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逆転劇

作者: 是安

僕の人生はいつもこのパターンだ。


あの夏の日、舞台は甲子園。

延長十二回裏ツーアウト、ランナー2塁、3塁で1打逆転のピンチ。

この回、守備堅めとして起用され、強肩だけが取り柄の背番号18番の僕は甲子園に広がっている芝の上を走っていた。

頭の中は真っ白で、ただ涙をこらえるため全速力で走っていた。


どうしてこんなことになったのだろう?


やっと長打が内野の頭上を超えて右中間に転がっている白球を追いかけているとわかる頃には120メートルと書いてある文字の下にあるボールを取っていた。

強肩だけが取り柄の僕は勢いをつけて腕を振り切った。

中継なしでツーバウンドでキャッチャーのミットに収まった時…同点のランナーはホームの五メートル手前で転倒して、すぐその後ろには、立ち尽くす逆転サヨナラのランナーがいた。


どうしてこんなことになったのだろう?

甲子園が沈黙に包まれたあと数秒後、歓声が巻き上がった。


…すべて、このパターンだった。


大学受験、就職…

僕の人生にとって重要な岐路はすべて、あきらめたところからの勝利であった。


だからこそ、僕の片想いである律子の噂が流れた時だって僕は動かなかった。

相手は、同期の中川。僕のライバルで皮肉屋で嫌なやつだ。


そして、今日は二人の結婚式。

8時開演だった。僕も招待されてたけど、式の終盤に行くことにした。

そう。僕はいつも一度あきらめたところからの勝利をおさめるからだ。

式の終盤は午後9時なので、午後8時には正装に着替え準備を15分で終えた。

教会までは40分位かかるのは前日に調べておいた。

午後8時20分、僕は、教会に車を走らせた。

もちろん、ゲームセット寸前の試合をひっくり返すためだ。

甲子園優勝校の守備堅めの外野手の肩書きをもっているのだ。結婚式をしている最中に律子を迎えに行くのだ。

一応のため、前日から車にそのままかけおちをできるように荷物をいれてある。


午後8時59分、僕は駐車場から全速力で走った。あの夏よりも速く走れた気がした。

午後8時59分50秒、教会の扉の前で深呼吸をした。

午後9時、扉が開かない。

午後9時00分15秒、携帯電話が鳴った。中川からだ。

「あっ。もしもし〜何で今日の結婚式来なかったんだよ?」

僕は自分の置かれている状況を理解できないまま

「結婚式って8時だよな?」と言った。

中川はうん。と答えたあと何かを察したのか

「午前のな。」と付け加えた。


なんでこんなことになったのだろう?


ゲームセット。

初めて書いたので字の間違いとかはすいません。

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