けど俺はギルドマスターとして、この町を守るよ。大事な冒険者達もいっぱいいるしな。私が今この場所を離れるわけにはいかないから」


「そうですか。でも困ったら遠慮なく言ってくださいね」


「あぁ、そうさせてもらうよ」


 グレイブさんに、少しだけ笑顔が戻った。


「じゃあ、そろそろ失礼します。今日はありがとうございました」


 そして俺達はプリンさんにお礼を言って、部屋を出た。


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