表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/118

ドラゴンとの戦い

「さぁ、では早く始めるとしよう。ドラゴンの主を決める戦いをな」

 金色のドラゴンは口から火を吐きながら待ちきれないといった様子だ。

 金色のドラゴンは大きく息を吸い込み吐き出した。強烈な突風がカマイタチのようになり、俺と黒龍を巻き込もうとする。俺はマジックウォールを張り、黒龍は飛んで回避した。

 なんかこの技最近見た気がするな……

「ほう、俺のブレスを防ぐとは……ただの人間ではないようだな」

 あぁ、ブレスか! この前ギルドで暴れていたやつだ。威力は全然違うけど、あいつらドラゴンの技を使っていたのか……でもどうやって……

「なぁ、そのブレスって人間も使えるのか?」

「ふん、人間ごときが使えるわけがないだろう。ドラゴン固有の技だ」

 固有の技……でもあの技は間違いなくブレスだった……しかもドラゴンの体をよく見るとキースの袖から見えていた鱗のようなものと、色こそ違うが一緒ではないのか? もしかして……

「じゃあドラゴンって、人間の姿になれたりするのか?」

「なれるわけがないだろう。バカなのか?」

 バカと思われてしまった……ちくしょう、赤き竜のせいだ!

「質問ばかり面倒な奴だな。お前はもうすぐ死ぬのだ。これ以上聞きたかったら生き残ってみろ。まぁ、生き残っても俺が勝ったら人間は殺すんだがな。そっちの娘も死にたくないなら、必死に抵抗するんだな。俺は三対二でも構わんぞ」

「おい、なんて言った……」

「娘も殺すって言ったんだよ。バカだから理解できないのか」

「あんた言っちゃいけないこと言ったな。殺されても文句言うなよ。あぁ、死んだらなにも言えないか。死ぬ前になんかしゃべらせてやるから安心しろ」

「なっ……」 

 俺は一気に怒りが込み上げた。俺はいくらバカにされても多少のことでは怒らない……だけどルミナのことだけは許せない。しかも殺すと言ったのだ。我慢できるわけがない。

 俺が金色のドラゴンに向かおうとすると、銀色のドラゴンが間に入ってきた。

「そうだったな。お前が俺の相手だったな……」

 しかし剣で戦うには大きすぎるな……やはり魔法か。俺はある魔法の詠唱を始めた。

 銀色のドラゴンも詠唱させまいと口から火球を放ってくるが、しかし俺も邪魔してくることぐらい分かっている。すでにマジックウォールを張っている。

 マジックウォールが火球を防いだ間に詠唱を読み上げる。

「炎の覇王よ、その轟炎の矛で、敵を貫け」

 空に無数の炎の塊が漂う。その一つ一つが鋭い槍のように変化する。

「至高魔法:ファイアレイン」

 無数の炎の槍が銀色のドラゴンを次々に襲う。

 ぐがぁぁぁぁぁと叫び声を上げ、黒焦げになりその場に崩れ落ちる。まだ息はあるようだ。しかし、もう戦う力は残っていないだろう。

 よし、こっちは片付いたな。黒龍の方はどうなったかなと、目線を移そうとした瞬間巨大な塊が俺のすぐ横の地面に突き刺さった。

 なんだ? と思いその地面を見てみると、黒龍が突き刺ささっていた。意識はあるようだがもう戦うのは難しそうだ。

「黒龍よ、油断したな。前戦ったときは初めから白龍狙いだったのよ。お前らの連携はそう簡単に破れないからな。一回目で白龍を負傷させ、二回目はお前を一人にする作戦だよ。うまくいってよかったぜ。これで俺がドラゴンの主だ」

「おい。まだ俺がいるぞ」

 そう言うと、金色のドラゴンは驚いた様にこちらを見た。それと同時に焼け焦げた銀色のドラゴンを見て、

「お前……何をした……」

「なにをしたって只のファイアレインぶつけただけだが……」

 只のって言っても、普通の五倍の威力と量があったと思うが……

「くっ、まさか人間ごときに銀龍が破れるとは。いいだろう、俺がお前を殺してやるよ」

「間違いだろ。俺がお前を殺すんだ」

 金色のドラゴンは飛び上がり大きく、息を吸った。

 またブレスか……芸のないやつだ。

「早く逃げろ、あれはブレスじゃないぞ」

 黒龍が叫ぶ。

 金龍をよく見ると、口の周りがバチバチと音をたて黒い玉のようなものが出来上がる。

「炭になれ。紅蓮轟爆球」

 黒い玉が炎を纏い高速で向かってくる。

「俺に遠距離攻撃は効かないよ、マジックウォール」

 マジックウォールに黒い玉が当たった瞬間激しい轟音と炎が包みこんだ。

「ルクスゥゥゥ」

 さすがに心配になったのか、ルミナが叫んだ。

「ふん、たわいもない。骨すら残らんだろうな」

「なに言ってんだか……」

 金色のドラゴンは炎が消え、無傷で現れた俺を見て信じられないといった感じだ。

 しかし、やるなコイツ。初めてだぞ、この魔法が五枚まで破られたのは。

「く、くそったれぇぇぇぇ」

 金色のドラゴンはバチバチと音をたてながら鋭い爪で殴りかかってきた。

「ライトニングクロー」

 おっ、この技も前に見たな。【黒刀 輝夜】を抜き、殴りかかってきた爪を避け腕に切りつけた。

 切断こそならなかったが半分以上きれて血が噴き出している。ドラゴンは片手で押さえてうずくまる。

「がぁぁ、ちくしょう、俺の腕を。人間のくせに、何者だよ、お前」

「ただの人間だよ……さっきどうやって銀色のドラゴン倒したか気になっていたな。見せてやるよ」

「炎の覇王よ、その轟炎の矛で、敵を貫け」

 空に無数の炎の塊が漂う。

「ま、まっ、まいったー。まいったからやめてくれぇぇぇぇ」

「やだ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ」

「ファイアレ…イ」

 そこにはすでに泡を吹いて気絶した金色のドラゴンがいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ