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団体戦

「邪魔するな、誰だ?」

「それは無理だね。これでも一応このギルドのマスターだ。うちの冒険者が殺されるのを止めないわけにはいかないな」

「ふん、ブランギルドのマスターか。確かランカーだったな。ランカーとはいえ我々三人を同時に止められるかな」

 レイと取り巻きの二人はニヤニヤと笑みを浮かべている。三人ならばランカーといえども倒す自信があるのだろうか。

「なぁ、お前らガザンから来た冒険者探しているんだろ?」

 え、グレイブさん? まさか……

「俺、知ってるよ。あいつらだ」

 そう言うと、俺達三人を指差した。

 ちくしょう、やはりこうなったか。

「ほう、お前らか。まだガキもいるようだが本物か?」

「ちがいます。僕に魔物なんて倒せるわけありません」

 はっきりと否定した。ふふふ、グレイブさんの思い通りになってたまるか。

「俺は魔物を倒した奴を探しているとはいってないがな……」

 えっ、あっ、そういえば……バカなのか俺は……やめてルミナさん、そんな目で俺を見ないで。

「しょうがないわね。私達がガザンで魔物を倒した冒険者よ。で、なんの用なの?」

 恥ずかしさのあまり何もできない俺の代わりにルミナが答えた。

「いや、ガザンに居座っていた強い魔物を倒した冒険者がいるって噂で聞いてな。ちょっと腕試しで戦ってみたかったんだが。しかしこんな子供とは。期待はずれかな、残念。」

 レイは残念というよりも、挑発しているかのようだった。

「なめないでもらいたいわね。あなた達に負けるわけがないじゃない」

 ルミナは簡単に挑発に乗ってしまったようだ。

「ちょっと待てよ、ルミナ」

 焦って止めようとしたが……

「いや、待たないわ。こんなバカにされて黙っていられないわよ」

 あー、もうなに言っても聞かないなこれは……レイがニヤッと表情を変えたのを俺は見逃さなかった。

「では、本当に強いのか試してやろう。こちらは三人いる。お前らも三人いるようだな。よし、ならば一対一で戦おうじゃないか。もちろんルールなんて無いが」

 レイが提案する。

「ちょっと待て。三人って私も入っているのか? 別にルクス達のパーティーって訳じゃないぞ」

 クレアさんが勝手に巻き込まれた。

「そうなのか? まぁ、自信ないようだし抜けてもいいぞ。ランカーの娘で、最年少S級も肩書きだけか」

 またもやレイは分かりやすい挑発をしてくる。

「ふざけるな。私を入れたことを後悔させてやる」

 クレアさんまで、簡単に挑発に乗ってしまうのであった。

「皆、しょうがないですね。じゃあ、ちゃちゃっとやっちゃいますか。C級の雑魚が何か勘違いしているみたいですから」

 挑発されてばかりで少しムカついたので挑発仕返してみると、

「あぁ誰が雑魚だ。さっきのハゲどもがやられたのを見てなかったのか?ガキどもが」

 レイの隣にいた男がのってくれた。

「おい、レイ。あのガキ俺にやらせてくれよ」

 俺の方を指差して睨み付けている。

「落ち着けオッド。あいつは俺がやる。おそらくあいつが一番強い」

「まじか……まぁレイがそういうなら間違いないんだろうな……じゃあ俺はあの女だ。まだ若いがなかなかの美人だな。将来が楽しみだ。ぶっ倒して俺のものにしてやる」

 あいつオッドっていうのか。オッドはルミナを舐め回すように見ている。ルミナも何か感じとったのか顔がひきつっている。まぁルミナが負けそうになったら一対一とか関係なく、俺がオッドを倒しにいけばいいか。しかし、レイは俺の強さに気づいているのか。まだ戦ってもいないのに。一癖も二癖もありそうな奴だな。

「じゃあ、俺はランカーの娘だねぇ。いやぁ、最年少S級かぁ。荷が重いなぁ」

 もう一人の男は弱気な発言をしているが表情には余裕が感じられた。

「よし、色々と決まったようだな。おい、赤の竜とやら。いくら腕試しでもお前らがやっていることは許されん。本来なら結果に関わらず牢獄行きだ。しかし特別だ。勝っておとなしく帰るなら、見逃してやろう。だが負けた場合は俺が直々に殺してやるから覚悟しておくんだな」

 グレイブさんが一瞬だけ殺気を放った。今まで冷静だったレイもまともにその殺気を浴び、汗が一粒流れていた。

「見逃すだと。お前の娘が殺された時も同じことがいえるのか」

「約束しよう。娘を冒険者とすると決めたときから覚悟は決まっている。娘にもそうゆう教育はしている」

「ふん、後悔するなよ」

 グレイブさんが近づいてくる。

「ということなので、頼んだよ。なんなら君たちが殺してくれてもいいから」

「いやぁ、それはグレイブさんに任せますよ」

 俺の余裕な表情を見て安心したのか、グレイブさんも頷いている。

「わかった。では頑張ってくれたまえ」

場所を外の広場に移して、互いに向かい合う。

「じゃあ始めようか。俺からいくねぇ、早く前に来なよ、最年少S級ちゃん」

「私はクレアだ。貴様の名は?」

「聞く意味ある? どうせ死ぬのに」

「あるさ。殺したやつの墓ぐらい作ってやる」

「ふふふ、さすがにムカついてきたな。俺の名はキースだ。死んで後悔しろ。ブレス」

 疾風迅雷+1人と赤き竜の三対三の戦いが始まった。



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