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ルミナのスキルは?

「いやいやいや、絶対スキルあるはずです。ちゃんと見てください」


 俺は納得がいかなかった。あきらかに今までの人生とは成長度合いが違いすぎる。これがスキルの影響でないならなんだと言うのだ。


「あんたもしつこいね、無いものはないんだよ」


「いや、でも何か文字が浮かんでるじゃないですか」


 この文字のようなものは絶対に鏡が光る前にはなかった。これはスキル名を表しているのではないのか。プリンさんはめんどくさそうに答える。


「あぁ、これね。あんたなんか呪いか何か受けてるかい?これはバッドスキルだね。今は消えかけてるみたいだから大丈夫だろうけど。神の……うーん、やっぱ読めない。まっ大丈夫大丈夫」


 えっ、呪い?なんか一気に怖くなってきた。そんなもの受けた記憶がない……俺を恨んでる誰かが俺の知らないところで呪ったのか?神のなんたらとか言ってたな。


 もしかして俺、神に呪われてたの!?ってか神っているの!?まぁでもプリンさんが言うには消えかけてて大丈夫みたいだし気にしてもしょうがないか……


「わかりました。スキルがないならしょうがないです。ありがとうございました」


 俺は非常に非常にがっかりして、その場を立った。ずっとこの日を楽しみにしてたのに……ひどいよ神様……


「ルミナはいいスキルがあるといいな」


 そう言ってルミナと場所を交代した。ルミナは、


「うん、がんばる」


 とか言ってたが座ってるだけなのに何を頑張るのだろうか。


「あんたもスキル無しだったら親父はほんと無駄金を払ったことになるな。何も無くてもお金は返さないからな。この金で一年間は遊んで暮らすって決めてるんだ」


 1000万ピアを一年間で使いきる気なのかこの人は……まぁお金がなくなったら5000万ピアとは言わず、安くでスキルを見てあげればいっぱい人が来て大金持ちになれるだろうに……グレイブさんもそんな娘の姿に呆れたように、


「わかってるよ。勝手にしなさい」


 と言ってため息をついていた。


「よし、じゃあ始めるよ」


 再び鏡の前に鏡の前に両手をかざす。すると鏡の光が部屋を覆う。光が収まると鏡には俺の時とは違いびっしりと文字のようなものが書いてあった。これは間違いなくスキルがある。


 プリンさんも驚きの表情をしている。机に置いてあった水を一口飲み、一息ついて口を開いた。


「あんた、男なのかい?」


 部屋の空気が凍りついた気がした。


 は??なに言ってんだこの人。どう見ても可愛い女の子じゃないか。え?ほんとは男なの?女装が趣味なの?たしかにあんまり胸はないけど、体つきは女の子そのものだ。ルミナの体をなめまわすように見て、顔を上げると怒りに満ちたルミナと目が合った。


 あーこれあれだ。うん、そろそろくるな。あっきたきた。とりあえず避けるのもあれだし、歯を食い縛ろう。


「なにじろじろみてるのよ、私が男なわけないでしょ」


 強烈なビンタが俺の左頬をはたいた。


 その光景を見てプリンさんは高笑いしている。ってあんたのせいで俺が殴られたんだよっ。


「いやーすまんすまん。スキル名に大食漢ってあったからな。普通この言葉は男に使うもんだからさ。ついつい」


 ついついじゃないよ、全く。それで俺は痛い目にあってんのに。しかしやっぱりルミナにはスキルがあったか。でも大食漢って……只の大食いってやつなのか?気になったので聞いてみた。


「それってバッドスキルじゃないんですよね?」


「あっ、ちょっと待ちな。今スキルの内容を読んでるから」


 鏡からはスキル名とその効果を見ることができるようだ。どうせなら俺の神のなんたらの効果も知りたかったな……


「よし、わかった。いやーいいスキルを持ってるね、あんた」


「私、そんな名前のスキル嫌です」


 ルミナはまだ機嫌が治っていないようだ。


「そんなこと言うなよ。このスキルは素晴らしいぞ。大食漢ってスキルは、成長に必要な栄養以上の食事を摂るとその分は経験値に変換されるっていうスキルみたいだ。いくら食っても太らないし、食えば食うほど強くなるっていう夢のようなスキルだな」


「えっ、じゃあ私いっぱい食べていいの?」


「まぁ食費は大変だろうけど、いいんじゃないか。同じ女性としては羨ましい限りだね」


 プリンさんはそんな美に気を使っている感じはしないけど……やっぱり太るのは嫌なんだろうか。しかしルミナの急激な成長の理由がこれではっきりしたな。魔物を倒す経験値だけでなく、食べることでも経験値を得ることができればレベルもそりゃあ上がるだろう。


「ルクス、私これからもいっぱい食べていいんだって。いっぱい食べても太らないんだって」


 ルミナは本当にうれしそうだ。さっきまでの不機嫌が嘘のように。それに強くなることより、太らないことを喜ぶなんてやっぱり少しは体重のこと気にしてたのかな。


「あぁ、よかったな。いっぱい食べれるようにいっぱい稼がないとだけど」


「そうだね、私がんばるよ」


 俺とルミナが喜び合ってると、グレイブさんがプリンさんに話しかけていた。


「なぁ、プリン。その鏡の右下の矢印はなんだ?」


 俺も鏡を覗きこむと、確かによく見ないと気づかないような小さな矢印が点滅していた。


「矢印?おぉ全然気づかなかった」


 プリンさんは人差し指でその矢印をさわる。すると鏡の文字が全て別のものに変わった。今度は左下に矢印が出て点滅している。右下にはもう矢印はない。おそらくこの矢印で文字が切り替わるのだろう。


「もう1つスキルがあるみたいだね。ちょっと読むから待ってな」


 ルミナには二つのスキルがあるようだ。バッドスキルでなければいいのだが……しかしルミナの能力で悪い所は特に見当たらない。強いて言えば我儘なところがあって、最近暴力的なところくらいか……まぁこれは性格の問題だからスキルではないだろう。ということはいいスキルのはずだ。俺とルミナはまだかまだかといった感じでプリンさんを見つめていた。

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