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恥ずかしいこと?

「ルミナ、もう大丈夫なのか?」


 俺はソファーから立ち上がり、ルミナに異常がないか体をペタペタと触る。体が大丈夫なのは分かっていたが、チャンスとばかりに色々なところをサワサワ、モミモミした。


「ちょ、ちょっとルクス。わっ、私は大丈夫だからっ。そんなペタペタ触らないで。ねぇだから大丈夫、だいじょうぶだってばー」


 いつまでも体をまさぐる俺はとうとうルミナに両手で突き飛ばされて頭を机の角にぶつけた。


「いってぇぇーーー」


 頭を両手で押さえてうずくまる。どんどん腫れてタンコブができてしまった。しかし、戦ってるときはダメージとかあんまり受けないのに、なんでこうゆう時は痛いんだ?不思議だ……


「ご、ごめんルクス。心配してくれたんだよね。でもちょっと触りすぎかなって。最後の方お尻さわってたし……」


 顔を赤らめている。しかし、グレイブさんやセラさんの前で言わないでほしかった。セラさんが軽蔑したような目で見ている。


「い、いや俺の方こそ調子に乗りすぎました。あっセラさん、頭が痛いので回復魔法の方をお願いしたいのですが……」


「バカにつける薬はないのだよ、ルクスくん」


 軽蔑の目を浴びせられながら、冷たく突き放されてしまった。


「すいませんでした」


「はっはっはー、ルクス君、回復魔法は莫大な魔力を使うんだ。そんなにポンポン使うものじゃないんだよ」


 グレイブさんが笑いながら説明してくれた。


「なに笑ってるんだ?お前のプランのせいで、今日は三回も使わされたんだぞ。さすがに魔力が枯渇した」


 セラさんは同じ目をグレイブさんに浴びせた。


「す、すまん。この埋め合わせは必ずするから……」


「あたりまえだ」


 そう言うとソファーにドサッと座る。俺とルミナも並んで対面のソファーに並んで座った。グレイブさんもセラさんの隣に座ろうとしたが、


「おい、私達に茶はでないのか」


 と言われ、いそいそと奥の台所へ向かった。なんか二人の結婚してたときの生活が想像できるな。


 全員の飲み物が行き渡ると、セラさんが口を開いた。


「ルミナさん、ごめんなさいね。痛い思いをさせてしまって」


 ルミナは今から飲もうとしていたコーヒーを慌ててテーブルに置き、


「セラさん謝るなんてやめてください。そもそも私が決闘を挑んだんです。殺されても文句は言えないのに怪我も治してもらって……それに自分の未熟さを痛感しました。正直最近負け知らずで調子に乗ってたんですね。また修行に励みます。今日はありがとうございました」


 と言って頭を下げている。


「貴方は才能がある。私を越えるのもそう時間はかからないはずだ。頑張りなさい」


「そ、そんな。私なんてまだまだです」


「それにしてもルクス君。君は何者なんだ?ルミナさんもあり得ないほどの才能を感じるが、君の力はもはや人の域を越えている」


 セラさんが真面目な顔で聞いてくる。


「そんな大げさですよ。セラさんだって本気じゃなかったでしょ。回復に使う魔力を残しながら戦ってたんですから」


 実際セラさんは今日無駄に魔力を使っている。セラさん程の実力があれば究極魔法、いや神級魔法でさえ使えてもおかしくない。先ほどグレイブさんが回復魔法は莫大な魔力を使うと言っていた。俺に回復魔法を見せるためとルミナを治すための二つに使う分の魔力は少なくとも攻撃にまわせたはずだ。


「たしかに回復に魔力を使ったが、例え全てを攻撃に使ってもルクスくんを倒せるとは思わないよ。私が相手の実力を見間違うことはない。まぁ、君の場合は強すぎてどれだけ差があるのかは分からないが」


「ほんとあそこまで強いと思わなかったよ。よかった、俺が戦わないで」


 グレイブさん!?それは失言では!!


「ほう?お前の代わりに私がやられてよかったと」


 予想通りセラさんに睨まれている。


「ち、ちがう。俺には回復魔法が使えないから……もし取り返しのつかない怪我をしたら大変じゃないか」


「ふん、まぁいい。あとで絞めてやる」


 あぁ……こうゆうのが日常的に起こって別れたんだな。グレイブさんもため息をついている。


「セラさん、聞きたいことがあります」


「回復魔法のことだろう」


 セラさんは回復魔法については聞かれるだろうと予想していたようだ。


「はい。まさか実際にこんな便利な魔法が存在するなんて思いませんでした。あと至高魔法を使ったのに、詠唱をしてなかったですよね?なんであんなことができるんですか?」


 セラさんは驚いた顔をしている。え?俺なんか変なこと言いました?


「ルクス君は至高魔法以上は使えないの?」


「いえいえ、もちろん使えます。ただ詠唱をしないと……」


 俺がそう言いかけると、セラさんが急に笑いだした。


「フフフ、まさか君は至高魔法を使うときにあんな恥ずかしいセリフを……くっくっく……」


 大声で笑いたいのを我慢しているようだ。


「いやいや、すまんすまん。なるほどね。才能と実力は化物だが、知識は年相応というわけだな。少し安心したよ」


 えっどういうこと?化物と言われるのは心外だか、知識が年相応?今まで生きてきた年齢を合わせるともう数千歳になってるんだけどな。たしかにこの世界の知識はまだ15年分だけど……


「ということは、ルミナさんも詠唱するのかな?」


「は、はい。ルクスの真似をしてるだけなんですが……格好よくて使ってみたらできたので……」


 ルミナが格好いいと言うと、またセラさんは口を抑えて我慢している。


「くっ……あれが格好いいだと……フフ」


 ルミナもイラっとしたのか若干頬っぺたが膨らんでいる。


「あーわかったわかった。あなた達、私の学校に入学しなさい」


「「がっこう??」」


 俺とルミナが見事にハモった。



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