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決心

「ルミナ、このテーブルここでいい?」

「うん、いいよ。クロスも掛けといてね」

「はいよ」

 というやり取りをしながら部屋に家具を置いていく。大きい家具を並べるのもこのステータスとボックスの魔法があれば、掃除よりも簡単である。ゴン達との食事の後、家財道具などを買い揃えた。ほとんどがルミナの趣味になってしまったが……

 生活に必要なものをすべて配置し終わったころには夜になっていた。

「そろそろ夜ご飯にする?」

「そうだな、体動かしたし、腹も減ったな。外に食べに行く?」

「いえ、今日は私がつくるわ」

「ほんと? じゃあ楽しみに待っているよ」

 やった。久しぶりにルミナの手料理が食べられる。これまでも実家で何度か作ってくれたことはあるが、さすが食べるのが好きなだけあって作る方もうまいのだ。

「あんまり期待しないでね」

 と言いながらエプロンを着て台所に向かった。

 リズミカルな包丁の音や、食材を炒める音が聞こえてくる。なんか料理をしている後ろ姿をみると、結婚した気分になるな。でもほんとうにそろそろ気持ちを伝えないと……いつまでも待たせているとルミナも他の男に恋してもおかしくない年頃だ。

 よし、決めたぞ! 今日言うぞ! 勇気を出すんだ俺! でも断られたらこの先の同棲生活が困るなぁ……嫌、ダメだ! 絶対言う! 俺は固い決心をした。

 と、自らの心と戦っていると料理が運ばれてきた。

「あ、手伝うよ」

「いいの、いいの。座って待っていて」

 どんどんと料理が置かれている。えっ、これ豪勢過ぎませんか? 絶対外でご飯食べた方が安いと思いますけど。

 テーブルには牛肉の塊や、エビやカニなどが並んでいる。いつの間に買ったのだろうか。あっ、そういえばさっきの買い物のとき二手に分かれた時があったな。その時か。

 テーブルに料理が並べ終わったところでルミナが席につき、ワザとらしくコホンと軽く咳をした。

「今日はルクスの十六歳の誕生日です。なので、料理頑張ってみました。誕生日おめでとう、ルクス」

 ルミナ満面の笑みでパチパチと拍手している。

「えっ、あっ、そういえば今日か、誕生日。すっかり忘れていたよ」

「もぉ、そんなことだろうと思ったよ」

「いやぁ、でもありがとう。ほんとに嬉しいよ」

「よかった。喜んでくれて。じゃあ食べましょう、冷めちゃうわ」

 いやぁ、サプライズだったな。ルミナの誕生日もちゃんと祝ってあげなきゃ。

「ルクス食べないの? お腹すいてない?」

「いや、ごめん、ごめん。少し感動してさ」

「もうしょうがないわね。はい、あーん」

 ルミナがフォークに肉を刺して、俺の前にだしてきた。それを恥ずかしがりながらもパクっと頂く。

「どう? おいしい? 誕生日だから特別よ」

「う、うまい。さすがルミナ。料理人にもなれるんじゃないか」

 と言いながらも、恥ずかしさであまり味が分からなかった……しかし今日は肉だらけだな。

「ふふふ、ありがと」

 料理を食べ終わり、食後のコーヒーを飲んでいると、ルミナが何かボックスから取り出した。

「はい、ルクス。プレゼントだよ」

そう言って、綺麗な包み紙に入った小さな箱を俺に手渡した。

「えっ、プレゼントまで……ありがとうルミナ。開けていい?」

「うん、いいよ。気に入るかわからないけど……」

 箱を開けてみると、銀色で先に十字架の付いたネックレスが入っていた。

「ありがとう、ルミナ。大事にするよ」

 さっそく首にネックレスを付ける。

「どうかな?」

「かっこいいよ、ルクス。似合っているよ」

 ルミナもうれしそうにしている。最高の誕生日だな、今日は。

 その後片付けをして、お互い順番に風呂に入り、互いの部屋に戻った。


 や、やばい。今日言おうと決心したのに、こんな時間になってしまった。これから、ルミナの部屋にいくか。いや、同棲初日に部屋に乗り込むなんていいのか……うん。今日はしょうがない。誕生日だったし……明日にしよう。それがいい……

 諦めて買ったばかりの布団にくるまっていると、昨日と同じように扉がノックされた。

「ルクス、まだ起きている?」

 布団から飛び起きた。まさか今日もあっちから来てくれるとは。

「おきてるよ。どうぞ」

 ガチャと扉を開けてルミナが入ってきた。

「どうしたの? ルミナ」

「ちょっと話したいことあって……」

 なんだろう……もしかして……俺と同じこと考えていた?

 まだ部屋にはベッドしかないので、ベッドのすみに座ってもらった。

「あのね、ルクスに聞いてほしいことがあって……」

 もじもじして、なんか恥ずかしそうにしている。これは間違いない。

「ルクス、私ね……」

「ちょっと待って。先に俺に話させて」

「えっ?」

 告白を女の子にさせるわけにはいかない。男の俺から言うべきだ。俺はルミナの前に跪き、真っ直ぐルミナの目を見つめる。

「俺はルミナが好きだ。大好きだ。恋人になってください」

「へぇ!」

 ルミナは変な声をあげて、顔を真っ赤にしている。

「え、あ、あの……ちょっと待ってね」

 ルミナは動揺が激しく何もない部屋をキョロキョロしている。そして落ち着かせようと深呼吸し始めた。

 あれっ? なんか変だな。

「ルミナも同じこと言いにきたんじゃないの?」

「ち、ちがうわよ!」

 げ、まじか。でも既に言ってしまった。もう飲み込むことはできない。

「ご、ごめん。変なこと言って……」

「いえ、別に変なことじゃないわよ。ただ予想してなくてびっくりしただけ。ちょっと待ってね。落ち着くから」

「う、うん……」

 二人の間に沈黙が流れる……まだ一分も経ってないだろうが数十分にも感じられるほどの沈黙だった。

「うん、もう大丈夫。返事しないとだね」




中途半端でごめんなさい。明日の朝には続き更新します。仕事です…すいません。

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