ハニーの大変身♪
この日フレンチは何をするでもなく、ベットでゴロゴロと横になり、本を読んでいた。すると隣の家からハニーがやってきて言った。
「フレンチ兄さん、あのね僕、兄さんにお悩み相談したいの」
「僕に?」
彼が意外な事を言ったので、フレンチは怪訝そうな顔をした。普段純粋無邪気で悩みとは全く無縁そうに見える彼の悩みとは一体何であろうか。
「実は僕、今まで黙っていたんだけど、本当は女の子なんだ」
「えっ――」
彼の衝撃的な発言に、彼は思わず自分の耳を疑った。
詳しく訊ねると、彼は性別を自由に変える事ができると言う。元を辿れば彼は宇宙人であり、性転換するのも造作のないことなのかも知れないが、フレンチは半信半疑になっていた。そんな彼の様子を見てもどかしくなったのか、ハニーは、
「変身するから見てて!」
彼はその刹那、黄色の光に全身が包まれた。
そしてその光が消えた時フレンチの前に立っていたのは、金髪の内巻きのセミロングに碧眼、黄色と白を基調とした派手なゴスロリに身を包んだ美少女だった。
「可愛いは正義、可愛いは愛、可愛いは平和……萌えの力で世界を救う、雷の魔法少女ハニー=アーナツメルツただいま参上♪」
「……ハニー君?」
フレンチはあまりに突然の事に開いた口が塞がらなかった。
彼の目の前に立っているのは、見慣れたハニーではない美少女のハニーなのだ。
フレンチは女子が苦手であった。それと言うのも、彼は普段から告白されまくっていたため、すっかり苦手意識がついてしまったのだ。
ニコニコと可愛らしい微笑みを浮かべる美少女は、鈴のように柔らかく美しい声で言った。
「どうしたの?もしかして、私、可愛くないのかなぁ?」
彼女が大きな瞳に涙をためてウルウルの瞳で訴えるので、彼は彼女をフォローするしかなかった。
「そんな事ないですよ。ハニー君……いえ、ハニーさんはとっても可愛いですよっ」
「わぁーい、嬉しいーっ!」
ハニーは彼の胸に飛び込んでいき、彼を抱きしめた。
彼女の行動にフレンチの頬が真っ赤に染まる。
「や、やめてくださいよぉ」
「あっ、ごめんね!」
彼女の抱擁から逃れた彼は、ブハァと大きなため息をついた。
『どうやら彼女にも手を焼くことになりそうです』




