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【R8.8 連載再開】何度目の転生だろうか……おっ、ちょうど100回目か♪  作者: Kuran
第二章:王都へ

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ドラゴンとの戦い

「さぁ、では早く始めるとしようか。このドラゴンの『真の主』を決める戦いをな!」


 金色のドラゴンは口端から赤黒い火炎を漏らしながら、待ちきれないといった様子で邪悪に歪んだ顎を開いた。


 直後、金龍が胸を極限まで膨らませ、一気に息を吹き出す!


 ドドッッ!! と重低音が響き、真空の刃を纏った風圧がカマイタチとなって、俺と黒龍をまとめて巻き込もうと襲い掛かってきた。


 俺は咄嗟に『マジックウォール』を展開して防ぎ、黒龍は巨大な翼を羽ばたかせて上空へ回避した。


(ん……? なんかこの技、最近どこかで見たような気がするな……)


「ほう、俺のブレスを正面から防ぐとは……ただの人間ではないようだな」


 (そうだ、ブレスだ! この前ギルドで赤き竜が使っていた技だ!)


 威力こそ雲泥の差だが、あの時の軌道と衝撃波の性質は確かにドラゴンのブレスそのものだった。あの男はどうやってドラゴンの技を……?


「なぁ、そのブレスって、人間でも使えたりするのか?」


「ハッ! 人間ごときが竜種の固有技能を使えるわけがないだろう。バカなのかお前は?」


 固有の技……だが、あのキースの袖から覗いていた異形の鱗と、このドラゴンの鱗は色こそ違えど質感がそっくりだった。


「じゃあ……ドラゴンって人間の姿に化けたりできるのか?」


「なれるわけがないだろう。いよいよ本物のバカか?」


 (……ちくしょう、あの『赤き竜』のせいでまたバカと思われてしまった!)


 呆れた顔で俺を見下ろす金龍は、鬱陶しそうに鼻息を吐き捨てた。


「質問ばかりで煩わしい奴だ。どうせお前はここで死ぬのだから知る必要もない。どうしても聞きたければ、俺の攻撃を生き残ってみるんだな。……まあ、生き残ったところで俺が勝ち、黒龍を仕留めた後は、そこに隠れている娘もろとも人間どもを殺すがな。……ハハッ、娘の命が惜しければ必死に抵抗してみせろ! 三対二でも構わんぞ?」


 ……俺の中で、冷たい何かが静かに弾けた。


「……おい。今、なんて言った?」


「あぁ? 耳まで腐っているのか? 『あの娘も苦しませて殺す』と言ったんだよ、バカめ!」


「あんた……言っちゃいけない一線を越えたな」


 ゴォ……と俺の周囲の空気が重く沈み込む。


「絶対に殺されても文句を言うなよ。……あぁ、死んだら何も言えないか。死ぬ直前にせいぜい命乞いさせてやるから安心しろ」


「なッ……!?」


 金龍が俺の放つ圧倒的な殺気に気おされ、一歩後退った。


 俺はいくらバカにされようが、自分自身が蔑まれる程度なら苦笑いで流せる。だが……ルミナを傷つけると言った奴だけは、地球がひっくり返っても絶対に許さない。


 俺が金龍へ踏み出そうとした瞬間、銀色の巨大な影が間に入り込み、立ちふさがった。


 銀龍だ。


「……そうだったな。お前が俺の相手だったな」


 俺は冷徹な瞳で銀龍を見上げる。


 だが、流石にこの巨大な相手に剣一本で戦うのは効率が悪い。俺は静かに魔力を練り上げ、一つの魔法の詠唱を開始した。


 銀龍も詠唱を阻止せんと、その巨大なアギトから高密度の火球を立て続けに解き放ってくる。


 ——が、そんな不意打ちなど百も承知だ。事前に多重展開しておいた『マジックウォール』が爆炎を完璧に遮断する。


 炎の嵐の向こう側で、俺は静かに言葉を紡ぎ切る。


『——炎の覇王よ。その轟炎の矛で、愚かなる敵を貫け』


 空一面が鮮烈な赤に染まり、無数の巨大な炎の塊が天空に揺らめいた。その一つ一つが、超高熱の長槍へと姿を変えていく。


『至高魔法:ファイアレイン』


 ドドドドドドドドドドドドッッッ!!!!


 豪雨のごとき炎の槍群が、逃げ場のない銀龍の全身を容赦なく穿ち抜いた。


「グガァァァァァァッッ!!??」と断末魔のような叫びが木霊し、銀龍の巨躯は真っ黒に焼き焦げてその場に崩れ落ちた。ピクピクと痙攣しておりまだ息はあるが、もはや戦う余力など万に一つも残っていない。


 「……よし、こっちは片付いたな」


 黒龍の方へ視線を戻そうとした、その直後——


 ズドンッッ!! と凄まじい衝撃と共に、巨大な塊が俺のすぐ真横の地面に突き刺さった。


 土煙が晴れると、そこには傷だらけになった黒龍が倒れ伏していた。意識はあるようだが、翼は折れ、立ち上がることすら厳しい状態だ。


「ハハハハッ! 黒龍よ、不覚をとったな!」


 上空から金龍が高笑いを響かせる。


「前回の戦いの狙いは最初から白龍だったのだよ! お前たちの連携さえ潰せば、一対一で俺が負けるはずもない! まんまと引っかかって一人になったなぁ! これで俺が……このドラゴンの主だッ!!」


「おい。……まだ俺がいるぞ」


 俺の冷ややかな声に、金龍の高笑いがぴたりと止まった。


 金龍は信じられないものを見る目で俺を見下ろし、次いで地面で黒焦げになって倒れている銀龍へ視線を落とした。


「お前……一体……何をした……ッ!?」


「何をしたって……ただの『ファイアレイン』をぶつけただけだが?」


 まあ、普通の魔導士が使う威力の十倍は出力されていたと思うが。


「くっ……まさか人間ごときに銀龍が敗れるとは……ッ! いいだろう、調子に乗るなよ虫ケラが! 俺が直接お前を絶望の中で殺してやるッ!!」


「間違いだろ。……俺がお前を殺すんだよ」


 金龍は上空へ躍り出ると、肺が引きち切れんばかりに深く息を吸い込んだ。


(またブレスか……芸のないやつだ)


「ルクス、早く逃げろッ!! あれは普通のブレスではないぞッ!!」


 黒龍が必死の形相で叫ぶ。


 見上げれば、金龍の口元には黒いバチバチとした放電現象と共に、高密度の圧縮エネルギー球が形成されていた。


「炭にさえ残さず消し飛べぇぇッ!! 【紅蓮轟爆球(ぐれんごうばくきゅう)】ッッ!!」


 漆黒の核を秘めた灼熱の巨大球体が、空気を断ち切りながら高速で俺へ迫る。


「俺に遠距離攻撃は効かないって言ったろ。……マジックウォール」


 ——ドォォォォォォォンッッッ!!!!


 天地を揺るがす大爆発が巻き起こり、俺の視界全体が目も眩むような爆炎と灼熱に包まれた。


「ルクスぅぅぅぅぅっ!!」


 洞窟の陰から、ルミナの悲鳴のような叫び声が響く。


「フン……たわいもない! 骨すら残らず消滅したわッ!」


「……何一人で完結してんだよ」


「なッ……!!???」


 炎が晴れ、服の一所の乱れもなく無傷で立っている俺を見て、金龍は眼球が飛び出さんばかりに固まった。


(……しかし、やるなコイツ。俺の『マジックウォール』が五重まで破られたのは人生で初めてだぞ)


「く、くそったれぇぇぇぇぇッ!!」


 遠距離攻撃が効かないと悟った金龍は、全身に雷光を纏わせながら、鋭い爪を振りかざして上空から高速で殴りかかってきた!


「【ライトニングクロー】ッッ!!」


(おっ、この技もキースが使っていたやつだ!)


 俺は腰の『黒剣 輝夜』を静かに引き抜くと、迫り来る雷光の爪を紙一重でかわし、そのまま金龍の太い腕を一閃した。


ズバッッ!!


 完全な切断まではしなかったが、骨の半ばまで切り裂かれた腕から大量の龍血が噴き出す。


「ギャアァァァァァッッ!!?? ちくしょう、俺の腕が……ッ!! 人間のくせになんだお前はッ!? 一体何者なんだよッ!?」


「ただの人間だよ。……さっき、俺がどうやって銀龍を倒したか気になっていただろ? 見せてやるよ」


 俺は黒剣を鞘に納めると、静かに手をかざした。


『——炎の覇王よ。その轟炎の矛で、敵を貫け』


 天空に、先ほど銀龍を絶望に叩き落とした無数の炎の長槍が再び出現する。


「ま、ま、参ったぁぁぁぁぁッ!! 降参だッ! 降参するからやめてくれぇぇぇぇッ!!」


「……やだ」


「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!??」


「ファイアレ——」


 ……と、詠唱を完了する前に。


 空中から「どすん」と重い音が響いた。


 見下ろすと、金色のドラゴンは白目を剥き、口から泡を吹きながら完全に気絶していた。


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