Alice heard
「アリス、目が覚めたわね。」
目の前に居たのは、緑髪でスタイルの良い女性。眼鏡を掛けていて、右耳には桃色のピアスをしていた。
「貴方のデータはもう取得済みだわ、ここに来てくれないかしら?」
緑髪は、私にマップを渡した。
そのマップを除くと、無数に部屋があり、とても難しいマップとなっていた。
その中で一部屋だけ点滅しており、どうやらそこに行けと指示しているようだった。
私の居場所もマップの中に表されていて、カーナビゲーションを見ているような感覚であった。
そして私はベッドがら起き上がり、その部屋へと歩き出した。
70年後の世界は、あまり変わっていないようだった。でもさっきのマップなどは私の居た世界には無く、小さく進歩しているのかと実感した。
歩いて5分くらい、目的の部屋へとたどり着いた。
「こんにちは、アリスちゃん。」
いきなりちゃん付けで呼ばれたことに、私は不快感を示した。
「私の名前はハダル。よろしく。」
ハダルと名乗る男性は、50歳くらいだろうか、私を笑顔で迎え入れてくれた。
「今の世界の話は、もう知っているよね。」
「はい。」
私はこの空間に若干緊張気味だった。
「ならば話は早いね、君の役目を話すよ。まずは・・・」
そして、長々と私の役目について話された。最初は簡単なことらしい。
最後に、私の役目を書かれた資料が渡された。
「それじゃあ、今日はここまで。お疲れ様。」
彼はそのまま部屋から立ち去って行った。
まだちんぷんかんぷんな私は、その資料を最初から最後まで読み通した。
・大和国との外交を成立させる。中立な関係にする。
・ソビエト国(過去名・ロシア連邦)と友好を結ぶ。
・大和国と友好を結ぶ
資料ではここまで記されていた。
最初は、私が特別な人として先頭に立ち、大和国と会談をするようだ。
私にこんな大役ができるのか、そんな不安も頭をよぎっていた。
資料には、日本国と大和国の現状が書かれていた。
・日本国と大和国は、現在何も条約を結んでおらず、多少の貿易のみとなっております。
資料を読んで私は安心した。そこまで悪い関係ではなさそうだった。
それでも私は疑問を抱いた。
何故私がここに来たのか。
でもその疑問は忘れることにした。嫌なことを招きかねないから。
再び私は目が覚めた時の部屋にいた。
私の部屋はここらしい。食事は好きな物を頼むシステムとなっていた。
今日の夕飯はパスタにした。70年後のパスタも美味しかった。




